アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

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「アイヌ民族と漁業権」

2010-02-18 08:27:44 | インポート
16日(火)は、さっぽろ自由学校「遊」講座で畠山 敏さん(北海道アイヌ協会紋別支部長・漁業者)のお話「アイヌ民族と漁業権 伝統捕鯨の復活をめざして」を聞いてきました。

たいへん興味深かったです。畠山さんは中学2年からアイヌであることで差別を受け、学校に行かなくなってそれ以来、土木業を経て親の仕事を継いで漁師に。イルカ漁も20年されたとか。配布された資料(「漁師として、経験から感じてきたこと」 ESDへのヒント)とあわせてお話を紹介します。

漁師は山を「おか」と呼び、海に栄養を運ぶ大切なものと考えます。オホーツクはかつて世界の三大漁場と言われるほど漁獲量が多かったようですが、それは深い天然林に囲まれたロシアのアムール川から来る真水が栄養と共に流氷となってオホーツクに入り込んだから。流氷が溶けるころ、氷の下にオキアミが発生し、真っ赤になるのだそうです。動物性プランクトンが氷から解けた植物性プランクトンを食べているのだ、と。そのオキアミに魚が群れたそうです。

「おか」の大切さを訴え、漁師としてまたアイヌ民族として、現在、藻別川水源域の産業廃棄物処分計画に対し、自然環境を破壊から守る意味でその審議に畠山さんは参加を申し込んでいます。この産廃施設は水源一帯を掘り、ビニールを敷いて古タイヤから魚網、ホタテの貝殻や身の不要部分など、あらゆる産廃を受け入れるもので、川の汚染につながるとして反対運動が行なわれています。

国連宣言の29条に「環境に対する権利」があります。
1. 先住民族は、自らの土地、領域および資源の環境ならびに生産能力の保全および保護に対する権利を有する。国家は、そのような保全および保護のための先住民族のための支援計画を差別なく作成し実行する。
2. 国家は、先住民族の土地および領域において彼/女らの自由で事前の情報に基づく合意なしに、有害物質のいかなる貯蔵および廃棄処分が行われないことを確保するための効果的な措置をとる。
3. 国家はまた、必要な場合に、そのような物質によって影響を受ける民族によって策定されかつ実施される、先住民族の健康を監視し、維持し、そして回復するための計画が適切に実施されることを確保するための効果的な措置をとる。(市民外交センター仮訳2008年7月31日 改訂2008 年9月21)


2と3は国の責務として先住民族を守り、計画への参加を義務づけています。これをもとに審議会の参加を申し込んでいます。

また、この藻別川は二級河川のため公共の鮭鱒の増養殖事業が行なわれていないので、アイヌ民族に資源管理権を返してほしい、藻別川を生命の再生の川として先祖の精神を受け継ぎ、民族自活自立への足がかりとしたい、と要望しています。
第3に、オホーツクの深海底のまだ利用されていない水産資源を持続可能な漁法で有効利用することを認めてほしい、と。
藻別川とオホーツク深海への要望はいずれも国連宣言の20条「民族としての生存および発展の権利」に基づいてのものですね。
さらに言うと23条「発展の権利の行使」、25条「土地や領域、資源との精神的つながり」、26条「土地や領域、資源に対する権利」、27条「土地や資源、領域に関する権利の承認」、28条「土地や領域、資源の回復と補償を受ける権利」も関係してきますね。

この三点を畠山さんアイヌ協会紋別支部長名で道庁高橋はるみ知事宛に緊急要請として2009年8月11日に提出しています。

これに先駆けて、有識者懇が同年5月8日~10日に道東にて現地視察と意見交換を行った時、畠山さんは網走地区と連名で7項目の「緊急要請書」を渡しました。その際、高橋道知事より、「短期、中期、長期と、わたしの出来ることは多々ありますね。それを急いで文章であげてください」といわれ、その言葉を信じて先の三点に絞って緊急要請文を提出したそうです。
しかし、返事は知事の印鑑の捺印されていない非公式文書ばかり。また、道の言い分としてアイヌ民族の法律が出来ていないから何もできないというものらしい。すでに抗議文書を送ったとのこと。



相変わらず留萌は吹雪いてこんなに暗い毎日です(今朝は少し明るい)。
留萌に入ったところでオオワシを発見。さてどこだか分かりますか?写真のちょうど真ん中です。


来週の26日(金)~27日(土)には、「『ESD×生物多様性』地域ワークショップin紋別」が行なわれます。紋別における地域課題と先住民族の権利について、再度、畠山さんのお話を伺います。また、畠山さんと一緒に活動されている鷲頭幹夫さんの報告「紋別のアイヌ民族による提言活動の背景と経過」もあります。さらに、上村英明さんも東京から駆けつけ、「先住民族の権利に関する動向と地域課題」のテーマで報告されます。
それらを元にして、第二部では参加者それぞれが持っておられる課題を共有しあい、今後の一緒にどのように活動していくかを話し合うそうです。ディヴァンさんと参加して来ます。

【問合せ・申込先】
さっぽろ自由学校「遊」 TEL.011-252-6752 FAX.011-252-6751 syu@sapporoyu.org
(紋別窓口:鷲頭幹夫 TEL.0158-23-9549)
*このワークショップは地球環境基金の助成対象事業です


有識者懇のページから道東視察の記録を見ることが出来ます。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainu/kaisai.html

国連宣言は市民外交センターのページから見ることが出来ます。
http://www005.upp.so-net.ne.jp/peacetax/


昨日は札幌の帰りに三軒の家庭訪問をしてきました。その間に、六羽のオオワシを見ました。

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