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悲しい夜の向こう側へ

NICO Touches the Walls「HUMANIA」全曲レビューその2「衝突」

2012-01-26 03:13:56 | 音楽(全曲レビュー)





NICO Touches the Walls「HUMANIA」全曲レビューその2「衝突」です。





2.衝突





この曲は正直現段階でも相当助けられてますね(笑)。
ものすごく非生産的な曲なんですよ。
疲れただとか
嫌になっただとか
そういう言葉だけで、まったく解決の糸口さえ見つからないまま終わる、っていう。
本当に救いの用意されてない、しかもそれがやたらリアルっていう傷口に大きく沁み込むような歌なんですけど。
じゃあそれが単なる嘆きの歌なのか、って言ったらそれもまた違くてその最中で必死にもがくと言うか
全力でじたばたしてるようなある意味ではシンパシーを生むような作りになっていて。

例えば初期のこういう曲でも、全く光の無いまま終わるって事は無かったと思うんですけど
この曲は一切の光明を掴めないまま一人ぼっちで終わっていく曲なので
割ともうちょっと落ち着いてから出しなよ、って曲でもあって。
でも個人的にはこういう曲を今の、微妙に売れつつあるタイミングでやってくれたのが逆に嬉しいっていうか
要所要所で変わりつつも、肝心な根本は変わってないんだな、むしろ掘り下げられてるんだなって。
そういう訳で長年のファンとしてもこういう曲をアルバムの掴みにしてくれたのは大きかった。
なんで、その意味でも個人的には結構な重要曲ですね。
ライブで聴くと重みが増しててそれもまた◎でした。





【もういい やれやれだ 疲れちまった】

疲れてる時にこういうフレーズ聴くと逆にフラストレーションが発散されて
結構気分が楽になったりするんですけど
これもまた
音楽の中で本音で会話するっていうか、正直こんなんしょっちゅう思ってますからね。正しい歌詞だと思う。
それを大きな声とダイナミックなサウンドで思い切り吐き出せる効果は何気に凄く大きいですね。


【いやいや笑っちゃうくらい みんな間違ってるのさ 
  俺は俺でしかないから 責められやしないぜ  】

他人と自分を比べたり、他人と違う自分を恥ずかしく思ったりする事も正直あるけれど
だからと言って安易に変えられるものでもないし、体が変えられないですし。
そこに対して引け目を感じたとしても
結局はしょうがないっていうか
本当に責められやしないんですよね。自分は自分でしかないっていうのも事実だ。
だから、こうやって必死に自分の中で言い聞かせて咀嚼しようとしているギリギリの歌詞
そこにやっぱり大きなカタルシスを感じてしまうし、シンパシーも同じ位感じちゃうっていう。

他人の心境なんて分かりませんけど
自分の心境だけで判断するならば、思った以上に自分に対する自信なんてないですからね。
むしろ、生きてると隣の芝が青く見えることばっかでね。
それに対して延々と悩むのはどうなんだ?って思ってても
思春期とか過ぎたとしても
永遠にまとわり付く課題でもありますからね。だからこそ、そこに対して必死に肯定しようとあがく
確信の無いまま進もうとするこの歌詞が自分の中で異様に響いちゃったのかもしれません。
このフレーズの部分に突入すると毎回感情移入してしまいます。



【そうやって曖昧にして答えを急いだって ジレンマは消えやしないんだ 白黒つけるの大変だ】

これが歌詞の後半に来るって事は
本当に悩み苦しみもがいたまま終わりを迎えるって事で
それがある種痛快でもあるんですけど
逆に言えば、そんな簡単に答えも出口も見つからないんだよってメッセージでもあるように思えて
でもそれが一つの人間らしさなのかなあ、って気はしますね。

特に何も考えずに、無理矢理暗示して搾り出した答えよりも
数ヶ月長年若しくは数十年一生そうやって考えて見つけて出した答えの方がいとおしいのは明白で。
誰だって何かしらのジレンマは抱えて生きてるもんだと思いますけど
そうやって痛みや迷いを感じる事自体必死な証拠っていうか
それもまた生きた証しなのかもなあ、と。
少なくともこの曲を聴いてるとそんな風に感じられますね。奥深い詞だと思います。個人的な意見ですが。




ツアーでも既に演奏されてますが、回数を重ねる度にどんどん磨かれそうな予感。
音源以上にリズム隊のアピール力が強く感じられて面白かったですね。




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