goo

No1341-3『レッド・タートル~ある島の物語~』~要約版~

10月末までにfacebookに感想を書くと、抽選でプレスレク資料等が当たるということを覚えていて、
今日、帰ってあわててブログに書いたものを推敲して、短くまとめ直して、掲載しようとしたら、
すでに、10月初めに書いたものがあって(すっかり忘れていた、、)、
その文章の差し替えで終わってしまった。せっかく書き直したので、こちらのブログでも短縮版ご紹介させてください。

死をこんなに美しく描いたアニメはない。水平線を飛んでいく鳥たち。真っ赤に染まった浜辺で、手をとりあい、ゆっくりと踊る老いた男女。深夜。ロングショットで、女が驚いて息をのむ息遣いだけで、男の死を伝え、再び満点の星の下、静寂が広がる…。愛する人を傍らで看取り、女は何を感じていたか。砂浜を海へと去ってゆく動きと音、その時間に涙があふれた。

この映画は壮大な愛のメルヘンだと気付かされる…。 いっしょに生きる、それだけでいい…共に歩んだ軌跡があれば…。 人が人を愛し、大切に想うこと。
手と手を握り合うのではなく、重ね合うところに想いがある。女が男を、母が息子を守りたいという想い、あるいは、一緒に生きたいという願い、いっしょに生きたねという万感の思い‥。

壮大な叙事詩のよう。生と死。人間と自然。
めぐりゆく時間の中、穏やかな顔も厳しい顔も見せる自然。人も、動物たちと同じ、生かされた「いのち」の一つ。ちょこまか動く蟹たちの楽しい動きは、人間の赤ん坊と同じだ。空を飛んでゆく鳥たちの姿が何度もとらえられ、きれいだなあと見とれる。

3匹の海亀は、神聖で身近な存在で、守り神のように、時折島を訪れる。海の中を海亀と少年がいっしょに泳ぎまわるシーンのなんと軽やかなこと。重力から解き放たれ、飛んでいるようだ。

恋に落ちた亀が、男に会いたさでか、のこのこと陸地に上がっていくところが可愛らしい。男の逆鱗に触れ、木の棒で思い切り殴られ、甲羅ごとひっくり返される…。自分で裏返るなんてできるわけもなく、砂浜でひっくり返ったまま、じりじりと太陽に照り付けられ、干上がって、死にかける亀の痛々しいこと…。

音が豊かで、聴覚を刺激し、映像も多彩で美しく、視覚はまどろみ、映画の世界に体中で浸る。まるで、主人公といっしょに、絵本の中に入り込んだよう。いっしょに海の中に潜って、不思議な時間を過ごしたような気がする。 海にもぐったときの青くて深い水底の世界と水面からの光。

残念ながら、公開は終わってしまいました。セリフがないということで敬遠された方も多かったようですが、言語を超えたものを感じるのも映画の妙味で、いつか観ていただけたらと思います。監督は、『岸辺のふたり』(2000年)という、わずか8分ほどの短編でありながら、父と娘の絆を、娘の人生まるごと描ききったマイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督。(自転車の重なる輪と輪!)『岸辺のふたり』は、YouTubeでも観れるので、ぜひのぞいてみてください。 →YouTubeこちら

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« No1352-1『シ... No1353『日本... »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。