ヌマンタの書斎

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衆議院補選

2019-04-25 11:56:00 | 社会・政治・一般

長期政権は必ず慢心する。

それは歴史が教えてくれる事実であり、教訓でもある。にもかかわらず、この教訓を直視しない政治家は少なくない。

平成のみならず、昭和を含めても異例の長期政権を担う安倍・自公政権も残念ながら、この教訓を見て見ぬふりをしている。だからこそ、先週の衆議院補選において与党候補が敗れた。

反自民傾向の強い沖縄はともかくも、維新の会が躍進している大阪でも自民は負けている。これを特殊なものだと見過ごしてはいけない。

閣僚の問題発言にも見られるように、現在の与党には慢心が見受けられる。与党が慢心してきた一因は、マスコミの頓珍漢な安倍政権攻撃にある。「森友、加計問題」に見られるように、政権の致命傷とは成りえない問題を過剰に取り上げ過ぎた。

それに便乗した野党も同罪である。不快ではあっただろうが、あれで安倍政権は完全に野党を見下げ、マスコミの批判を馬耳東風と聞き流した。東京新聞の望月記者のように、嫌がらせにしかならない取材と報道をしているだけなので、政府から舐められて当然であろう。

私は安倍政権の外交はけっこう高く評価している。しかし、内政とりわけ経済政策は良く言って55点だ。アベノミックスは基本的に大企業と投資家優遇である。だからこそ、株価は上がったし、不動産取引は活発であった。これは十分評価できる。

しかし賃金上昇は失敗だと私は断言する。政府に賃金上げろと云われて、素直に上げられるのは下請けいじめで利益を貪る大企業と、予算さえ確保できれば大丈夫なお役所だけだ。

おまけに世情に疎い安倍政権は、賃金を上げても、そこから所得税や社会保険が天引きされて実質手取りはさほど増えない現実を無視していた。賃金が上がっていない中小企業だと、毎年値上げされる社会保険のおかげで手取り額は減少しているのが実情だ。

だから国内消費は伸び悩む。手取りの賃金がさほど増えない以上、財布のひもを締めるのは当然である。さらに追い打ちのように値上げが相次いている。特に食料品の値上げは地味ながら影響は大きい。

アベノミクスが全て失敗だとは思わない。でもその成功の果実を堪能しているのは大企業と資産家であり、中低所得層に関してはむしろマイナスの影響の方が大きい。それが、現在の景気の停滞感に反映している。

またこれは安倍政権のせいではないが、高齢化社会の到来は確実に地方経済を衰退させている。これまで地方経済を支えてきた高齢者層が、年齢による衰えから引退してきている。これは必然ではあるが、同時に対応策が難しい。実際、私はこの問題に対する有効な解決策を見出していない。

高齢化社会とは、低消費社会でもある。医療費と介護費用を除けば、基本的に高齢者に多額の買い物は必要ないからだ。その一方で、低消費はデフレを招く。国内消費の落ち込みは、短期的なものではなく、長期的もしくは構造的なものである。

だからこそ、海外からの旅行者、短期滞在者のインバウンド需要が景気を大きく刺激する。そのせいか、財務省は10月の消費税増税を実施しても、東京五輪などのインバウンド需要が景気を底上げするから、増税に問題なしだと与党を煽る。

しかし、地道に有権者との意見交換を欠かさない政治家ほど、増税に危機感を持っている。安倍首相の側近である萩生田氏の消費税増税延期発言はその一例であるが、肝心の安倍首相自ら火消しに走っている始末である。

このままでは、今年の参議院選は危ないと思う。ただ、野党が相変わらずだらしない。元号批判などくだらんことをやってないで、中身のある政策批判が出来てない。

だから政権交代はないだろうけど、自公は議席を減らすことは確実であるように思います。


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2 コメント

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Unknown (しろぎつね)
2019-04-28 18:56:27
ヌマンタさん、こんばんは。
世の中はどんどん二分化してしまって、社員を子会社にリストラして人員のスリム化ができたと言って株価を上げる企業があります。
一般社員は給料削減、税等公共費用増加で可処分所得はどんどん下がっていきます。
貧困化、少子化、国内市場の停滞、失われた世代と問題は山積しています。
一方で日経平均株価は好調で、企業や公務員の上の方はいい感じです。
今のこの二極化を引き受ける政党がないのです。ないから安倍政権どうにかしろということになるのですが、経済界との綱引きがあるのでまず無理でしょう。
この21世紀型二極化は世界中で起きていて、国によってはテロや政変が既に始まっています。
日本がいつまでもこのままであるとは思えません。
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Unknown (ヌマンタ )
2019-05-01 14:46:35
しろぎつねさん、こんにちは。ご指摘のように、近年急速に進みつつある二極化は、間違いなく世界を、そして当然に日本を変質させるでしょう。
困ったことに、日本ではこの変化に対応できそうな政党が存在しません。自民も含めて既存のシステムに取り込まれているので、「支持政党なし」の有権者を取り込むことが出来ていないのです。
変化に対応できなければ、いずれは厳しい局面に対峙せざるを得ないでしょうね。
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