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No324「転々」~三浦友和+オダギリ=??絶妙なユーモア~

三浦友和と来ると、最新作に触れずにはいられない。
年末に観て、観終わった直後は、
大好きな三浦友和(おっさん)、オダギリ主演といっても、
「脱力系の三木聡監督は、やはり私には相性が悪かった~」と
不満の方が強かった。
しかし、どこかひっかかるものがあり、ずっと気になっていた。

文句の理由は、明快。
オダギリ・ジョー演じる文哉が
モノローグで自分の心情をしゃべり過ぎたために、
説明的になったこと。
吉高由里子演じるふふみが、妙にテンションが高い役どころで
かなり不自然に感じたこと等々。

ずっと気になっていたわけは、
オダギリと三浦との間に流れる親密な空気感だけは
観ている側までしっかり伝わり、身体に残る気がしたから。

(少々ネタバレあり)

物語は単純。
借金を抱えた学生の文哉が、借金とほぼ同額の謝礼と引き換えに
借金取り、福原(三浦友和)の散歩(霞ヶ関に自首するまで)に付きあう話。
東京のお店にあちこち行ったり、
福原の知合い(小泉今日子)の家に寄って、
擬似家族のような時間と空間を楽しんだり、
道中を歩いていく、ただそれだけ。

福原が妻を殺したという、とんでもないことをしてしまったはずなのに、
その深刻さがまるで伝わってこなかったのが、気になった。
殺した理由は、福原の口から説明されるものの、
とってつけたようで、かえって不自然に感じられ、
全体に軽薄にみえた。
妻の職場の同僚たちが、訪ねていこうとするやりとりも、
おもしろいことはおもしろいが、
ふざけているようにしかみえなかった。

と、文句を書きながらも、
道中をともにする三浦とオダギリの間に生まれる濃密な空気は、
妙に鮮烈に心に残っている。
父親のいないオダギリが、三浦に父に近いものを感じてしまう親密感や
二人が食べたカレーの匂い
靴下をいきなり口につっこまれる感じとか、
妙に暖かく優しい空気が心地よくて、
忘れられない。

最後、気がつくと、三浦が一人、横断歩道を小走りに渡っていく姿も、
予想できる展開でありつつ、そのさりげなさが忘れがたい。

かなり文句たらたらでありつつも、
この主演二人の間に流れる“親密な空気感”は忘れがたく
これはこれで、
紹介せずにはいられない1本となりました。

満足度 ☆☆☆1/2(星5個で満点)
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
この人は (ライリー警部)
2008-01-07 12:16:23
時効で逃げ切った犯人だけ追いかけてれば、というのが私の考えなんですが・・・。
 
 
 
確かにそうなんですが・・ (パラリン)
2008-01-07 21:42:47
今回、三浦友和という、
我ら映画ファンにとっても、
忘れがたき、
おっさん俳優の奮闘ぶり、というか、
たたずまいを観るだけでも、
やっぱり、
この映画を観にいってよかったな~、
なんて思ったりするのですね。
ささやかで、つつましやかな楽しみという感じがしました。
 
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