ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

お隣の空中給油機

2020-11-05 11:56:00 | 社会・政治・一般
時々、日本人の事なかれ主義には辟易する。

南コリアが日本を主敵だと定めたのは、おそらく1990年代、ソウル五輪の後だと思われる。朝鮮戦争の荒廃から立ち直り、輸出を軸に国家再建を果たし、その復活ぶりを世界にアピールしたのがオリンピックの舞台であった。

以前は朝鮮戦争の主敵である北コリアに対応するための軍隊作りが基本であった。ヴェトナム戦争でお払い箱となった米軍の払い下げのジェット戦闘機を揃えた南コリア空軍は東アジア一だと賞されたのも、決して故なきことではない。

だが2000年代に入り、摩耗の激しいジェット戦闘機は世代交代の時期を迎えた。南コリアは日本が持っていなかったF16だけでなく、F15Eストライトイーグル(自衛隊のF15Jよりも最新型)のコリア版であるF15Kを揃えていたが、次世代型のジェット戦闘機への交替は遅々として進まなかった。

この国、戦車でも艦船でも同じで、とにかく整備が駄目。当時アメリカ空軍の東アジア整備拠点であったにも関わらず、部品を壊してしまうと、その修理が出来ず、他の機体から部品を引っ張り出して、使い回し整備を繰り返す悪癖がある。

南コリアで整備した機体の事故率の高さは、当時の沖縄米軍基地での空軍機の墜落などでも明白で、それに辟易した米軍は以降、整備を日本に移転してやっている始末である。

ところで野心だけは十二分に溢れている南コリアは、対日航空戦を想定したところ、航続距離の不足から十分空中戦が出来ないと判断した。そこで米軍から空中給油機を購入するつもりだった。

米軍幹部は対北コリアで何故に空中給油機が必要なのかと尋ねると、南コリア空軍幹部が「日本の自衛隊機との戦闘を想定しているからだ」と馬鹿正直に答えて米軍を呆れさせた。

説明しておくと、南コリアの人たちはもし日本とコリアが争うことになった場合、かつて太平洋戦争での仇敵である日本を見捨てててアメリカは南コリアの味方に付くと思い込んでいる。アメリカが日本列島を重要な戦略拠点だとし、朝鮮半島からの離脱を考えていることは理解していない。

貴重な兵站拠点でもある日本を攻撃されては堪らんと、米軍は空中給油機の売却を拒否した。裏切られたと思った南コリアは、ボーイングのライバルであるエアバス社の空中給油機を購入している。

決して南コリアは認めないだろうけど、彼らが空中給油機を欲しがった最大の理由は、実はその少し前に日本の航空自衛隊が、アメリカから空中給油機を購入したからだろう。

一応書いておくと、私はこの南コリアの反応は当然だと思っている。自国の周辺国の軍備が変化すれば、それに対応して自国軍の軍備を変えていくのは、国防を考えれば当然のこと。

ついでに書いておくと、相変わらずこの国は整備が下手だ。エアバス社の空中給油機を4機、購入しているのだが、運用できているのは2機のみ。給油装置の故障を直せずに放置しているのはともかく、間抜けなのは人員不足。空中給油は特殊な任務であり、そのための兵員には特殊な訓練が必要となる。

その訓練はフランスやドイツで行っているのだが、当初から予算不足で半分しか手配できてない。追加の人員は派遣したものの、今回の新型コロナウィルスのせいで帰国できずにいる。気が付いたら、除隊した兵員も出たため、現在は空中給油訓練さえ出来ずにいる。

おまけにF15J以上の高性能機であるはずのF15Kは、なぜだか燃料不足で訓練飛行が満足に出来ずにいることが判明している。どうやら燃料の横流しを政権ぐるみでやらかした可能性が高い。

どこへ? まァ今の政権の姿勢から北方方面であろうことは想像に難くない。

敵を軽視するなかれ、と思うのでこの記事、あまり書きたくなかった。でも、南コリアの軍事態勢が対北ではなく、対日本に軸を移していることぐらい、日本のマスコミは報じるべきだと思いますよ。

見て見ぬふりをしたって現実は変わりませんからね。
コメント
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