法話メモ帳より
伏見稲荷大社に寛延年間に創業した丹嘉という伏見人形を扱っている店があります。そこに「饅頭喰い」という名の男の子の人形がある。
両手に半分に割ったお饅頭を持った男の子の伏見人形で、大人が『おとうさんとおかあさんと、どっちが好きか』とたずねたら、こどもはお饅頭を二つに割って、「おじちゃん、このまんじゅう、どっちがおいしいか」と聞き返してきた。問いかけた大人は二の句が告げられなかったという説話を人形化したものです。「お饅がおんなじ味なら、父母とておんなじことやないか」ということ。二つに分けて、どちらか一つをとろうとする思考のパターン。有無の邪見を、あどけない子どもの応答に託して、痛快に喝破したものです。