花邑の帯あそび

1本の帯を通して素敵な出会いがありますように…

帯仕立ての道具-目打ち-

2008-04-01 | 帯仕立ての道具

presented by hanamura


「目打ち」について

「目打ち(めうち)」とは、下の写真のように
先が鋭く尖った細い金属の棒に、木製の柄がついた道具です。



この「目打ち」とかたちのよく似た道具に
「目打ち釘」や「千枚通し」と呼ばれるものがあります。
その長さや太さは違いますが、「目打ち」と同じように
むかしからいろいろな仕事に用いられてきました。

「目打ち釘」はうなぎをさばくときに用いられる道具です。
鋭く尖った先をうなぎの目に打ち込んで、
うなぎを抑える役目があります。

「千枚通し」は製本のときに用いられます。
重なった紙にさして、本を綴じるための穴をあけるために用いられます。
「千枚通し」という呼び名のように、
重なった千枚の紙を通すことができるぐらい先が長いものです。

帯の仕立てに用いる「目打ち」は、
この「千枚通し」という名で呼ばれることもあります。
しかし、実際に帯の仕立てに用いるものは、長さ15cmほどで、
製本のときに用いる「千枚通し」より短いものです。

「目打ち」は、帯の仕立てにおいて
さまざまな作業に用いられています。

帯芯の巾を帯包丁で裁つ作業※1では、
6つ折りにして厚くなった帯芯の角に
「目打ち」の先を刺して印をつけます。

「帯のはしをつくる」※2ときにも「目打ち」を用います。
この作業では、同時に帯の「角」となる部分もつくられます。
そして、このときには「目打ち」の先ではなく、
細い金属の棒状の部分を活用します。

はじめに、帯反のはしの線と1枚目の帯芯のはしを合わせ、
帯反を内側に折って「糊」で仮止めをします。
そのあとに帯反の底辺の出来上がり線と帯芯の底辺を合わせ、
さらに帯反を内側に折ります。
この2つの過程を経て帯の「角」となる部分がつくられます。



しかし、底辺を合わせて折るときに「角」がもたつきやすいため、
きれいに折ることはむずかしくなってしまいます。
そのため、帯芯の底辺のはしの線に「目打ち」を合わせて置き、
「目打ち」の棒に沿わせて帯反を内側に折り込みます。
こうすることで「目打ち」の棒が「角」のもたつきを抑えて、
帯反の底辺をきれいな直線に折ることができるのです。
このとき「目打ち」の棒は、
帯反を帯芯の底辺のはしの線より折り込むことがないように
ストッパーのような役割もします。

また、帯反と帯芯を綴じて表側にひっくり返したあとは、
返された帯のはしや角が中に入り込んでいます。
そのため、「目打ち」の先で中に入り込んだ角を引っ張りだしてから
帯のはしを整えます。
そのときに角が浮いてしまう場合には、
「目打ち」を逆さまに持ち、柄の面の部分で角を叩いて角を落ちつかせます。

また、仕付け糸などを外すときにも「目打ち」は用いられます。
「目打ち」は「目」を「打つ」と書かれるため、痛々しい印象のする名前ですよね。
でも、「目打ち」はほんとうに便利な道具なのです。

※1.1月15日更新のブログ「帯包丁について(その2)」を参照してください。

※2.2月26日更新のブログ「ヤマト糊について」を参照してください。

花邑のブログ、「花邑の帯あそび」
次回の更新は4月8日(火)予定です。


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