仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

心理学の戦争への応用

2014年01月17日 | 日記
車で移動中はラジオ放送で「放送大学」を聴いています。

良くご法話で、“条件が整えば、何をしでかすかわからないのが人間である”という。戦争では、以下にその条件を整えさせて人を殺害させるかの研究がなされたと「人格心理学」という講座で語っていました。

以下、その部分の転載です。

 戦争のような異常な状況においては,兵士は殺人マシーンのように無差別に人を殺すようになってしまうわけではない。デーヅ・グロスマンによる『戦争における「人殺し」の心理学』は,兵士たちの戦争時の心理を詳細に分析している。それによると,第二次世界大戦のときには,前線にいて自分や仲間の命が危険にさらされているにもかかわらず,敵に向かって発砲したのは兵士の15%から20%だけであったという。

そこで,その後の兵士の訓練は,過剰な暴力を抑制することではなく、必要なときにも発砲しない兵士たちの殺人への抵抗感をいかに克服するかということに力点がおかれることになった。このような訓練には、いくつかの心理学的な手法が用いられた。ひとつは,殺人のときに相手の顔が見えないようにすることである。一人を銃で狙って殺すよりも,大勢に対して遠距離から手榴弾や散弾で殺すほうが抵抗が少ないからである。また,空爆などの手段を使えば,直接手を下すよりも間接的に殺すことができる。

第二には,相手を殺す大義名分を吹き込み,自らの行為を合理化させることである。敵を蔑視する言い回しをさせ,相手がいかに残虐で非人道的であるかを教えこむ,世界平和に貢献するための戦争であると正当化するなどの手段である。

第三には,行動主義の学習理論の応用である。的に狙いを定めて撃つという複雑な判断が介在する行為よりも,物陰から出てきた的を条件反射的に即座に撃つというものである。しかも,その的の形は丸ではなく人間の形をしているほうが,行動を生起させる条件としてより実際の戦闘場面に近いので,戦闘場面での射撃 率の向上につながる。さらに,射撃の成績によって報酬やサンクションを与えるようにするのである。こうして,反射的に無差別に動きのあるものは撃つという行動が学習され強化されていく。人間の形をした標的への発砲の訓練は,戦闘の実践場面での抵抗感も低下させる。実際に人に発砲しても,訓練時の標的への発砲と心理的な区別がつかず,殺人に対する罪悪感を感じにくいのである。こうした訓練の結果,米軍兵士の発砲率は,第二次世界大戦の15~20%から,朝鮮戦争では55%,ベトナム戦争では90%まで上昇したという。
 (以上)

心理学の戦争への応用ですが、おそらくもっともっと詳細に研究し応用していることでしょう。
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