ヌマンタの書斎

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世界の終わりに柴犬と 石原雄

2022-08-24 15:04:01 | 
マメシバと呼ばれる小型犬がいる。

ぶっちゃけ、ただの小型の柴犬である。見た目の可愛らしさから人気がある。でもその本質は柴犬である。決して愛玩犬ではない。

柴犬はオオカミから派生した原始的な犬の形態を強く維持してきた日本犬である。6種いる日本犬の中で、もっとも小型ではあるが、狩猟犬としての気質が強く、独立心、警戒心の強い犬として知られている。

柴犬に限らないが、日本犬は日本列島という閉鎖的な空間で棲息していただけに、野生の気質を強く残している。ただ見かけが可愛らしいので、愛玩犬と勘違いされてしまう。これが間違いの素だ。

幼少時にしっかりと躾をされた柴犬は、飼い主との強い絆を築き、頼りになる番犬となれる。しかし、この幼少期の躾を怠ると、飼い主との関係が歪になり易い。つまり我儘な犬に育ってしまい、飼い辛くなる。これは絶対的に人間の側に責任がある。

柴犬に限らないが、犬は集団を作る社会性の強い生き物だ。飼い主が可愛がるだけだと、自分が集団のリーダーだと思い込み、家庭内の暴君となってしまう。特に柴犬は頑固な気質なので、こうなるとまず治ることはない。つまり初心者には難しい犬だと云える。

だからマメシバなどの可愛い外見だけで評価して飼ってしまった素人飼い主は、最終的には飼い馴らせず、遂には捨ててしまう。残念だが、暴君と化して捨てられた柴犬は矯正が困難であるため、保健所などで殺処分される。

犬を飼うには、相応の覚悟と事前の準備が大切だ。決して見た目だけで飼おうなどと思わないで欲しい。

ところで表題の書は、引きこもりであった女子高生を飼い主として認めている柴犬と、人類が滅亡した社会を放浪する「御主人」との旅物語である。ちなみに御主人の名前は分からないが、犬をはじめとして動物などと会話が出来る特殊能力をもっている。

柴犬とは強固な主従関係を構築しており、健気な柴犬と、最後の人間として自由を得た元引きこもり娘が、人のいなくなった社会をうろつくだけの四コマ漫画である。

面白かったのは御主人様である女子高生から「孤島に一つ、もっていきたいものは?」と問われた柴犬が即答で「ご主人様の靴」と答え、孤島でご主人様を想いながら靴の匂いを嗅ぐ場面を想像した女子高生が「足が臭いって言いたいのか」と切れていた場面。

たしかに犬って、気になる相手の足の匂い、嗅ぎたがるわな・・・匂いがコミュニケーション手段となっている犬たちの不思議な習性。これだけは、ちょっと理解しがたいですねぇ。

まァ時間潰しに読むに相応しい作品ですよ。特に犬好きなら共感できる場面、多いです。

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