のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

高野山行3

2015-09-07 | Weblog
金剛峰寺を後にして、壇上伽藍へ向かいます。

大会堂とその軒下の龍。金網は鳥よけでしょうが、躍動的な龍が飛び出さないように押さえているように見えて面白い。


この一角には昭和になってから再建されたというピカピカの建造物もあり、少々面食らいました。
大会堂の前あたりで、さっき金剛峰寺で見かけたようなかなぶんが二匹揃ってひっくり返り、わきわきともがいておりました。ひっくり返ったかなぶんを見かけたら、もれなく助け起こして差し上げることにしております。指を差出すとご両人ともどうにかこうにか立ち直り、「ああ、えらい目に会った」とでも言いたげな後ろ姿で去って行かれました。ころんとした体型といい、いささかどんくさい所といい、かなぶんぶんは可愛いですね。ゴキ諸氏もこれくらい可愛かったら共存できなくはないんですが...。

さておき。

弘法大師の肖像が安置されているという御影堂と、その隣のこぢんまりとした准胝堂。深緑に灯籠がきらきらと映えて、とてもきれいです。


金堂の方へ行くと、少し離れた所で子供たちがわいわい騒いでおります。どうやら可動式になっている塔を回しているようです。ううっ面白そう。普段だったら一人でも塔回しに挑戦する所ですが、炎天下を歩きづめでいいかげん疲れておりましたので、遠くから見守るに留めました。後で調べてみましたら、経蔵であるとのこと。

六角経蔵 - 壇場伽藍(壇上伽藍)の見どころ - 高野山名所図会

横から見た金堂。びゅうんびゅうんと立派な垂木が延びています。


金堂の正面には数年前から再建が勧められ、今年の4月に落成したばかりの中門が立っておりました。柱の緋色も鮮やかな中門を抜け、霊宝館へ。
展示品ごとに丁寧な説明が付いており、ライティングもよろしく、大変結構な展示でした。またワタクシが行った折は名宝展開催中ということで、修復されたばかりのお市の方の肖像画も見ることができました。感想メモを取らなかったので、個々の展示品についての感想は省きます。仏像についての説明書きを読んで驚いたことには、全山の仏像・画像を数え上げてみると、一番多いのは大日如来ではなく阿弥陀如来の像なんだそうです。

霊宝館を出、いいかげんくたくたではありましたが、地面から立ちのぼるような午後の暑さの中を歩いて大門へ向かいます。
↑写真中央は大門を東側から見たところ。写真右端は西側から見たところ。本来なら駅からここまで歩いて、この門をくぐったのちに散策を始めるべきだったのしれません。最後に来ちゃいましたが。

さて時間は午後3時前、夕方までに京都に帰るためにはそろそろケーブルカーに乗らねばなりません。今日3度目のバスに乗り、かつて女性はここまでしか来られなかったという女人堂をすっとばして駅へ。満員のケーブルカーで下界に下りる途中、山腹に「ここがスカイツリーと同じ高さ」という内容の看板が立っているのが目に入りました。へええと思う情報ではありますが、こういうのを得意気に押出してきてしまうあたり、やっぱり何だか俗っぽい。南海高野線に乗ってからはまた『夏への扉』を開いてごとごと帰ります。

『夏への扉』はとても面白かったものの、主人公にとって全てがえらい都合よく終わったな、とは思いました。え、同い年くらいじゃなくて一回り下なわけだ、とも思いました。しかし最終的に猫のピートが幸せになったので何もかも良しとします。
高野山も期待したような静謐な場所ではありませんでしたけれど、奥の院の杉がなにせ素晴らしかったので、良しとしようと思います。