アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

「アイヌ遺骨新たに8体 全国12大学1676体に 文科省再調査」道新記事より

2017-04-21 06:13:13 | 日記

昨日、新たな情報が北海道新聞からありました。

「アイヌ遺骨新たに8体 全国12大学1676体に 文科省再調査」(または先住民族関連ニュース

以前からお伝えしているように、2013年に文部科学省が出した 『大学等におけるアイヌの人々の遺骨の保管状況の調査結果』 には、アイヌ遺骨は全国12大学に個体ごとに特定できる1636体と、特定できない515箱あることが記されていました(*特定できない515箱の問題については過去ブログDNA鑑定で扱いました)。

この調査が不徹底だったために、文科省は各大学に再調査を求め、この度、全体で40体が増えたと言うのです。この調査結果もまだ開示されていませんので、紙面情報にのみ頼るしかありませんが、

新たに東京医科歯科大が遺骨8体を保管してることが判明。同大学によると、一昨年に歯学部の標本室でアイヌ民族と類推させる情報を記したカードとともに保管されていたのを発見。関連文献から初代学長が1932年以前に札幌市内の民間病院から貸与されたもので発掘地域は不明とのこと。

一昨年に「発見」

そんな馬鹿な話があるでしょうか。さらに紙面を少しわかりやすく比較しつつ検証してみましょう。はじめに大学名、そして、以下を記します。 

①2013年発表数(個人特定できない遺骨を収めた箱の数)

② 2017年発表数(個人特定できない遺骨を収めた箱の数)

③ 2013年と2017年の差

北大                  ①1027体(484箱)  ②1015体(367箱)  ③ -12体(-117箱)

札医大               ①251体(0箱)    ②294体(0箱)    ③ +43体(±0箱)

東京大               ①198体(6箱)     ②201体(6箱)   ③ +4体(±0箱)

京都大               ①94体(0箱)       ②87体(0箱)    ③ -7体(-±0箱)

大阪大               ①39体(2箱)     ②32体(1箱)    ③ -7体(-1箱)

東北大               ①20体(1箱)     ②20体(1箱)    ③ ±0体(-±0箱)

新潟大               ①0体(17箱)     ②16体(2箱)    ③ +16体(-15箱)

東京医科歯科大   ①0体(0箱)      ②8体(0箱)    ③ +8体(0箱)

大阪市立大         ①1体(0箱)      ②1体(箱)     ③ ±0体(±0箱)

南山大               ①1体(0箱)      ②1体(0箱)     ③ ±0体(-±0箱)

岡山理科大         ①1体(0箱)      ②1体(0箱)     ③ ±0体(±0箱)

天理大               ①0体(5箱)      ②0体(5箱)     ③ ±0体(±0箱)

金沢医科大         ①4体(0箱)      ②0体(0箱)     ③ -4体(±0箱)

ブログだと表が崩れて読みにくいですがお許しください。 

東大は前回調査の記載ミスで3体増。新潟大は箱を精査したところ16体を一体として特定(最初の報告がずさん)。札幌医大は、道内の遺跡調査で出土した遺骨を寄託されたことなどで43体増(この数年で寄託されたと言うことか?)。

一方、金沢医科大は再調査で4体ともアイヌ民族の遺骨ではないことなどが判明しゼロに。京大や大阪大も遺骨を精査した結果、7体ずつ減。

一体として特定できなかった遺骨を納めた箱は6大学で382箱あり、前回調査と比べ133箱減った。一体として特定された遺骨が増えたためという。

北大は遺骨返還訴訟が和解したことなどから12体減ったと書かれていましたが、過去にも書いたように、突如出てきたひと箱(中箱)に入っていた遺骨は、1体分かどうかは不明のはずなので、この報告で北大が1体分と数えることがおかしいのです。そう考えると、この数は全体的に不確定だと疑わざるを得ません。

(そもそも、個体として特定できない遺骨を納めた複数の箱にどれほどの方の遺骨が含まれているか不明なのですから)

過去ブログにて大学以外の施設でアイヌ人骨を『保管』していた13施設の名を北海道新聞(または こちら)の記事から挙げましたが、見落としているのか分かりませんが、政府としてまとめて報告しているのを見たことがありません。まとめてきちんと報告するべきでしょう。

 

故萱野茂さんの著書『アイヌの碑』(1989年 朝日新聞社)の中に、萱野さんが当時、高額のテープレコーダーを購入したくだりがあります。

エカシやフチが語ってくれた録音を一方では集め、その一方ではレコーダー代やテープ代を稼ぐために観光地で働いた苦労話も記されています。そのような努力の末に、アイヌ語辞典や、ユーカラ集が編集されたのでしょう。

この度、【萱野茂のアイヌ神話集成】萱野茂没後10年記念企画 アイヌ語を贈るプロジェクトに申請し、『萱野茂のアイヌ神話集成』10巻セットを寄贈頂きました。全道の教会で活用して頂ければと、後日に案内をしようと思います(上記写真も同プロジェクトブログより)。

テンプレート(ブログの背景)がしっくりきていないと思いきや、やはり知人からクレームが来たので、再度、変えて見ました。夏までこれで行こうと思います。

どうもこのブログは編集しにくいです。行間がバラバラになってしまいます。また、PC版と携帯版があることも最近に知りました。読みにくいところもあるかと思いますがお許しください。

 


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