7時、起床。卵焼き、トースト、紅茶の朝食。8時ちょっと前に家を出て大学へ。今日は文化構想学部の入試の日だ。
集合時間の9時前に大学に着く。監督控え室に行く前に試験監督を担当する3号館103教室の下見をしておく。3号館は旧い建物だが、103教室は内装がきれいになっていた。すでに半分くらいの受験生が席に座っている。9時半、サブの主任監督(?)である院生のSさんと問題用紙や答案用紙をもって教室に向う。補助監督員4名(学部生)に担当のエリアを指示。15分前、解答用紙・問題冊子の配布を開始。写真による本人確認を終えて10時から1時限目(英語)の開始。欠席者は1名。あとからわかったことだが、その1名は電車の遅延が理由で遅刻したため、別室で受験していたとのこと。つまり実質的には欠席者はいなかったのである。176名中欠席者なしというのはすごいことである。通常であれば、欠席者リストの作成というのを試験時間中にするのであるが、本日はその仕事がなくなった。手持ち無沙汰である。1時間半、ひたすら教壇から教室全体をながめていた。
昼食は「高田牧舎」にハヤシライスを食べに行く。小沼先生たちがいらしたので、しばらくおしゃべり。2限は国語。3限は世界史。つつがなく終了。
馬場下交差点そばのサンドイッチの「maruharu」で、早めの、軽めの夕食。ホットドック、野菜のポタージュスープ、珈琲。ポタージュスープが温かくて美味しい。3月24日のうちのゼミの顔合わせ立食パーティーの食べ物はここに頼むことを思いつく(今日は半分そのつもりで来たのである)。マダムと相談して、サンドイッチ、オードブル、スープ、ケーキで一人当たり1000円の予算でやってもらうことになった(最初、私が一人1500円の予算でと言ったら、マダムにそれは多すぎますと言われた)。お腹一杯にはならないが、別途、飲み物とテイクアウトの寿司でもあればいいだろう。初顔合わせのパーティーだから、黙々と食べている時間はないはずである。
教員ロビーで答案の採点。もう一息で終る。6時過ぎに大学を出て、池袋の東京芸術劇場へ早稲田大学交響楽団の定期コンサートを聴きに行く。今日の演目は以下の3つ。
ブラームス 交響曲第2番二長調作品73
ハイドン 交響曲第104番二長調「ロンドン」
ラヴェル バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲
次回の定期コンサート(3月22日)と合わせてブラームスの3つの作品に挑むのだそうだ(他の2作品は交響曲第1番ハ短調作品68と悲劇的序曲作品81)。思わず「ブラームスがそんなにお好きですか?」と訊きたくなるが、楽団員代表の安田真里奈の挨拶(パンフレット)によれば、「2009年ヨーロッパ公演の記念碑的成功のあとの今年度は、原点に帰る基礎再構築の年と位置づけて活動して参りました。定期演奏会にブラームスを3曲も取り上げるのもその一環です」とのこと。そうなのか。ブラームスの交響曲が具体的にどういう意味で「原点に返る基礎再構築」のために相応しい曲なのかは私にはわからないが、そういわれてみると、ズンジャカジャン、ズンジャカジャン、というわれわれが交響曲というものに対してもっている重層建築的メージは、バッハでも、モーツァルトでも、シューベルトでも、ベートーベンでもなく、ブラームス的なものなのではなかろうか。今日の交響曲第2番(とくに第4楽章)を聴きながらそう思った。
ところで今日は楽団員代表の安田の姿が見えなかった。どうしたらのだろうと思ったが、あとから彼女の挨拶をよく読んだら、こう書いてあった。
「さて、私は二年生の後半にソロ・コンサート・マスターを拝命して以来足掛け3年、世界の舞台を、それも『英雄の生涯』という、コンサート・マスターとしてはこれ以上のものは無い大曲を経験させていただきました。20回も『英雄の生涯』のソロを奏いたコンサート・マスターは世界中探しても少ないのでは、と、少しだけ自慢したい気持ちもあります。同僚から、「最後に何か協奏曲を」と誘われ、2月にチャイコフスキーの協奏曲を奏かせていただく予定でしたが、昨秋以来大きく体調を崩し、応えることができませんでした。」
そうだったのか。「体調を崩し」の前の「大きく」がとても気にかかる。ヨーロッパ公演という大仕事が終って、その疲れがいっぺんに出たのかもしれない。私もブログで彼女のヴァイオリン協奏曲が聴いてみたいと書いたことがあるので、彼女にかかる大きな重圧の一部に加担してきた責任を感じる。ぜひ彼女には十分に休養をとってもらって、周囲の期待に応えるためではなく、心の底からヴァイオリンの演奏を楽しめる日が戻ってくることを祈る。
10時半、帰宅。風呂を浴びてから、採点作業。深夜、ようやく終る。