超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

UKFC on the Road 2013@新木場STUDIO COAST 13.8.21

2013-08-24 21:03:56 | ライブレポ















5年半ぶりに五十嵐隆を生で観てきた。











凄く尊い時間だった。
イベントの都合上6曲という少な目のセットリストだったけど
そんな曲数の中でも今現在五十嵐さんが必死にもがきながら生きている事が伝わって来た
それが何より嬉しくて、自分もまたもがいてみようと思えた・・・自分にとってはそんな時間でした。
五十嵐さんだけじゃない、ノベンバ、きのこ帝国、オウガなども同時に素晴らしかった
締めまで含めてとても有意義な時間を過ごせたと素直に思えた一日でした。
甲子園に夢中になってたから結果が気になって楽しめないんじゃ・・・という懸念もありましたが
最後の曲が演奏されている最中に「ここにいれて良かったな」と感じれたあたり音楽の力を再確認出来ました。
このイベントは今年初参加でしたが、とても良いイベントに感じたので来年もまたやって欲しいですね。
純粋に音楽「だけ」に夢中になれたのが一番良かった。








新木場スタジオコーストは実に約2年ぶりの来訪。
千葉からは東京で一番近い会場なので出来ればもっとここで観たいですね
ステージは2ステージ制、でも同じ空間に2つのステージを用意している構成だったので
移動する手間が省ける上に実質全アクトを普通に観れるという親切なイベントでした。


◆Killing Boy

到着の時間が開演時間をオーバーしてたのであんまり観れなかった
それでも日向秀和のベースの存在感は流石のものでしたね。



◆MO'SOME TONEBENDER

全体的にエレクトロ路線の楽曲中心で新木場を暗黒ディスコに染め上げていました
「Lost in the city」なんかは大きな会場で聴くと通常以上に中毒性増すなあ、と。
意外にスケールの大きな曲なのかもしれない。今も未だ脳内で鳴ってます。
最後に「We Are Lucky Friends」でガラッと明るくなったんだけど、その明るさが妙に切なくも感じました。



◆OGRE YOU ASSHOLE

折角のフェス的イベントなのに「素敵な予感」のオルタナバージョンをチョイスするという選択に惚れた(笑)。
ポップさの欠けらもない超ドープで無機質な音像なんだけど、そのシンプルさが個人的にはツボで
ダークな雰囲気が延々と拡がっていく「空気を読まない気持ち良さ」にひたすら痺れてました。
どこでやろうが、オウガはオウガでしかない感覚というか・・・
そのブレなさに感銘を受けつつ
不穏な空気がどんどん聴き手に馴染んで最終的に感動を生むバンドマジックを存分に堪能
イベントの雰囲気やハコの雰囲気に染まらず独自世界を展開出来るバンドの強みを味わえました。
そして最後の「ロープ」のロングバージョンはやっぱり原曲に匹敵するくらいに素晴らしいなあ、と。
ギターの音色がやたらあったかく、優しく響いてた情感含めて圧巻の「ロープ」だった。

1.フラッグ(alternative version)
2.フラッグ
3.素敵な予感(alternative version)
4.ロープ(Long Version)



◆きのこ帝国

1.退屈しのぎ
2.ユーリカ
3.国道スロープ
4.WHITEPOOL
5.明日にはすべてが終わるとして

サウンドチェックの時に「夜が明けたら」を演奏してました。
きのこ帝国は今まで小ハコ、中ハコでしか観た事がなかったんだけど
大きな会場で響く「ユーリカ」を聴いてたらホールでも聴いてみたいな、と素直に思えました
というか意外と大ハコ向けのサウンドスケープなんだな、って個人的に感じましたね
スロウでありながら刺々しく攻めるギターフレーズ、
いつも必ず感動してしまう「明日へ~」の絶唱も場所の大きさも手伝って更にスケール感を増して響いてた。
「退屈しのぎ」はいつも以上にギターフレーズがみずみずしかったなと思ったし
「WHITEPOOL」の陶酔感もまた見事な出来栄えだった
最後の「明日にはすべてが終わるとして」ではちょっと泣きそうにもなったんだけど
そういう風に大きな会場でもしっかりと強く響かせる事の出来る実力と音楽性のポテンシャルを存分に感じました
きのこ帝国を大ハコで聴くとここまで気持ち良く感じるものなのか・・・って最終的には。
勿論小ハコでかじり付くように観るのも好きですけどね。
でもホールでも通用しそうだな、と。

それにしても「明日には~」の「僕たちは」のパートの威力はやっぱ絶大。一気に感情揺さぶられます。



◆THE NOVEMBERS

1.dogma
2.primal
3.はじまりの教会
4.永遠の複製
5.彼岸で散る青
6.Gilmore guilt more

ノベンバも凄く良かった・・・!
「お祭りだ」って雰囲気が一切なくあくまでノベンバをやり通してる芯の強さが最高でした
最後が「Gilmore guilt more」っていう雰囲気を散らかしたまままとめずに終わったんですけど
その不敵なステージング、構成が本当に素晴らしかったな、と
予定調和を感じさせない選曲だったと思います。

音源以上に重厚感がありまた聴き手に突き刺すように奏でられた「dogma」の時点で恍惚気味
そして続く「primal」では精神性ではなくフィジカルなロックの旨味を存分に放出していました
こういうストレートに肉体に訴えかけれる楽曲を作れたのは大きいかも、と。
新譜のリリースライブに行けなかった事もありこの二曲を思いっきり楽しめたのは個人的に嬉しかった。
どんどんと白熱するテンションに終始釘付けでしたね。

その後、本音を一挙に吐き出すような沁み入る「はじまりの教会」、
感情移入しながら言葉の一つ一つをしっかりと受け止めて後半は盛り上がり重視の構成
「彼岸で散る青」の頃にはすっかりノベンバの世界が会場を覆い尽くしているようで非常に痛快
アウトロの解放感も流石のもので「いつも通りでいつも以上」をこの日もこなしてくれた
そのまま大団円ムードかと思いきや前述のように不穏さを撒き散らして終わり、と
グッと来るだけでなく先が読めないドキドキもあったのが尚良かったです
聴き手の心に直接触れてくれる音楽だなあ、と改めて。



◆dip

ギターの音が終始ギラギラしていて単純に気持ち良かった
ベテランの余裕が音から出てたのが流石、という印象でもありました。



◆五十嵐隆

1.She Was Beautiful
2.無効の日
3.君待ち
4.デイパス
5.負け犬
6.(I Can't)change the world



ギターを存分に掻き鳴らし一生懸命歌う姿を観て思わず涙が出そうになった
涙が出そうになったのは感傷的な意味合いだけじゃない、歌詞が切実に伝わって来たから
もっといえば今の自分の心境そのまんまの歌中心に構成されてたから・・・かな
曲自体はイベントに合わせて全部「COPY」からだったんだけど
別に不満足という事もなく
むしろ初めて生で「君待ち」「デイパス」を聴けた事から満足度の方が高かった
全体的に躍動感のあるアレンジに磨かれていてそれもまた凄く新鮮で良かったですね。

何も語らず、ただ無作為にギターを掻き鳴らし歌う、だけ。
それなのに溢れ出るカタルシスと琴線を次々に揺さぶってくるパワーは
やはり五十嵐隆という存在が代替えの効かない無二の存在である事をしっかりと示していました
ギターの音色や歌にしっかりと生命が宿っている感覚というか・・・
こういう言い方が正しいのかは分かりませんが
私の目から観てるとこの日の五十嵐隆はとてもエネルギーに溢れていました
勿論本人の心境なんて知る由もないですけど、少なくとも枯れた感じは全くしなかった
そんな彼の表現に再び生で触れられた事は間違いなくプラスにも勇気にもなった
またこうやって表舞台で曲を奏でてくれる事に感謝しつつ、
まだまだ五十嵐隆の歌をギターを生で聴きたい、そう確かに思う事が出来たのが一番の収穫だったかな。

ハイライトは「(I Can't)change the world」だったと思う


「人は何を望めばいい
 全てを失ってもなお」

このフレーズの時の歌声は本当に力が入ってました
その必死な叫びにも似た歌声にグッと来させられたのは間違いないんですが
同時に凄く足掻きながら表現している気もして、それでも弾き続ける姿に余計に涙腺刺激されたのでした
そういう人が一生懸命歩いていく姿に一番励まされる気もする。これからも、聴ければ、と思った。
やっぱり自分にはどう考えても五十嵐さんの歌が必要だから。
全曲素晴らしかった。



☆一旦休憩

昼から観ていて疲れたので一旦屋台でかき氷を買って涼みながら休憩。
それにしても人が多くて休む場所が見当たらなかったですね。
ポリシックスの時に復帰。



◆POLYSICS

うん、まあ、こういうイベントでポリシックスって時点で外すワケがない(笑
なんかもう横綱相撲のような、安定も安定のライブだったかなと
それを毎回こなせるパワーは凄いな~って素直に思ったんですが
フィジカル的要素が強いからこそブレないのかな、とも観ていて感じましたね
百戦錬磨のライブモンスターの本領はこの日も発揮されてました。
とにかく、考える暇を与えず踊らせるセンスの高さに脱帽。

DJハヤシでも出てましたが、これは余興的な要素が強かったので外のビジョンでゆっくり眺めてました。



◆the telephones

実は初めて観ました。
あんだけイベント・対バン引っ張りだこなのにこの日初めてっていうのがなんとも意外ですけど
正直このバンドに関して言えば初めてとかあんまり関係ない気がしますね
つまりは、何も気にせず普通に楽しめた、って事です。

MCで「エグなんとかさんが~」とひたすら彼らに対する敵意を向けてましたが(笑
ライブ自体は終始ハッピーでアグレッシヴな雰囲気で完全に何も考えずに楽しめてました

内心、このラインナップなら最後はポリでいいのでは?とも思ってたんですが
アンコールの「Love&DISCO」を聴いてたらああ、このバンドが最後で良かったって素直に思えたんですよね
ピースフルな雰囲気と風船がいっぱい飛んでくるパレード感、多幸感に包まれる事が出来て
立派にトリとしての役割を果たしてくれていたように思う
鉄板の「urban disco」の有無を言わせない楽しさ、
「Monkey Discooooooo」の圧倒的な盛り上がりを含めて観客としても完全燃焼出来たかな、と。
期待以上のパフォーマンスを見せてくれた彼らに感謝です。














この日のラインナップは個人的に堪らないものでしたが
初めて観るバンドでも満足度が異様に高かったりして目当て以外でも純粋に熱狂出来たのが大きかったです
そして転換の時間がかなり少なくワンアクトが終わってものの10分程度、
或いはそれ以下でバンバン次のアクトが始まるライブ感もまた最高でした
今年もフェス等には一切参加出来ませんでしたが、個人的にはこの日である意味十分かな、と。
それくらいの価値はあったと思います。正に音楽「だけ」がそこにあった日でした。それが、良かった。