『結婚の社会学』(ちくま新書・2024/4/10・阪井裕一郎著)、本の紹介記事です。
・明治前半の離婚率は、いまの倍以上。
・戦時中、国営の結婚相談所が登場。
・神前式が普及したのは、高度成長期。
・日本の婚外子割合は約2%と、極端に低い(EU、OECD平均は40%超)。
・結婚するカップルの4分の1は再婚。
結婚をめぐる常識は、日々変化しています。事実婚、ステップファミリー、同性パートナーシップ、選択的シングルなど、一対の男女による結婚→出産というモデルではとらえきれない家族のかたちがたくさんあるのです。この本では、国際比較、歴史的比較、理論という三つの視点から、結婚というものをひもといていきます。当たり前を疑ってみることで、「ふつうの結婚」「ふつうの家族」という考え方を相対化できるはずです。
「結婚の常識を疑うというのが本書に通底する問題意識となります。……多くの人が「自分のせい」「自分だけ」と思い詰めている問題が、実は社会的な問題であるということに気づくというのはきわめて大事なことであり、社会学にはそれを示す責務があると思っています。」(序章より)(以上)
本文から転載します。
結婚していない人のことを「独身」と呼ぶわけですが、結婚の外にいる人が文字通り「ひとりみ」になってしまう状況を今一度考えなおす必要があります。結婚しなければ、だれかと協力し支えあって生きる関係からはじき出され孤立してしまう社会状況を問題化しなければなりません。
人々が互いをケアしたり、協力したり、依存しあったり、共に暮らす方法、もっと言えば「家族になる方法」が不足していることにわれわれは目を向ける必要があるのです。
仮に経済状況が好転しても(そもそもどこまで経済が良くなればよいのか、その基準が明確ではないのですが)、今の結婚システムを自明視していては未婚率の克服にはそれほど効果はないと思います。孤立の問題に対処するためには結婚というシステムを問いなおす必要があります。
内閣府男女共同参画局「令和3年度人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査報告書」の独身者に対する調査結果を見てみましょう。
現在独身の20~39歳女性が「積極的に結婚したいと思わない理由」(複数回答)としてあげるのは、「結婚に縛られたくない」が48.9%としてトップ「結婚するほど好きな人に巡り会っていないから」が48・8%、「結婚という形式に拘る必要性を感じないから」が41・O%となっています。40~69歳の独身女性においても、「結婚に縛られたくない、自由でいたいから」がトップの60・7%、「結婚するほど好きな人に巡り合っていないから」が58・8%、「結婚という形式に拘る必要性を感じないから」が55・6%と続きます。
このように、生きていくうえで結婚という制度にこだわる必要はないと考える人が増え、「結婚するほど好きな人」がいないと考えている人が増えています。しかし、これらの人は、少なくとも制度上は家族を形成することができず「ひとりみ」で生きていくことになります。
未婚者を結婚に組み込むことだけを目的とするのではなく、これまで結婚を通じてしか担えなかったさまざまな機能を引き受けるための新たな受け皿を用意していくべきではないか。
「結婚ありき」ではなく、人間の支えあいの関係のひとつの選択肢として結婚を位置づけなおすことー。(以上)
参考になりました。
・明治前半の離婚率は、いまの倍以上。
・戦時中、国営の結婚相談所が登場。
・神前式が普及したのは、高度成長期。
・日本の婚外子割合は約2%と、極端に低い(EU、OECD平均は40%超)。
・結婚するカップルの4分の1は再婚。
結婚をめぐる常識は、日々変化しています。事実婚、ステップファミリー、同性パートナーシップ、選択的シングルなど、一対の男女による結婚→出産というモデルではとらえきれない家族のかたちがたくさんあるのです。この本では、国際比較、歴史的比較、理論という三つの視点から、結婚というものをひもといていきます。当たり前を疑ってみることで、「ふつうの結婚」「ふつうの家族」という考え方を相対化できるはずです。
「結婚の常識を疑うというのが本書に通底する問題意識となります。……多くの人が「自分のせい」「自分だけ」と思い詰めている問題が、実は社会的な問題であるということに気づくというのはきわめて大事なことであり、社会学にはそれを示す責務があると思っています。」(序章より)(以上)
本文から転載します。
結婚していない人のことを「独身」と呼ぶわけですが、結婚の外にいる人が文字通り「ひとりみ」になってしまう状況を今一度考えなおす必要があります。結婚しなければ、だれかと協力し支えあって生きる関係からはじき出され孤立してしまう社会状況を問題化しなければなりません。
人々が互いをケアしたり、協力したり、依存しあったり、共に暮らす方法、もっと言えば「家族になる方法」が不足していることにわれわれは目を向ける必要があるのです。
仮に経済状況が好転しても(そもそもどこまで経済が良くなればよいのか、その基準が明確ではないのですが)、今の結婚システムを自明視していては未婚率の克服にはそれほど効果はないと思います。孤立の問題に対処するためには結婚というシステムを問いなおす必要があります。
内閣府男女共同参画局「令和3年度人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査報告書」の独身者に対する調査結果を見てみましょう。
現在独身の20~39歳女性が「積極的に結婚したいと思わない理由」(複数回答)としてあげるのは、「結婚に縛られたくない」が48.9%としてトップ「結婚するほど好きな人に巡り会っていないから」が48・8%、「結婚という形式に拘る必要性を感じないから」が41・O%となっています。40~69歳の独身女性においても、「結婚に縛られたくない、自由でいたいから」がトップの60・7%、「結婚するほど好きな人に巡り合っていないから」が58・8%、「結婚という形式に拘る必要性を感じないから」が55・6%と続きます。
このように、生きていくうえで結婚という制度にこだわる必要はないと考える人が増え、「結婚するほど好きな人」がいないと考えている人が増えています。しかし、これらの人は、少なくとも制度上は家族を形成することができず「ひとりみ」で生きていくことになります。
未婚者を結婚に組み込むことだけを目的とするのではなく、これまで結婚を通じてしか担えなかったさまざまな機能を引き受けるための新たな受け皿を用意していくべきではないか。
「結婚ありき」ではなく、人間の支えあいの関係のひとつの選択肢として結婚を位置づけなおすことー。(以上)
参考になりました。
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