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フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

9月14日(日) 晴れ

2014-09-15 11:20:21 | Weblog

9時、起床。宅急便の「ピンポン!」の音で目が覚める。

パン、サラダ(鶏のササミ、ブロッコリー、トマト、レタス)、紅茶の朝食。

東京ステーションギャラリーで昨日から始まった「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン 「遠く」へ行きたい」を観に行く。

「ディスカバー・ジャパン」は1970年10月から始まった国鉄(現在のJR)の一大キャンペーン。同年の10月に終わった万国博覧会後の旅客の安定確保を目的としたキャンペーンだった。当時、私は高校1年生だったが、場所が大阪だったこともあり、また、行列嫌いということもあって、万博にはあまり関心がなかったが、この「ディスカパー・ジャパン」の宣伝(ポスターおよび日本テレビで始まったその映像版ともいえる『遠くへいきたい』)には心惹かれたのを覚えている。

それまでの国鉄のポスターが絵葉書的な名所案内であったのに対して、「ディスカバー・ジャパン」のポスターは写真の場所が特定できず、具体的な目的地(観光スポット)への誘致ではなく、「旅の気分」の高揚を目的とするものであった。旅が日常からの離脱であるとすれば、離脱の先は旅にとって二次的なものであり(「ここ」ではない「どこか」)、重要なことは「ここ」(日常)からの距離である。その距離は大きくなくてはならない。TV番組のタイトルが『遠くへ行きたい』であったことはそのことをよく示している。ただし、海外旅行ブームを加熱してしまっては国鉄としては困るわけで、「遠く」の距離はあくまでも国内にとどまってもらわねばならないから、「ディスカバー・ジャパン」のポスターには「美しい日本と私」という言葉が刻印されていた。これは川端康成が1968年12月にノーベル文学賞の授賞式で行った講演のタイトル「美しい日本の私」の「の」を「と」に変えたものである。それは国鉄が川端康成の許可を得て作成したキャッチコピーであった。

 

「ここではないどこか」への欲望は、マクロなレベルで日本の発見(見直し)というナショナリズム的な思想と結びつくよりも、むしろミクロなレベルで「私」の発見(見つめ直し)というアイデンティティ的な思想と結びついていた。実際、「旅は もうひとりのあなたを映す鏡」というキャッチコピーが使われたポスターもある。ここに「自分探しの旅」ブームの起源を指摘することはたやすいが、しかし、こうしたメンタリティーはずっと前から存在していた。

たとえば、田山花袋『温泉めぐり』(大正7年)は一種の旅行案内で、かなりの版を重ねたロングセラーだが、花袋は自伝『東京の三十年』(大正6年)の中で、自身の旅行好きについてこんな風に説明している。

「私は孤独を好む性が昔からあった。いろいろな懊悩、いろいろな煩悶、そういうものに苦しめられると、私はいつもそれを振切って旅に出た。それにしても旅はどんなに私を生々としたもの、新しいもの、自由なもの、まことなものを与えたであろうか。旅に出さえすると、私はいつも本当の私となった。」

ここでは旅と近代的自己の関係がわかりやすく語られている。花袋は自然主義の作家としてデビューする前、博文館の社員として『大日本地誌』(全十巻)の仕事に従事していたから、旅は半分仕事のようなものであった。

「ディスカバー・ジャパン」が行ったことは旅と近代的自己の親密性の大衆化ということである。

 

展示会を観終わって昼食は大井町の「丸八」で。

「pottery」のマダム推奨のカツサンド(1200円)を注文。ビールも一緒にといきたいところだが、この後ジムに行くので、コーラにしておく。

ご主人(三代目)にカツサンドを注文した理由を話す。ご主人は「pottery」の存在はご存じだったが、入ったことはないという。「よさそうな喫茶店ですよね。でも、修行中の若造が喫茶店でコーヒーを飲むというのは生意気な感じがして、これまで入れずにいたのです」という。でも、もういいんじゃないですか。「丸八」は月曜日が定休だから、今度、行ってみてくださいと言っておく。

カツはロースカツ定食のカツと同じものを使う。カットしてソースを塗ったカツを、トーストして辛子を塗った二枚のパンに挟み(パンからはみ出さないように上手にカツを配置して)、それを対角線で4つにカットする。

出来立てをかぶりつく。美味い!

カツサンドにはキャベツを入れない。時間が経つとキャベツから出る水気でパンが湿ってしまうからだ。パンをトーストするのも同じ理由による。カウンターで食べる客にはキャベツを別皿で出す。

メニューにはないが、注文があれば、上ロースかつ定食やヒレカツ定食のカツを使ったカツサンドも作りますという。「でも、ずいぶん高いカツサンドになっちゃいますけどね」とご主人。

「丸八」を出て、「pottery」で食後のコーヒーを飲んで行きたいところだが、日曜日は定休なので、そのまま蒲田へ戻ることにする。

電車を待ちながら、ホームの上のふくろうの置物の存在に気づく。以前からあったのだろうか。これまでまったく気づかなかった。他の場所にもあるのかとキョロキョロしてみたが、ここだけだった。

ジムでのトレーニングは青森旅行から帰ってから初めてなので、軽めに40分のクロストレーナーだけにしておく。550キロカロリーを消費。

ジムの後は「phono kafe」に寄って行く。

葡萄ジュース(赤)にアイスクリームを入れて。燃焼した後の身体にはしみる美味しさ。

夕食は麻婆茄子。

デザートは青木商店で購入した桃の瓶詰を開ける。缶詰の桃のように甘く、缶詰の桃のよりも歯ごたえがある。生の桃と缶詰の桃の中間(よりいくらか缶詰寄り)というポジション。