仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

血液型判断の弊害

2014年01月14日 | 現代の病理
ご門徒のNさんが、骨折で入院していると聴きお見舞いに行きました。病室は個室、リッチな入院生活です。背もたれを起こしたテーブルの上には『運命が変わる!血液型BOOK』 (マガジンハウスムック・580円)が置いてあります。80歳を超えたNさんが購入するような本でないので、おそらく昨日お見舞いに来たという娘さんか孫娘さんがお見舞いの品として届けたものでしょう。会話をしながら「見ていいですか」と開くと、最近の血液型の本は、商売熱心という意味で優れものです。

本の内容紹介には次のようにあります。

A型、B型、O型、AB型という従来の血液型診断に、星座や両親の血液型など、ひとつ要素をプラスすることで、より詳しく深く自分がわかる。血液型×脳タイプで知る、右脳派か左脳派か、男脳か女脳かを判定 し、それと血液型との組み合わせで、あなたの潜在能力を探ります。(以上)など、星座や両親の血液型などの組み合わせで、生き方を導くと言ったものです。

この血液型判断は、文化的暴力ともなるとも言われます。血液型による性格判断が流行したのは古川竹二(1932)によって提唱された「血液型気質相関説」に起源をもつと言われていますが、血液型によって人を差別していく考えにつながっているからです。

この古川学説に対して、社会心理学者の大村政男(1990)は,血液型性格判断がなぜ根拠が薄いのに信じられるのか,あるいは「あたっている」と感じる大が多いかを説明するものとして. FBI効果というものを提唱しています。

「FBI効果」とは、「フリーサイズ効果(Freesize)」「ラベリング効果(Labeling)」 「インプリンティング効果(Imprinting)」の3つで、各効果の英語表現のうちの傍点を付けた文字をつないだもので、ある。
 各効果の内容は以下のようなものである。

 フリーサイズ効果というのは、フリーサイズの洋服がすべての人に適応してしまうように、大ざっぱな判断なので、すべての人が一面そうした性格を持っているので適応してしまうことです。

 ラベリング効果というのは、ラベル(レッテル)によって内容が規定されてしまうことである。これがO型の特徴だと書いてあれば、内容が何であってもO型だと思い込んでしまうことです。

 インプリンティング効果というのは、最初の接触で強い印象が人の心のなかに刷り込まれることで、A型の特徴だと書いてあれば、A型の人の心にそれが刷り込まれ、ずっと消去しないというのです。あなたはかくかくしかじかの性格だと言われると,自分でもそう思い込み,それに合うように振る舞っていくことです。

「血液型判断は何が問題なのか」によると、以下かきネットからの転載。
http://www.remus.dti.ne.jp/~nakanisi/ketsueki/probrem.html

また、この議論には「差別とは何か」というたいへん難しい問題が横たわっていることも考える必要があるでしょう。血液型のばあいを考えると、次のことは言えそうです。

1. 「血液型性格判断」は、先天的で基本的に変えるとことができない血液型で人間を分類しようとする。
2. 血液型による性格判断を不快に感じたり、明確に不愉快に思っている人が存在する。
3. ビジネスや恋愛に用いられることで、一部の血液型の人に不利益が生ずるおそれがある(あるいは既に「生じている」)。
4. 性格形成における遺伝の影響を過大視するあまり、その人の努力とか生育環境が軽視されるおそれがある。
5. 1~4の弊害に比べ、血液型で人間を分類することの利益が不明確。
(以上)
だそうです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする