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仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

偏見の構造―日本人の人種観③

2020年03月18日 | 現代の病理
『偏見の構造―日本人の人種観』 (NHKブックス 55・1967/1・我妻 洋著, 米山 俊直著)の続きです。

欲求不満と差別

 の人々や、朝鮮人に対する、日本人のいわれない嫌悪や、軽蔑や、差欲求不満と差別。アメリカの黒人に対する、白人の非合理的な憎しみやさげすみ、その他、世界の各地に認められる、差別と偏見、集団同志の敵意や衝突は、右に詳しくのべたように、集団内部の憎しみが外部にフリ向けられて生じているのである。
 したがって、政治的、経済的、あるいは、その他の何らかの理由で、一つの集団のメンバーが、強い欲求不満を経験し、その結果、強い敵意や怒りが生じると、外にフリ向けられる攻撃的傾向も、また、烈しくなる。明治維新直後の諸制度や慣習の、急激な変革が生んだ社会不安と、経済的困窮の中で、続出した“民差別”事件や、関東大震災における、朝鮮人の大量殺戮も、この例である。アメリカ南部でも過去において、経済的不況時に、黒人私刑(リンチ)の数が多くなる傾向があった。
 
 アメリカ南部において、不況の時に黒人リンチがふえたり、ナチ政権下のドイツで、ユダヤ人迫害が烈しくなったという具合に、同じ一つの社会についても、その社会のメンバーの「欲求不満→敵意→敵意の抑圧→敵意のフリ向け」の程度が、種々の条件によって変化するのと同じように、また、そうした現象の多く生じる社会と、そうでない社会とがあるのと同じように、同じ個人についても、欲求不満の強い時と弱い時では、その人の偏見や差別的行動に差異が生ずるし、また偏見の強弱や有無にも、当然、個人差がある。(以上)つづく

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