『なぜあなたは自分の「偏見」に気づけないのか:逃れられないバイアスとの「共存」のために』(2021/10/15・ハワード・J・ロス)、図書館の新刊コーナーになった本です。興味深い実験が多数掲載されています。
イギリスのレスター大学の心理学科で音楽関係の研究を行っているエイドリアン・ノースとデイヴィッド・ハーグリブズ、ジェニファー・マッケンドリックは、人が買い物いものをするときに音楽の影響を受けるかどうか実験を行った。彼らは、ごく普通のスーパーマーケットの棚に8本のワインを置いた。4本はフランス産で、4本はドイツ産である。置かれた場所が実験に影響しないように、ワインの瓶は4段の刪にそれぞれ隣り合わせに置かれた。値段と糖度はどれも同じにした。瓶のそばには原産国の旗が添えられた。そして、店内には日替わりでフランスのアコーディオン音楽と、ドイツのビアホールの音楽がBGMとして流された。
結果は驚くべきものだった。フランスのアコーデイオン音楽が流れているとき、購入されたワインの76・9パーセントがフランス産だった。ドイツのビアホール音楽が流れているときには、購入されたワインの73・3パーセントがドイツ産だったのである。おもしろいことに、44人の被験者が買いもの後に質問を受けたとき、音楽に気づいていたと答えだのは14パーセントだけだった。音楽に影響されて買ったと答えたのは、ひとりだけだった。これと似た別の研究では、レストランにクラッシック音楽が流れているときに、客はポピュラー音楽トップ40の曲を流したときよりも高価なワインを注文し、より多く金を使ってしまうことがわかった。(以上)