静聴雨読

歴史文化を読み解く

「成長」から「再生」へ・3

2010-02-09 07:16:07 | ユートピア探し
ここからは、少し夢想が入り込みます。

低成長期においては、華々しく画期的な成長戦略がそもそも無理なのかもしれません。これまでのように、繊維産業、重化学産業、自動車産業、電機産業、情報産業などが牽引する経済成長は、韓国・台湾・中国・インドなどが同様の成長パターンで成長を目指し始めた現在では、もはや期待できません。

その意味で、鳩山内閣の「新成長戦略」が、環境・エネルギー・医療・介護・観光・地域活性化などの分野に成長の可能性を見ていることは、納得できます。環境・エネルギー・医療などの分野は、世界的に見ても、わが国の技術が優位にあります。環境・エネルギーはCo2の削減などのエコロジーにも貢献します。医療・介護などの分野は、高福祉の目的に適いますし、さらに、アジア諸国との経済協力・共生にも役立ちます。観光・地域活性化などの分野は、埋もれた資源の活用という意味があります。いずれも、公共事業と市場原理主義という「二つの呪縛」から脱するという鳩山内閣の政治理念を体現しています。

しかし、これは、本当に「成長」戦略でしょうか? 環境・エネルギー・医療・介護・観光・地域活性化のキーワードから想起されるのは、「成長」戦略というよりも、むしろ、「再生」戦略なのではないか、というのが私の感想です。地球の再生(環境・エネルギー)、人間の尊厳の再生(医療・介護)、地域・国土の再生(観光・地域活性化)などは、わが国の喫緊の課題です。鳩山首相は施政方針演説で「いのちを守りたい。」とのべましたが、その意味は、あらゆる側面で、疲弊し痛んだものを回復させたい、ということでしょう。 (2010/2)



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