超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

γ-ガンマ- 第6話「最弱のヒーロー ディスチャージ後編」 感想

2013-08-03 16:26:57 | γ─ガンマ─

















(個人的に)SQで一番好きな漫画。アンケートも毎月出して応援中です。













あのー、私こういう「誰も悪くないけど、起こってしまった軋轢」みたいな話が大好きなんです
全部を救おうとしたユリの判断が間違ってたとは思わないし、確かに理想論ではあるけれど
それでも彼女は元ヒーローでそれ故の苦悩も知っているから
どうしてもヒーローに肩入れしてしまう
それに加えて生まれてくる子供の事や、単純に人としての情みたいな部分もあったりして
もっと言えば元々ヒーローだったからこそ目の前の全てを救いたい気持ちが、矜持が残っていた
その幻想や理想、そして何とかしてあげたい!という気持ちが打ち砕かれてしまった絶望の表情―
少し不謹慎な書き方ですけど、これはこれで刹那的で美しかったですね
「信じられない」という気持ちが直に伝わって来る渾身の表情と静かな演出の数々です
1話に続いて思いっきり泣きそうになってしまい
感情を揺さぶられました
それもやっぱり前後編でしっかりとディスチャージの信念や理想を語るシーンを描いたからなんだろうな
ユリが彼をあそこまで救おうとしたのは彼の意思や境遇に感情移入してたからだと思うんですよ
どうにかして救ってやりたかった
同じヒーローとして何とかして延命させてあげたかった・・・
ユリが抱く信念と理想に立ちはだかる現実という名の大きな壁と、同胞の無残な姿と。
またもやユリのトラウマスイッチが入りそうな予感がしますけど、苦悩を乗り越えるのもまた宿命。
来月の展開も震えながら待ちたいと思います。今月は本当にショッキングでした。

私は荻野純さんの絵柄が物凄く好みで美少女の描写を眺めてるだけでたまらないんですけど
それに加えてこういうどうしようもない現実・・・というか、悲しみを描く事が出来るセンスというのは
ツボな上に更にツボというか、物悲しい感情が読んでてサーッとこちらに届いてくる
要するにキャッチーさと情感が同時に存在しているのが凄く好きなんですよね
それはもう今まででも随一だったんですけど、
ただ単に女の子が可愛い云々だけではなく、きっちりと辛い現実も描いてくれてるのが尚良いというか
今月のこれを読んで美少女+アンニュイというのは本当に自分のストライクなんだなと
改めて理屈でなく感覚で確認してしまいました
ここまで衝撃的で、また美しい絶望を描いてくれた事実に感謝したい。
某漫画でも言ってましたけど、「絶望は美しい」っていうのは正にこれのことですね。
来月以降はきっとユリの再起や葛藤のお話になると予想してますが、ここまでやったからこそ
その瞬間もまたドラマチックになりそうな気はしています。

ああ、でも正直ユリの心境は純粋に心配だな・・・。
年頃も年頃だし、大人ってほど割り切れもしないだろうし、下手すりゃそう簡単には立ち直れないかな。
しかし落ち込む時は完璧に落ち込んだ方が再起の為にはプラスですから、ここまで絶望そのものだったのは
今後の心境を考えるとある意味良かったのかも。ユリは完璧に正しくはなかったけれど、
でも少年誌の主人公がそこまで割り切った考えになるのも嫌だよな。
その辺どう折り合いを付けていくのか。
ただ今は素直に彼女を応援してあげたいですね。いちファンとして、そういう気持ちです。
最後まで仲間を救おうと必死で足掻いたその姿は、個人的に肯定してあげたい。
それが見方を変えれば間違っていたとしても、です。


ただ、隊長の判断も中佐の判断も間違っていたか?というとそうじゃないんですよね
ユリやヒカリの行動は人情的だったとは言え私情も入ってる訳で
客観的に考えれば暴走したヒーローを殺す方が市民の安全の為には正解だと思える
冷徹ではありますが、あっさり切り捨てる考え方ではありますが、間違ってるとも言い切れない。
だから、彼彼女らに嫌な奴なんてイメージを抱く事は出来ません。
それもまた考えた故での行動、情を棄て確かな現実を掴む為の意義ある行動。

だから、結果的に誰かが絶対的に悪い訳ではないけれど
それでも引き起こってしまった絶望が発生する、という・・・
そういう描き方だからこそ「どうしようもない現実」という感触を得る事が出来たし
誰かを安易に悪役にしない作劇にもまた感心する事が出来た。物凄く悲痛なお話でしたが
物語の主人公ならば挫折の一度や二度は必ず引き受けるべきだとも思うので
ここからのユリの変遷に大いに期待しています。
中立の立場とはいえ、しっかりと役割を果たしてくれたヒカリの存在も頼もしかった。
そこまで理想を追った考え方ではないけれど、自分の出来る事はやってあげた、っていう。

読み終わった後かなり動揺しちゃったんですが
やっぱり心にある種の傷跡を残すお話が個人的に大好きでもあるんだなあ、と
今まではどっちかといえば姉のミユキのが好きだったんですけど、今月はユリに感情移入せざるを得ないですね。
残酷な世界の中でもどうにか理想に辿り着こうと懸命に頑張っている少女たちの物語。
その健気な姿勢に終始胸を打たれていた6話目でした。
この漫画本当に好きですわ。


空気読まずに今月の可愛いポイントを・・・。
まず、倒れたお姉ちゃんを支えながら「ヒカリちゃん」と泣き顔のユリ
このシーンは思わず抱きしめたくなるくらい可愛いですねー。微妙にユリに傾きつつある(笑
あとライトブライトは意外とミユキにも負けないくらいグラマーなんですね
目の保養になるなあ、と思いつつ
さり気に弱点も晒しててチートじゃないのも良かったですね

赤ちゃんに触れてる時のユリの表情の数々は後半とは違って正に天使!って感じでした
考えてみればほのぼのから動揺って凄い構成だなあ、とか思いつつ(笑
多少ひねくれてはいますけど、本質は純粋で可愛い女の子なんだなと感じさせるカットの数々でした
この辺は素直に癒されますね。

一番可愛さ的にツボだったのは扉絵ですかね!
可愛くも官能性もあるっていうジャストなイラストに仕上がってました
まるで事後みたいな感じ・・・でもあるので下衆的にもお世話になりそうですね(何
ユリのデレデレの表情にミユキの胸元とさり気にたってるアレ、そして生足・・・と
ストーリーだけではなくサービス的な意味合いでもきっちり満足させてくれる荻野純の手腕に拍手。
今月も物凄く密度の濃い、そして考えさせられるお話で面白かったですね。
各々のキャラがちゃんと生きてたのが良かったです。















単行本即日重版おめでとうございます!
これからも毎月応援の意味も込めて感想続けたいと思いますよ。
自分のツボに近い作風なので毎月読むのが本当に楽しい漫画の一つです
ディスチャージは「本来の力」という甘い言葉に惑わされて罠にハメられてしまったけど
それもまたいざという時に家族を守りたいという想いから来てたものだったので、
個人的には責められないし
最後の最後に自我を取り戻しユリを助け家族の身を案じた結末は彼らしいものだったと思います。
結果的には「因果応報」って事なんだろうけど、ディスチャージが残した想いは消えないでしょうね。
ちょっと今月感情移入し過ぎですが(笑)。個人的にそこまで夢中になれた、って事で。


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