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No980『白い恐怖』~恋する女性の直観~

半年ぶりくらいに訪ねたプラネットプラスワン。
昨日は飲みすぎで昼まで寝倒し、
夕方からは、結婚して引っ越した友達から連絡があって
久々に沖縄料理で一杯と、映画から縁遠く、
日曜の晩、せめて1本は映画を観ようと
手ごろな時間で選んだヒッチコック作品。
プラネットのある通りに立つと、なんだかとっても懐かしい気がして
自分の庭、テリトリーに帰ってきたような気がして、うれしかった。
いつのまにか、この通りに相当なじんでいたのだあなと実感。

映画館もいつもの匂い。
夫婦やら、一人で来て本を読んだりしている若者、おじいちゃんと、
映画好きの匂いがぷんぷん。
今となっては、フィルムで映画が観れる貴重な映画館になりつつあり、
フィルムチェンジの白いマークがなんともうれしい。
ちなみに、ちらしに掲載されている「BW」の意味を、受付の人に聞いたら
「Black and White」、白黒映画という意味だそうで、
あ、以前も、このことは、当ブログで紹介したような気もして
物忘れが激しい自分に赤面。

ヒッチコックは、疲れた体にまったく眠気を感じることなく、
とてもおもしろかった。

グラスに入った牛乳を飲む人間から観たショットのおもしろさ、
拳銃を持った人間から観たショットのおもしろさ。
拳銃で狙っているバーグマンが動くにつれ、拳銃も動いていって、ついに
拳銃の向きは…。

冒頭、バーグマンが女医として机に座っているのを映しながら
いきなり、ぽんと横からのショットに変わる画面があって
クライマックスを予感させるものだったような気もした。

バーグマンの恩師という老医師役のミケル・チェーホフが、
なんとも味わいがあり、
彼が出てきてから、いっそうおもしろくなった。

恋に落ちた者の、直感が勝つのかどうか、
バーグマンとグレゴリー・ペックが、一目で恋に落ちた時に、
いかにもという音楽が流れるけれど、
あまりにも、それっぽくて、逆におもしろく、
思わずバーグマンを応援したくなった。

ラストの展開もヒッチコックらしく、思い切り省略を生かして
あっという間に、クライマックスの危険から、
その後のエピソードへとワープしてしまうのが
面食らいそうにおもしろい。
中盤で出てきた、駅の改札の駅員さんがいい味を出していて
その顔で、The End。

充実した2時間、満喫した気分で映画館を出て、
帰り、地下鉄のロッカーのプラスチックの鍵が
風に揺れて、一斉にきらめくのをみて、
一瞬、私も、忘れられた記憶がよみがえってきそうな気がして
どきりとしたが、
映画に入り込みすぎと正気に戻った。

夢の中のダリの絵もユニークで、忘れられない。
恋する二人を、正面きってここまで応援した作品を観ると
他人事ながら、なんだか心強いなあと思ったり、
後味もさわやか…。

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