仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

現代人は自意識過剰?

2010年10月15日 | 現代の病理
13日(22.10)の産経新聞の生活面に『来月の日曜から住職の小池龍之介さん、漫画家の柴門ふみさんら5人による「日曜相談」が始まる』との記事が出ていました。

相談に回答することは回答をする人の価値観が明らかになるので、その意味でも掲載を楽しみにしています。

同じ記事で住職の小池龍之介さんが“現代人は自意識過剰”という小見出しで次のようなコメントを伝えていました。(以下記事からの転載)

  『考えない練習』などの著書で知られる小池脂之介さんは月読寺(東京都世田谷区)の住職。寺で座禅指導をしたり、「寺子屋時間」と題した悩み相談に乗ったりしているほか、ウェブサイト「家出空間」でもコーナーを設け、回答している。
 現代人の悩みの傾向について、小池さんは「自意識過剰です」とする。「現実はちっぽけな存在なのに、自分をすごいと思っている。妄想と現との落差にイライラし、自分の現実を抱きとめることができなくなっています」
 自意識過剰から来る悩みを解消するためには、「ちっぽけで弱い自分を見つめ直すことが大事です」と話す。(以上)

「弱い自分を見つめよう」は賛成ですが、自意識過剰の言う言葉で切り捨ててしまうのは、少し乱暴なところがあります。私に言わせれば「あなたほど自意識過剰な人はいない」となります。でも問題提起として面白いと思った。

というのはプラスの自意識過剰もマイナスに働いている自意識過剰もあります。また自意識の過剰か過剰でないかのボーダーはどこか、もう少し掘り下げていく必要があります。

同じ日に見た中外日報という宗教業界新聞(22.10.5号)に東京工業大学名誉教授の森政弘さんがコラムを拝見しました。森さんは『ロボットは博士の仏教入門』など書いており、森先生の文章だと意識して読みました。


題は「ロボコンが気付き促す」

 ロボットコンテスト(ロボコン)が中学校にまでも普及している。青森県八戸市立第三中学校は荒れた教育困難校だったが、ロボコンによって生徒たちの人間育成に目覚ましい成果を上げ、模範校に立ち直った。それを生徒たちの感想文を通して垣間見てみよう。(以上)

とあり2人の生徒の感想文を紹介されていた。

 「僕は機械というものは必ず動いて人間の役に立つものだと思っていた。動かない機械は役に立たないので、お払い箱にしていた。しかしこのロボコンを通して機械が好きになった。動かないものなら動かせばいい。役に立たないなら役に立つようにしてやろうという考えをするようになった」とD君。

また身内の不幸でロボコン本番の競技には出られなかったOくんは、「僕がその場所にいなくても、僕の作った物がその場所にあったら、その物に宿った僕の心が代わりに見てくれるのではないだろうか。……もしこの考え方で考えるとするならば、僕は物を絶対に粗木にしたりできないだろう。もし全人類がロボコンのようにすばらしい事を体験し、何かに気が付いたとしたら、自分だけではなく他人やすべての物にも思いやりが持てるようになると思う」(以上)

この八戸三中は、2001年5月「15才のものづくりの挑戦」(NHKTV)で全国放映されています。テレビ放送される10年前は地域で有名(?)荒れた学校だったようで、ロボコンによって、青森県ナンバーワンの学力と生活態度の素晴らしい学校と言われるまでになったことをネットで知りました。

さて自意識過剰の話です。先の2人の生徒の感想文を読んで思ったことは、“自意識が自立(自律)している”ということです。

自意識は過剰であるか過剰でないかよりも、自立(自律)しているか他立(他律)なのかが問題であるようです。自律していると、自分の自意識に自信がもてるのだと思います。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 心臓移植患者の出産 | トップ | 悩みの解決ー対処療法 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

現代の病理」カテゴリの最新記事