アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

シンポジウム「さまよえる遺骨たち Part3」報告 その2

2013-05-09 13:01:49 | インポート
報告の続きをします。
前回同様、北大開示文書研のwebサイトで閲覧出来る当日の資料を見ながらの方が分かりやすいですので、是非、参考にご覧下さい。以下にあります。
http://hmjk.world.coocan.jp/symposium/sympo2013/symposium2013.html

小田博志さん(北海道大学大学院文学研究科准教授)のドイツ報告の後、「アメリカにおける遺骨返還を巡る問題」を市川守弘さん(弁護士)、 「イギリスの状況」を植木哲也さん(苫小牧駒澤大学国際文化学部教授)が続けてお話しくださいました。

市川さんは3年ほどのアメリカ滞在中に3箇所の先住民族墓地を訪ねた経験から、金銀目当てに盗掘されたものや研究者が盗掘していった例を出し、特に、研究者による盗掘について報告。

19世紀にアメリカ連邦政府の助成を受けた「研究者」が先住民族の墓をあばいて首だけを切り離して持ち去り、頭蓋骨の研究をしたという。その目的は、「インディアンは白人と比べて知的に遅れた者であることを証明し、滅び行く民族であることを確認するため」であったとのこと。
民間人による盗掘もあり、その目的は経済的利益のためや、また首を飾って優越感に浸るというグロテスクなものもあった。
ジェロニモ(アパッチの伝説的人物)の墓をエール大学の秘密組織「頭蓋骨と骨の髄」(the Skull and Bones)があばき、頭蓋骨や大腿骨や鞍の一部を持ち去ったという事件もあった。

アメリカでは1990年連邦法 The Native American Grave Protection and Repatriation Act(先住民墓地の保護と返還法)を制定。この法律のすごいところは、まず、遺骨、副葬品の通商、輸送、販売の禁止。そして、5年の間に遺骨、副葬品を管理する連邦職員及び博物館は、可能な限りトライブ政府や宗教リーダーなどとの協議をしながら目録を作成しなければならないとした。しかも、序文に「誠実にしなければならない」と書かれている。

今回の北大の報告は、目録はわからないものがいっぱいあったからつくれなかった、アイヌの人たち、たとえばこの度の裁判を起こした杵臼の人たちに聞いたかというと全くない。誠実さを感じられない、と。

また、返還法制定の後に裁判になったあるケースでは、内務省が先住民族側について全面的にバックアップし科学者と争ったことを紹介し、アメリカの先進性を強調。

話では触れられていませんでしたが、当日の資料には、以下の一文もあるので紹介しておきます。

「返還の相手はトライブであるが、トライブは、法的な単位としてのトライブに限らず、インディアンのグループや地域社会(community)を含み、直系の子孫へも返還」

植木さんの報告は次回にいたします。



OKIがソロライヴを九州で行います。九州地方のみなさん、どうぞ。
5/17 熊本
5/18 玉名
5/19 阿蘇
5/20 阿蘇
5/21 佐世保
5/23 福岡教育大学
5/24 佐賀
5/25 諫早
5/26 天草(詳細発表は後日)
スケジュールはCHIKARA STUDIOのwebサイトへ
http://www.tonkori.com/schedule


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