今年3発目の全曲レビュー。
今回はアナログフィッシュの「Life Goes On」です。
2月に出たアルバムですね。
ドラマー斉藤復帰後、初のアルバムとなった訳ですが
紆余曲折あった彼らだからこその
紆余曲折が垣間見れるアルバムになってるんじゃないか、と今は思います。
結局のところ、どんなにあがいても道は続いていくし止る事も出来ないんだから
じゃあどういう風に生きていこうか、だとか
少しでも日々を彩る方法をとか、
作風やテンションに反して、個人的にはパンク的な意味合いを持つアルバムだとも感じています。
何気にいいフレーズ多いですしね。
常にモヤモヤを抱えているような人の、支えになってくれるような一枚。それでは以下。
1.NOW
イントロ的な楽曲。
だけど、意外に尺は長く、それだけでも済まないようなカタルシスがある曲。
これから始まるアルバムの内容に対する期待を煽るのと同時に
一日の始まりなんかに聴いても、ちょっと気が引き締まっていけるような、
そういう聴き方もアリな曲だと思います。
実際結構通勤の時にこの曲をよく口ずさんだり聴いてたり。
歌詞もサウンドもシンプルと言えばシンプルなんですけど
そんな中に様々な気持ちや思想が込められているような、そういう曲ですね。
2.Light Bright
今作の下岡曲の中でも屈指の名曲。
格式高いメロディや、タイトルを連呼するバックボーカル、最後のラララ~までの展開を含めて
実に洗練された、シャキッとした精神で鳴らされているような楽曲です。
アナログの曲の中でも特に凛とした音像の曲じゃないですかね。
曲の流れも実に気持ち良いです。
「「やり直せたら」って思ったりするような日々の先に
素晴らしい何かがあるなんて どうしても思えない」
「でも見なきゃだめだったよ
胸が痛くても
聞かなきゃだめなんだよ」
誰から傷つけられても、その逆だったとしても、何をどうすればいいか分かんなかったとしても
最終的には事実を受け入れて前に進むこと。
事実を受け止める、ってことの大切さを教えてくれるような、そんな曲。
考えてばかりで終わったら、寂しいですもんね。人生なんてものは。
3.ハッピーエンド
こっちは逆に佐々木曲で最も素晴らしい楽曲だと思う。
とにかく歌もサウンドも非常に開放的で
爽やかな風が吹いてる涼しげな季節にテラスかなんかで浸りながら聴きたい一曲。
もちろんフェスとかで聴いても気持ち良さそう。
とにかく佐々木ボーカルの真っ直ぐで歪みがないって利点をフルに生かしているような曲ですね。
この一点の曇りのなさは名曲「アンセム」に通じるものがあるかも。
アンセムの良い部分を再解釈して出した、って風にも聴こえる。
詞も曲も実にストレートな名曲です。
この曲のメロディの素晴らしさは一度聴いてみて欲しい。アニメなんかに使っても大丈夫そう。
4.Life Goes On
「やりたい事をやって とても大切な人を 傷つけてしまったとしても」
一応、表向きには前向きな曲だと思うんですが
個人的には結構、後悔とかペーソスなんかがそこはかとなく漂ってくる曲で
たまに聴いてるとちょっとどうしようもない気持ちになったりするんですが
それがまた沁みてくるような感じもしたり・・・。
痛気持ち良いといいますか。
そんな個人的解釈を抜きにしても、普遍的な良曲だと思います。
タイトルにするのもうなづける。
5.平行
個人的に「Light Bright」「ハッピーエンド」がこのアルバムのツートップだ、って思うんですけど
たまにこの曲が一番なのでは?と思う時があって。
そこまで派手な曲ではないんですけど
たまにもの凄く自分の心情にフィットする時とかがあって、
淡々とした雰囲気でありつつも、詞や音に込められた想いは逆に熱いな、と感じる曲です。
もしかしたら一番一般受け良い曲かもしんない。
ちょっとオシャレな雰囲気もあるし。
2つの声が重なってる感じだとか、
急にギュイーンと鳴るギターの激しさだとか、
日常を歌いながらもどこか非日常的な空気感だとか、
中々にツボる要素の多い楽曲です。
この曲も名曲、といって差し支えないと思う。私的に。
6.曖昧なハートビート
このアルバムって、気合入った曲が多いんですよ。
でも全部が全部そういう曲だったら、聴き手としては疲れてしまいますよね。
という訳で息抜き的な楽曲を、ここに。って感じだったのかなと想像させる曲です。
要は、他の曲と比べてリラックスして聴ける、ということ。
ただ、歌とアレンジに関してはそうなんですけど
意外と歌詞は本気度高かったりするんですよね。
「どんなに素敵な場所であろうと君が居ないのなら価値はないし
どんなに誰もが行けとせかしても僕らのハートが違うと言うのなら」
このフレーズが冒頭で挙げたパンク性を感じた部分の一つだったりします。
歌い方もいいんだよな。
頑張ってるのか気楽なのか、はっきりしてないところとかも。
7.kiss
タイトルは可愛いですが、曲は割とゴツくてシリアス。
よくよく考えれば1stアルバムのタイトルでもありますよね、これ。
鏡の中にいるような、って抽象的な形容詞を使いたくなる位凝ったアレンジから
一気にブルージーになっていくサビとのアンバランスさが魅力的な一曲。
重いですけど、
その分聴き応えはあります。
8.Tomorrow
意外にも、この曲も大好きになってきたんですよね。
最初はあんまり印象に残らなかったんですけど
聴き込む内にポップさを大事にしてる曲なんだな、ってのが伝わってきて。
思ったよりポップに聴こえてきたな、というか。
軽快は軽快な曲なんですけど
この曲もまた歌詞の部分に於いて深みを演出している一面があって、
その辺のラインの引き方のセンスはとても好きですね。
必要以上に軽くしないところが。
それと、歌詞を読むと現実的な事にも精神的な事としても捉えられるような気がして、
そういった柔軟性もアナログらしくて好きです。
9.Ready Steady Go
ラップか、或いはポエトリーリーディングか、
とにかくヒップホップ的な面白さを持つ楽曲ですね。
喋ってるようにも聴こえる。
こういう曲を出来るようになったのも今のアナログの強みですかね。
そしてこの力強い流れの中だとさほど違和感もないのがこれまた良い構成力してる。
多分、このアルバムの一つの到達点です。
歌詞も何だか今までの総まとめみたいに聴こえるし。
「ベッドルームから抜け出して輝く世界を見に行こう」
このフレーズがとても象徴的。
10.ハローグッバイ
非常に真っ直ぐな応援歌。
ここまで振り切った応援歌を歌えるのも、紆余曲折を経たアナログならでは。
年代を経たからこそ歌える歌って多分誰にでもあると思うんですが
その一つがこの曲なのでは、って思いますね。
昔ならここまでストレートには言わなかった気がする。
どことなく背中を押してもらってるような、人生を祝福してもらってるような、そんな温かい一曲。
個人的には1~9までがこのアルバムの核で、この曲はそこからの一歩、って感じもします。
聴き手を送り出す一曲。
このアルバムは、アナログフィッシュの中では最もシリアスなアルバムだと思っていて
歌詞カードなんかを読んでますと
自分の過去と照らし合わせてへコんだりすることもあるんですが(笑)
でも向き合えば向き合っただけ返ってくるような
何か一つや二つ掴んでいけるような、そういう実のあるアルバムだとも思っていて。
聴き手を正しく奮い立たせるような。
まあごちゃごちゃ書いてきましたけど、単純に優れたロック・アルバムでもあると思います。
アレンジも中々に面白いので
その点でも是非色々な人に聴いてみて欲しいところ。
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