超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

赤羽39/Theピーズ

2010-10-31 07:33:59 | 音楽(旧譜レビュー)



活動してるのに新譜を出さない、ってバンドでは今のTheピーズはかなり上位なのではないでしょうか?
もう5年もアルバム出てない。
たまにシングル出すし、ライブもやってるけど。そろそろ新譜聴きたいよう。
 って事で今現在の最新作である「赤羽39」についてのレビューでもやりたいと思います。
ほぼ全曲ポップめに作られてる聴きやすいアルバムです。
ある意味入門にも合うかも。




「外道にもなれた 卑怯にでも
 で、どうにか生きた ショイ込んで続くんだ」 (ノロマが走って行く)

「やるだけやってこの程度で
 今更思い残し無ねえのか
 テメーでヨロシク後片付け
 楽じゃねえだろリサイクル
 どう回してこう
 どうやって使おう」 (リサイクリン)


メロディ自体はポップで聴きやすいし、バリエーションも豊富。
パンクっぽいテンションの曲もあれば歌主体のメロディアスな曲もある。
ベテランバンドが繰り出すには申し分ない出来の一作。

が、こと詞に関しては
いつも通りというか(笑)。
もう正にグッタリしながら聴きたくなる感じで。
でも絶対こういう世界観が沁みる人はいるはずだし、っていうか誰もが持ってるものかもしれないし。
現状を確認する、って意味でも
現状を憂うような音楽は必要なんです。

そういったくたびれ度も、当時39歳だったはるさんの事ですから
そりゃもうMAXか、ってほどに表現されています。
自分よりもずっと年上なんですけど
これが普通にリンクしてしまうのが恐ろしいというかなんというか。


「もう生きた たくさん生きた
 耳の中で ただ生きた
 まだ まだ まだなのか」 (耳鳴り)

若い頃、それこそ名盤「とどめをハデにくれ」あたりの音楽も非常に説得力があって良かったんですが
この作品にはこの作品で
年を重ねたからこその哀愁があるというか。
上記のようなフレーズは、40代直前であったはるさんだからこそ説得力を持って響かせられたのだと思う。

の他にも「クリスマス」「風の夜」なんかもその世代ならではの視点なのかな、って思いますが。
実際その年代ではないんですけど、なんとなくそう思います。
いつも通り、とはいいつつも
微妙に違ってきた部分も垣間見れるような。そんなアルバムですね。
詞のテーマもそれなりに分散されてるので、その意味でも聴きやすさ十分。



このアルバムのキーポイントは実は「生きてれば」にあるのかな、と
この作品を昨日聴いててちょっと思いました。
割とこの作品全体で歌われてる事に対しての答えのような・・・って言うと大げさかな。

「ここは何処だっけ 便所か
 もうずっと泣いてたか
 何だかんだ生きれてんだ 
 もっと笑うぜ 笑えるんだぜ」 (生きてれば)


ある一定の人間にとっては沁みる詞ばかり。でもだからといって共感だとかを目当てにしてるんじゃなくて
それよりはある種の扇情の音楽なのかな、って勝手に思います。
多分当人たちにそんな気はないんだろうけど
不思議とまた立ち上がろうか、って気になるような。というかなる。なるかどうかは人それぞれ。
でも、今聴いてもやっぱ素敵なアルバムだと思います。
 40代に突入したはるさんの世界観も是非聴きたいと思う。アルバムで。
Theピーズは自分の中では完全にアルバムアーティストなのでね。



「僕に舟はあるのか 外へ また手探りへ」 (東の窓)





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