日本一“熱い街”熊谷の社長日記

組織論の立場から企業の“あるべき”と“やってはいけない”を考える企業アナリスト~大関暁夫の言いっぱなしダイアリー~

遂に“生”事業仕分けに参戦!第三弾後半戦を見る

2010-11-16 | その他あれこれ
本日機会に恵まれ、五反田TOCで開かれている政府の事業仕分け第三弾後半戦二日目を“観戦”してまいりました。

お世話になっている会社が同じビル内にオフィスを構えている関係で、行きがけに午前の部終盤1時間半ほどを生“観戦”したものです。私にとって事業仕分けは昨日も事務所仕事の合間にネットで中継を見るほどの関心事であったのですが、コンサートではありませんがやはり“生”は臨場感が違う!発言者一人ひとりの表情を追い掛けながらの“観戦”では、官僚の勝手さ図々しさ加減が一段と生々しく伝わってきたのでありました。

私が“観戦”したのはBグループ。長妻前厚生労働大臣を仕分け人の中心に据え、勝間和代氏が評価者として加わったグループです。私はちょうど11時頃会場入りして環境省の「水環境保全活動」(家庭排水による河川汚染防止啓蒙活動等)と「エコツーリズム総合推進活動」(自然観光資源説明者による説明を受けつつ、自然観光資源の保護と理解を深めるツアーの促進)の判定作業でした。前者は一部再計上“ゾンビ”ありの新計上予算。後者は再計上金額増の“焼け太り予算”でした。結果を先に申し上げれば、前者は廃止、後者は予算計上見送りとの結論でしたが、そんなことより生やりとりで衝撃的であったのは、改めて強く感じさせられた仕分け人および評価者との受け応えにおける官僚の一般民間人との感覚的なズレの大きさでした。

とにかく終始「効果が見えないムダ遣い」「丸投げ見積のズサンさ」「民間や他省庁とのダブりを一切気にしない勝手さ」ばかりが目立ったやりとりでした。「効果が見えないムダ遣い」の代表格は、「啓もう活動に活用する」以外の具体的使い道も決めぬまま進められる「環境省の水環境保全活動」における“お水坊や”なるキャラクター制作予算700万円。これには仕分け人も呆れ顔で質問していましたが、官僚の「ですから、啓もう活動に資する予算であり…」と全く動じない金銭感覚にはただ驚くばかりでした。金銭感覚と言えば「丸投げ見積のズサンさ」はさらにひどく、「5名での会議2回でコンサルティング費用180万円也」などという見積内容まで飛び出し二の句が継げないほど驚かされました。「民間や他省庁とのダブりを一切気にしない勝手さ」に関しては、あらゆる問題で全く意に介していない様子であり、民主党政権成立から1年、官僚の意識改革は何ひとつ進んでいないという感を新たにしたのです。

本日はわずか1時間半ばかりの観戦でしたが、この中でよく分かったことは次の3点です。
①官僚は、予算計上の段階では投資の効果目標を明示せず、結果責任を誰もかぶらないようにはじめからしている
②官僚は、都合の悪い質問を受けるとはぐらかしで論点のズレた回答をわざとして別の議論に持ち込もうとする
③官僚は、仕分けの結論がどうなろうとも、「関係ねーよ。どうせ強制力ないんだから」と涼しい顔をしている
①は、費用対効果を考えない投資であり民間では到底考えられない非常識です。
②は、官僚は政治家を完全にバカにしてなめきっているように思えました。
③は、今回メディアでも騒がれている最重要ポイントですが、この点を改善しないと仕分けは結局民主党のパフォーマンスと言われて終わってしまうのです。早急に閣議決定するべきと考えます。

こんな調子ですから、何よりもまず官僚の意識改革を根本から行わない事には、せっかくの事業仕分けも全く徒労に帰してしまうとの思いをより一層強くさせられます。会場には政治家先生と有識者の方々の力強い言動が飛び交ってはいたのですが、私にはその場を覆う空気は何とも空しい雰囲気が漂っているように感じられたのでした。

※後で知ったのですが、ちょうどその時間蓮 議員がAグループを視察したとか。そっちも覗けばよかった…?彼女、一応事業仕分けの象徴的存在ですからね。ちょっと残念。