日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

国は公務員住宅を明け渡し、被災者仮住まいと復興財源の確保を!

2011-04-11 | その他あれこれ
震災から1カ月。世の中は震災直後に比べるとだいぶ落ち着いてきましたが、それは被災者以外の人たちの話。被災者の方々はまだまだ癒えることのない心の傷を負いながら、これからさらに幾多の苦難が待ち構えている、そんな状況にあると思います。国はとにもかくにもまず被災者の立場で今何をすべきなのかを、優先順位をつけてしっかりと取り組んで欲しい。震災後1カ月段階の今、被災地でとりあえずできていることは、避難所生活における最低限レベルでのプライバシー保護程度。仮設住宅に移れた方々はまだごくごくわずかで、まずは仮設住宅に全避難所生活者が移られることがその第一歩であり、その点に最大限の努力を迅速さをもって取り組んで欲しいと思います。

現時点で国ができることを考えるに、国が所有する住宅施設の大々的な解放指示があるのではないかと。その一番は公務員住宅の解放です。国家公務員および地方公務員向けの公務員住宅は、その多くが一等地にありながら相場に比して安過ぎる賃料(相場の10分の1以下なんてケースもザラ)の問題や売却による財源化議論などもあり、財政再建に関連した公務員改革の目玉的存在でもあるのです。そこでこの機会に、公務員はすべて民間住宅に転居し公務員住宅を被災者に明け渡したらどうかという考え方です。平成19年時点のデータでは全国に約22万戸の公務員住宅があります。避難所生活者は約14万人であり、東日本に存在する公務員住宅の明け渡しを行えば、必要戸数は確保できると思われます。財政再建とのからみで考えるなら、現段階で公務員住宅を被災者に明け渡し、並行して民間への売却をすすめる(補助金を出して被災者が購入することも可)。2年後の仮住まい退出期限をもって完全に民間に移行(2年経過後も継続居住する場合は賃貸へ移行)。その売却代金は復興資金に充てるという考え方です(1戸あたり1千万円平均で売却してなんと総額2兆円!)。現時点で余計な財政支出をせずにできる最良の被災者向け仮住まい確保と、復興財源づくりになるのではないかと思うのです。

この先被災者の方々を待ち受けているのは、住宅再建の問題、職の問題、事業復興の問題、ローンの問題・・・。様々な難問が横たわっています。ただまずは、仮と言えども人並みの住宅生活を送ることが、苦難に立ち向かう気力や元気も生んでくれるハズなのです。阪神淡路大震災の時にも、プレパブづくりの仮設住宅では壁の薄さなどから十分に生活プライバシーを保護することが難しく、被災者の生活再建に向けた心身の安定を確保するには程遠い状況であったと言われています。それも今から16年も前のことです。今回の仮設住宅も当時と同じレベルのプレハブ長屋形式です。今の時代のプライバシー保護の考え方は、あの時とは比べ物にならないレベルにあるわけで、仮住まいとはいえ当時よりもしっかりした住宅を提供することも、復興の旗振りをする政府の責務なのではないでしょうか。

公務員住宅は基本的にすべて国の持ち物である以上国民の財産であり、特定の公務員のみが驚異的に安価な家賃で長年その恩恵に預かっていること自体がおかしいわけです。しかも現在では民間企業も社宅は廃止の方向にあります。そう考えると公務員住宅は、このような大災害による国家的危機状況の下にこそ、日本国民の多くが納得する形で有効活用されることが一番なのではないでしょうか。同時に民間住宅に22万世帯の公務員が移るなら、不動産賃貸、不動産売買、家電・家具等購入、引っ越し運搬等々を通じて消費経済活性化策としても有効に機能すると思われます。菅民主党政権も口先ばかりで「脱官僚」「抜本的公務員改革の断行」などと言っているのではなく、少しは頭を使って、今だからこそ大義名分をもって手をつけられる「改革」に大ナタを振るうべきであると思うのです。被災者救済、復興財源確保目的での公務員住宅廃止策を、声を大にして提言したいと思います。各方面に呼び掛けをいたします。皆さんもぜひ、中央にこの声が大きな形で届くよう力を貸してください。よろしくお願いいたします。