presented by hanamura
爽やかな風が心地よい季節になりました。
初夏を思わせるような日が続いていますね。
冬のコートを脱いで、装いも軽やかになりました。
着物や帯を選ぶときにも、
涼やかな色柄のものに目がいきがちです。
そこで今日は、これからの季節にぴったりな
塩沢お召についてお話しします。
塩沢お召しは、新潟県南魚沼市地方でつくられている絹織物です。
南魚沼といえば、コシヒカリの産地としても有名ですね。
1年の半分近くが雪で覆われる南魚沼地方は、
その雪解け水が美味しいお米を育てます。
雪で育ったのはお米だけではありません。
昔はこの雪のために春になるまで農作業ができず、
女性たちは冬の間にひたすら布を織り続けました。
そして、越後上布や塩沢お召しといった
上質な織物が生まれたのです。
越後上布の歴史は古く、
縄文時代まで遡ることができます。
越後上布は、苧麻(ちょま)とよばれる、
この地方に自生している麻からつくられ、
細かなシボが特徴の麻織物です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4d/d6/203e7a4e3c3b617f7cf26f6022ba1f43.jpg)
塩沢お召しは、その越後上布の技法を取り入れ、
江戸時代中頃につくられはじめました。
とくに徳川11代将軍家斉(いえなり)に愛用され、
お召し物にしたことで、
「お召し」という名前がつけられました。
その材料は、繭から最初に取り出される生糸を用います。
そして経糸には、1メートルあたり350回、
緯糸には1800回もの撚りを掛け、
織りあげた後に湯もみをします。
この湯もみのときに、
撚りの掛かった糸が戻ることにより
シボができ、シャリッとした風合いが生まれます。
また、蚊絣や十字絣といった緻密な絣文様が
この風合いを更に引き立てます。
シボのある生地は適度な張りがあり、
身に纏ったときには着崩れがなく、心地よく体になじみます。
そのため、単衣仕立てにしてその風合いを楽しむことが多いようです。
着て心地よく、見た目にも涼やかで品のある塩沢お召しは、
初夏を感じさせる日射しの下で軽やかに身に纏いたい着物ですね。
花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は4月21日(火)予定です。
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