南シナ海が危うい。
そんな印象を持った方は少なくないと思う。シナの海洋侵略は確実に進展している。日本がやられたように、気が付かぬ内に石油採掘設備を設置されてしまい、ここはシナ領であると宣言するやり口は、周辺諸国には到底容認できるものではない。
おかげで、フィリピンは一度は取り戻したスービック基地を再びアメリカ軍に戻してシナの横暴に対する後ろ盾を求めた。
ヴェトナムに至っては、国内の反シナを掲げた全国規模のデモが吹き荒れ、もはや暴動に近い騒乱となっている。
インドネシアも、ここに至って反シナの口火を切り、東南アジア全体に危機感が広まっている。
もっとも日本国内では、シナの横暴に目をそむけ、ひたすら安倍首相こそ危険な政治家であるとの情報操作に勤しんでいるマスコミがいる始末である。誰がどう見たって戦争の危機を煽っているのは共産シナであることは明白である。
だが、ここで冷静に考えてみる必要がある。シナの政府が対外的に強硬策に出るときは、必ずと言っていいほど国内に別の問題がある。現在、考えられるシナの国内問題は以下の通り。
1 不動産バブルの崩壊と輸出企業全般の不振
2 ウィグルに代表される少数民族の不満
3 法輪行のような宗教組織の反政府活動
4 国内石油の枯渇と輸入石油の増大
5 習政権内部の権力闘争
6 陸軍中心の北方軍と海軍の伸長を狙う南方出身の地方政治家との暗闘
7 PM2.5のような環境問題
8 砂漠化の進行と水資源の枯渇
9 地方政府の腐敗と癒着に対する民衆の不満
内憂外患としか言いようがないのが、現在のシナの実情である。この国内に渦巻く不満を逸らす手段が反日であり、海洋侵略である。とりわけ南シナ海での石油資源の確保は、さらなる経済成長のためには不可欠なものであり、引くに引けない事情がある。
ただ、その一方でアメリカ軍には抗しえない現実も分かっている。まだまだシナの軍隊は近代化の初歩の段階であり、とても正面切ってアメリカに挑めるだけの軍事力はもっていない。
もっともアメリカには、シナの経済成長を世界経済の原動力にしたい意向もあり、本格的な対立は望んでいない。民主党及びオバマ大統領の意向はシナとの融和だが、アメリカ軍および国防省はシナの野望を看過する気はない。アメリカの対中政策は決して一枚岩ではない。
だからこそ、シナは小さく侵略し、ことを荒立てたくない。さりとて国内を抑えるためにも弱腰外交は出来ない。必然勇ましいセリフだけがまかり通る。私のみるところ、この南シナ海での紛争が戦争にまで行き着く可能性は低い。
ただし、ヴェトナムが絡むと厄介だ。旧ソ連とインド以外の国で、シナに対して戦争を拒まないのは間違いなくヴェトナムである。実際、人民解放軍の侵攻を阻んだ実績もある。
もしかしたら南シナ海を舞台にヴェトナムとシナの戦争もしくは戦闘はあるかもしれない。もちろん周辺国は止めに入るだろうし、なによりアメリカとロシアが必ず関与してくるはずだ。
この段階での日本の集団的自衛権が発動される可能性は低いが、シナの軍事的侵略の危険が尖閣を含む沖縄周辺に至った時こそ、真剣に考えねばならないだろう。
だが、シナという国は戦争すら政争の一手段だと考える国であり、国内の政治こそ第一。そのことは銘記しておくべきでしょう。平和馬鹿の日本人はすぐに戦争か平和かという極端な選択しか視野にない。シナの事情を分かったうえで、様々な策謀を練れば戦争は回避できることもある。
おそらく今回の南シナ海の紛争は、なんらかの形で北京政府内の権力構造に変化をもたらすと予想しています。おバカな日本のマスコミでは、そのあたりの事情が分かりづらいのが難点ですがね。