日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

官僚の応対マナーが“中国並み”では悲しすぎないか

2012-04-03 | その他あれこれ
日曜日の夜のこと、例によってTVつけっぱの我が家のリビングで雑誌やら書籍やらを広げつつ拾い読みをしていると、経済産業省が力を入れている海外で評価される日本文化育成「クールジャパン」戦略の話をワイドショー的な番組が取り上ているのが耳に入りました(後で調べたところ「Mrサンデー」という番組だったようです)。

特に目新しさも感じることなく聞き流しつつ雑誌を読んでいたのですが、途中やけに耳障りなやり取りがあり、雑誌記事を読む目が止まりました。それは、聞き手の滝川クリステルさんの質問に「ウン、ウン」とアゴで応える経産省の女性官僚と思しき人物。私の耳が妙に違和感を覚えたのは、この「ウン、ウン」の受け答えです。別にあげ足取りでもなんでもないのですが、普通テレビの取材で聞き手から質問を投げられた人物は、カメラが回っている状況であればなおのこと、聞き手が誰であろうがそれは視聴者に対する態度として対応をとるのではないかと思うのです。それが「ウンウン」?

なんかちょっと、すごく、やっぱり…嫌な感じですよね。普通は「ハイ、ハイ」じゃないのかと。一部の方からは、「つまらん言いがかりだ」と言われるかもしれませんが、私の耳は確実に違和感を覚え「官僚の上から目線って自然に出てしまうのだなぁ」とつくづく思わされたわけです。この女性官僚さんが、例えば上司から同じように質問をされても質問をなぞるあいの手は「ウン、ウン」なのでしょうか。それはないですよね。部下から質問されたなら、きっと「ウン、ウン」なのでしょうけど。だからやっぱり上から目線。聞き手の滝川クリステルさんに対してというよりも、テレビの向こうの視聴者に対して、完全に「上」意識丸出しなのだなぁと、悲しくなりました。

しかもその後、この「クールジャパン」特集の流れの中で、いま中国でウケている“日本的接客サービス”の話が出てきて、お客様を敬って自身が「下」にへりくだった対応が「上から目線対応が当たり前な中国の接客」にあって、「とても心地よい」と大変人気を集めていると取り上げられていたのです。つまりは、日本の官僚の応対は中国の応対マナー並みってことかと。どうもテレビ局は、わざとその対比を際立たせようと番組の流れを仕組んだのではないかと思えたのです(決して、考えすぎじゃないと思いますが…)。

私自身、10数年前に金融マンとして大蔵省廻りをしたことがありますが、まぁその当時の大蔵官僚の皆さんの対応や口のきき方の横柄なことと言ったら、それはそれはびっくりで、やはり悲しい思いをしたものです。完ぺきなまでの上から目線の対応に、「人間、天下国家を動かしているという自負を持つと、こんなにもエラくなっちゃうのかなぁ」と不思議な気がしたものですが、「なんだ全然変わっていないのか」とこのテレビを見てあの時の悲しい気持ちを思い出し、またまた悲しくなってしまったのです。

テレビの収録取材ですから広報担当だって同席しているハズなのに、こんな受け答えが平気で収録されてしまうというのは、この女性官僚一人の問題でないことは明らかです(私も昔広報担当を経験していますが、マズイ受け答えがあればやり取りをを止めます)。必要性が叫ばれて久しい官僚改革ですが、こういうことろから始めないことには結局表面的なものに終始してしまうのだと思います。「クールジャパン」よりも前に早急クールにご対応をご検討いただきたいのは、官僚の皆さまの国民に対する姿勢の方ではないのかなと、思った次第です。