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「ミーナの行進」小川洋子~しあわせな記憶~

「過去の時間によって守られている」 この小説のことを思い出すと心がほっこりして、しあわせな気持ちになれる。小川洋子さんの小説は、そういう作品が多い。1972年、中学一年生の朋子が、芦屋の伯母さんのお屋敷に預けられ、従妹の小学校6年生の美奈子ことミーナと過ごした1年間の物語。 「ことり」に感銘を受け、小川洋子さんの作品を次々と読んでいこうと買ったものの、途中まで読んで、積読になっていた一冊。読み . . . 本文を読む
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「永遠(とわ)をさがしに」原田マハ~チェロをめぐって~

「音楽を通して描くドラマチックな感動物語」という紹介の文章につられて、原田マハさんには以前「キネマの神様」でほろりとさせられたのを思い出して、コロナウイルスで休館する前近所の「まちライブラリー」で借りた。音楽を聴いて感じた思いを、どう言葉にするのか。難しいところを、うまく言葉に乗せていて、あっという間に引き込まれた。 それぞれの登場人物に影があって、幾つも苦難は押し寄せるけれど、へこたれないし、 . . . 本文を読む
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「詩のこころを読む」茨木のり子~こころの浄化装置~

長かったGWも、最後に雨が降りました。(夜中に雨が降ったこともあったようですが。)連休中の一つひとつの出会いについて忘れないように、少しずつ思い返しておこうと思います。 大阪府茨木市(いばらきし)とは違って、「いばらぎ」と読むけれど、大阪生まれの方。 「生まれて」「恋唄」「生きるじたばた」「峠」「別れ」という章立てになっていて、印象深い詩がたくさん紹介されていた。何度も読み返したい詩ばかり。読 . . . 本文を読む
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再び村上春樹の世界へ

前回書いた時には、以下のリンク先のとおり、 かなり酷評してしまった 村上春樹さんの「IQ84」。 https://blog.goo.ne.jp/paraparaeiga/e/04327e2069b82c0830fe687967f5bbd0 年末、仕事終わりに、忘年会のお店へと、 街の中を歩いていて、 小さな公園を見つけて、ふらりと入ってみた。 クリスマスはとうに終わっていたけれど、 . . . 本文を読む
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終わってしまった連休と読み終えた小説

三連休。東京の友達と広島で一緒に遊ぶ予定が、台風で飛行機が飛ばず、中止に。1日目は、台風が気になりながら、ピアノの練習をして終わり、2日目も、ピアノの練習。さすがに疲れて、夕方から、近くのクラフトビールのイベントにひとりでふらふら行ってみた。ライトもついてて、座れる恰好の読書できる場所を見つけ、文庫本を読んだ。村上春樹の世界はビールと合う。ビールがおいしすぎて、つい飲みすぎた。帰り、どの道を歩いた . . . 本文を読む
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「ことり」再び~山積みの新聞から8~

小川洋子さんが書かれた「ことり」という小説については、すでに随分前ですが、感想をご紹介したところです。 →https://blog.goo.ne.jp/paraparaeiga/e/cbba20318c16163d8e3d832abbab9fe0    相変らずすぐ山積みになる新聞を整理していて、今日、出てきたのが、 蜂飼耳(詩人)さんによる、「名著60心に触 . . . 本文を読む
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哲学者カント先生の意外な素顔

久しぶりに花を買った。イーストウッド監督の映画のちらしがほしくて、わざわざ梅田の映画館まで行ったついでに、第4ビルの地下にある花屋さんへ。ガーベラ5本で298円なんて安いと思ってレジにいくと、さらに100円引きだった。 こんな安上りのお花だから、すぐしおれてしまうかもしれないけれど、洗面所に飾るだけで、気分が華やぐから不思議。人のこころは、一体何からできているのだろう。ほんのささいなことで、あが . . . 本文を読む
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池内紀「記憶の海辺」~旅心、山心、文学心をくすぐるエッセイ~

私が大切にしている本に「温泉百話」(ちくま文庫)がある。もう20年以上も前、毎年、年末にひとりで温泉旅に出ていた時に愛読していた本で、その編集者の一人が、池内紀さんだった。 新聞の書評で、池内さんが書かれた「記憶の海辺~一つの同時代史~」を見つけ、図書館で予約して、やっと順番が回ってきた。 前半は、とばし読み、最後になるにつれ、おもしろくなった。ギュンター・グラス(「ブリキの太鼓」の著者)や、 . . . 本文を読む
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「あおい」~宙ぶらりんの感覚~

なんで生きてるんだろう…晩、一人でいると、幾度と知れず、わいてくる問い。とりあえず生きてる、生きてるみたい、生きてるらしい、いろいろつぶやいてみる。でも、やっぱり、一番、しっくりくるのは、なんで生きてるん…? SNSの他人の情報に心をやきもきするのは随分疲れる。やっぱり本の世界がいい。そう思って、最近、本を読み始めた。今日、金曜の晩に読み始めたのは、「あおい」。区立図 . . . 本文を読む
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小説「ことり」

最近、夜明けに目が覚めて、そのまま寝れなくなることが多い。今まで、ただでさえ睡眠不足だから、横になったらすぐ寝入って、朝までぐっすりだった。この頃は、明け方に目が覚めると、なんだか、あれこれ考え事ばかりして、眠れなくなる。こころがざわざわしているのだろうか。 SNSとかで、いろいろな人の声、人の動きに心が揺れ動いたり、こころがざわつくのも、疲れる。(時に、友達の優しい言葉に励ましてもらえることも . . . 本文を読む
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「イノセント・デイズ」~その人の心に近づけるようで、近づけない~

本好きの上司が、久しぶりに一気に読んだ本として教えてくれた。著者は、早見和真さん。観逃がしたけど映画「ひゃくはち」の原作者。最初は、ふつうに、通勤途上や、寝る前に、少しずつゆっくりと、最後の数章は一気に読み終えた。 読後感の余韻がとても長く、いつまでも残っている。久しぶりに、長い小説を読んで、本っていいなあと、手ごたえを感じた。人のこころ、人生の重みが、不思議さとともにあたたかさとして残っている . . . 本文を読む
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「山椒大夫」小説と映画のこと~山積みの新聞から2~

「光沢(つや)のある、長い安寿の髪が、鋭い鎌の一搔(ひとかき)にさっくり切れた。」小説「山椒大夫」で、安寿が弟の厨子王と一緒に芝刈りを願い出て、女のなりを捨てる場面。新聞の日曜版の一面にこの一節が取り上げられていて、一読した後も、この場面が気になって頭から離れない。実家から何冊か持ち出した日本文学全集の中に、あったので、読んでみた。映画『山椒太夫』(溝口健二監督1954年)は何度か観たので、覚えて . . . 本文を読む
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「火花」~芸の道において、愚かなほどに真摯で、憎めない、その人への思いを綴る~

久しぶりに小説を読んだ。「火花」。著者の又吉直樹さんが、芸人で、芥川賞をとって話題になっており、雑誌「文芸春秋」にも掲載されているというので、買ってみた。2、3回に分けて、あっという間に読んだ。今日も、お風呂で読み始めて、途中でやめるつもりが、止まらなくなり、夜更かししてしまった。 漫才の芸人の世界を描く。破滅型だけど、ストイックで、純粋で古風な芸人の先輩、神谷にあこがれる主人公の徳永。ある意味 . . . 本文を読む
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