アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

国連先住民族宣言をめぐっての国会論議(2)

2008-01-29 15:56:40 | インポート

鈴木宗男(衆議院議員 新党大地)さんは第168回国会にて、
9回に渡って国連「先住民族宣言」可決に伴う日本政府への質問を出しています。

前回ブログで質問第24号(9月14日提出)と、政府の答弁書(9月25日付)を紹介しました。
答弁には、「アイヌ民族」とは決して使わず(国の出している文書にはあえて「アイヌ民族」を
用いていないことをわたしたちは日常で確認できます)、「アイヌの人々」という言葉を使っています。

そして、「アイヌの人々」は
「日本列島北部周辺、取り分け北海道に先住していたことについては、
歴史的事実として認識している」(質問第24号答弁書 六及び七について)
と述べます。

しかし、アイヌが「先住民族」かどうかは、「先住民族」の定義が定かではないから、どちらとも言えない、と。
なんだか不思議な言い分ですね。

日本政府は
「「宣言」において述べられた権利を適応すべきかについて、お答えすることは困難である」
と、答弁書には続けています。
ようするに、アイヌの人々は、権利が伴う「先住民族」かどうかはわからないが、
日本北部、取り分け北海道に「先住」していた「住民」だ、(=先住住民である)ということは認識している、
ということなのでしょう。

鈴木宗男さんは質問53号(9月26日提出)にて再質問をし、
「先住民族宣言」を受けてアイヌ民族の先住民族としての権利に関わる何らかの審議機関を設ける必要性を訴えます。

が、その答弁(10月5日付)では、
北海道が行っている「アイヌの人たちの生活向上に関する推進方策」等に政府として協力し予算を組んでいることを挙げ、
さらに「先住民族」の定義があやふやだから、審議機関等の設置は考えていない、と答えています。

ムネオさんは引き続き、先住民族アイヌを認めるべきだと粘り強く質問を繰り返します。

しかし、政府は「先住民族」の定義のあやふやさから、諸外国の「先住民族」と言われている人々をも
「「先住民族」に該当するのかについて、お答えすることは困難である」
(質問102号答弁 10月19日付 二について)
とまで言う始末!

さらに・・・
では、「先住民族宣言」を受けての我が国政府の対応はどうだったのか、直接の担当者は誰か、
関係省庁はどこか、そこにおいていつ、どこで、だれらが、どのような協議を行なったか、と詳しく聞くと
(質問第248号、第297号)、
「会議と言う形式をとらず、・・・必要に応じて連絡を取り合っている」(第297号答弁書)と。

ここで言う関係省庁とは、具体的には外務省、国土交通省、文部科学省等であることを
第72号質問答弁書に書かれていますが、これらの関係省庁が会議と言うかたちも、
議事録も残さずに「連絡を取り合っている」ということで、じゅうぶん対応しているし、
「施策への協力又は施策の推進を着実に実施していくことが肝要と考えている」(第356号質問答弁書)と言えるのでしょうか。

はなはだ疑問です。



教会から徒歩5分に見える海岸


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