仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

不便益のススメ②

2022年03月06日 | 現代の病理

『不便益のススメ: 新しいデザインを求めて 』(2019/2/21・川上浩司著)の続きです。

車も便利な完全自動運転が実現されると、人が運転するという手間も運転で頭を使うこともなくなります。車は個人で所有する必要はなく、乗りたい時には近くにいる空車が自動運転で配車されるでしょう。ひょっとすると、「自分で」車を運転するなど金持ちの道楽になる未来が来るかもしれません。「あいつんとこの車はノンドルがついているらしいぜ、すげー金持ち」という未来です。それどころか、マイカーを持つことなど、自家用セスナを持つようなものになるかもしれません。

 

研究会のメンバーに、山登りの好きな人がいて、不便益の話がぴったり合いました。「不便の益を得るための便利」という、何を言っているのかよくわからない結論に至ったのですが、山登りにたとえると、以下のようになります。

 頂上に着くことが目的なら、単線的な便利追求の場合、ヘリコプターで運んでもらえばよいのです。でもそれでは、山登りの好きな人にとっては興ざめです。本当の目的は、山を登るプロセスを楽しみ、頂上に達した達成感を得ることのはずです。そのためには、自分の足で歩くという(ヘリコプターと比べれば)不便が不可欠です。つまり、プロセスを楽しみ達成感を得ることは「不便なくしては得られない効用」です。

 

 自動車の変速饑は、オートマのほうがマニュアルよりも楽チン(便利)です。でも欧州には新車販売台数はマニュアル車のほうが多いそうです。今や燃費や価格にさほど差がなく、場合によってはオートマのほうが燃費が良かったり値段が低かったりするのに、あえて不便なマニュアルが選ばれます。

 前にも触れましたが、マニュアル車のほうが、不便だけれどそれゆえに自分でコントロールできる面白さがあるのでしょう。つづく

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