フランス文学者でマルキ・ド・サドの翻訳者として著名な澁澤龍彦に『フローラ逍遥』という著作がある。現在は、「平凡社ライブラリー」に収録されている。文字通り、花の博物誌だが、マルキ・ド・サドの紹介者との親和性は思いつかない。しかし、次のようなエピソードを知ると、納得がいく。
澁澤は長らく「フランスを訪れたことのないフランス文学者」であった。「アームチェア・ディテクティブ」(書斎探偵)ということばがあるが、彼は、いわば「書斎フランス文学者」として長年過ごしてきたのだが、ある年、念願叶って、フランスに旅立つ。サドにゆかりの地などを確認するためだ。
ある古城に来て、感慨を込めて城を探索した後、澁澤は城の周りの花々と戯れていたというのだ。これは同行した知人(妹の澁澤幸子か妻の矢川澄子かは忘れたが)の証言だ。周りの人たちは、澁澤に、好きなだけ花々と遊ばせておいたという。澁澤の花好きの素地を証明するエピソードだ。(2007/12)
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