のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

へるむーとず

2007-06-14 | 映画
昨年も申しましたが
6/13はキング・オブ・キッチュにして空前絶後の引きこもり、バイエルン王ルートヴィヒ2世の命日でございました。
↓はルキノ・ヴィスコンティ監督作品ルートヴィヒ 神々の黄昏」のヘルムート・バーガー。



これといった起承転結の無い、堂々4時間の長丁場。
これをダレずに見させてしまうのは巨匠の手腕ゆえでしょうか
はたまた心身ボロボロ状態を演じてもなおオーラを放つ
ヘルムート・バーガーの圧倒的な美しさと目ヂカラゆえでしょうか。

イラスト右下にいるのはロミー・シュナイダー演じるオーストリア皇妃エリザベートでございます。
はつらつとしていつつ気品があり、たいへん魅力的でございました。
ちと さばさばしすぎな感が無きにしもあらずではございましたが
重厚な華やかさが全編を満たしている本作において、彼女の軽やかな華やかさは
よいバランサーの役割を果たしているとも申せましょう。

左の方におりますのはヘルムート・グリーム演じるデュルクハイム大佐。
グリーム&バーガーのヘルムートず は『 地獄に堕ちた勇者ども』でも共演しております。
グリームさんが演じたのはナチの親衛隊大佐(←これは字幕の誤りで本当は大尉らしい)
アッシェンバッハという人物でございました。

SSの制服に身を包み
髪をきれいに撫で付けて
口もとに常に嘲るような笑みを貼付けながら
冷めきった眼差しで財閥一族の崩壊を見つめるその姿は悪魔のように美しかった。三島由紀夫も絶賛でございます。
下から2番目の写真にヘルムートず そろい踏み。↑  左端はダーク・ボガート。

『地獄に~』では実に悪魔的だったグリームさんでございますが
『ルートヴィヒ』では、現実から目をそらし、幻想へと逃げ込むルートヴィヒに対して
唯一、忠信からの諫言を呈する、本作の良心とも言うべき誠実な人物を演じておりました。
登場シーンは決して多くはございませんが、この人物のセリフはどれも
誠実であるが故の重みがあり、印象的でございました。


いつの間にやらヘルムート・グリームばなしになってしまいました。
バーガーよりこっちのが好きなもので・・・