超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

サクラサクラ 2巻/もりしげ

2013-06-08 07:28:46 | 漫画(新作)

















もりしげ「サクラサクラ」2巻読了。














皮肉な事に生まれる時代は我々は選べないですから
どうしても上の世代が犯したツケが下の世代に回ってくるものです
それに対して服従するでもなく嘆くでもなく自分達の力で変えていこうとする意思
そういうものを表現したいのかな・・・って思いました
最後の世代も新世代も両方ともある種悲しい存在ではありますけど
だからこそ今もう一度抗って自分達の意思を貫いて新しい時代を作って行こうとしている
その姿はきっと単なる王道ラブコメって印象以上のメッセージ性が含まれてるのでは・・・、
と個人的に解釈しています
勿論深読みの可能性もありますけど
少子化云々は置いといてちょっと現実でも似たような事があったり
どうも他人事には思えないのですよ
今自分が次の世代のために頑張ってそのツケを解消出来てるか?って言えば間違いなくNOですし
そういう新しい時代を作っていく姿勢には学ぶものがあるんじゃないかと
改めて読んでいて思ってしまいました
ただ決められたシステムに従うのではなく
しっかりと自分の意思と覚悟を提示して最後の世代の幸せを守った春くんの勇姿

元々桜子と春っていうのはある種の出来レースだった訳ですけど
桜子の素行の悪さを知ってからは都合良く彼彼女らを引き離そうとした
でもその間にきっかけや接近があって段々通じ合っていた訳で
思い通りになったようで
思い通りには決してなっていない
そういう流れが非常に秀逸だったなと
決められるよりも
決めていこう、と
散々思い通りに動かされてきたからこそ、ここからはきれいな復讐を見せて欲しいですね
自分達の時代は自分達の手でしっかりと作ってしっかりと幸せになろう。
そういう意思を感じさせる実はかなりのメッセージ性に長けた作品だと思っています
こういう作品が出てきた事は個人的には嬉しいですね
王道ラブコメと
シビアな設定を乗り越える展開との二枚看板
これによって作品に深みが出ているのが流石だと思いました
これからもこの調子でどんどんとグッと来る展開を生み出して欲しいと思う
状況を投げ出さず状況を嘆かずそれでも懸命に青春を楽しもうとするみんなの姿が素敵でした。


で、王道ラブコメの部分なんですが
この作者は本当にラブコメっぽいシーンを描かせたら外れがなくて最高ですね
私個人的には桜子が大好きでめっちゃお気に入りのヒロインなのでどんどん進展して最高でした
ボディタッチによる意識っていうのも元々鈍感だった春的には自然な流れではあるし
何よりそれによりラブコメっぽさが更に増したのは大きかったですね
どのシーンを切り取ってもニヤニヤするし
目の保養にもなる
そんな正に横綱相撲とも言うべき鉄板のラブコメ模様に終始ニヤつかざるを得なかった2巻目でもあり
同時に桜子というヒロインの可愛らしさといじらしさに夢中になってしまったのが個人的な事実

桜子の魅力は大和撫子ド真ん中を往くキャラデザにあると思います
正に日本人好みの風貌というか・・・
それでいて気品もあるのが最高なんですが
なのに性格はちょっと尖ってると言うのもまた予想外でギャップがあって好きなんですよね(笑
王道から逃げないキャラ設定というか、王道をキレイに撃ち抜いてる感覚が実に素敵です
それでいて絵柄が昔より洗練されてるからより可愛く思えるという
いい仕事してますね~、と思わざるを得ない

相変わらずのお色気シーンも読んでて嬉しいし楽しいし
でも女の子視点と男の子視点を使い分けてるような印象なので
そこまで偏っている感覚もない
割とフラットに読める隙間が実に良いですね
本当にこのメイン3人の物語なんだな~、って思えるのが良い
少年誌に於けるサービス含むラブコメのイメージを過不足なく地で再現している印象なので
変化球が多い今となっては逆に新鮮味を感じられるのも個人的に面白いです
どんどん可愛くなっていく桜子、
どんどん男の子になっていく春の姿は
ただただ追い駆けているだけでオートマティックに楽しめる安定感がありますね
勿論今はまだ表面化していないポテンシャルを秘めた敷島さんのいずれの参加も期待しつつ
本当に頭の中に描いている王道ラブコメってものを綺麗に楽しめる内容に感動した
桜子の問いかけも大胆な行動も天然の目配せも
春の興奮も我慢も高潮もどれもこれも良いシーンばかりで
もりしげさんの真骨頂を見せてもらったような気分になれました
そういった基本であるラブコメパートの面白さと丁寧さは保証されてると思うので
王道に思いっきり浸りたい人にも推したいタイトルではありますね
前述のようにメッセージ性も加味されている事からそれ以外の部分も順当に楽しめるだろうと思います
シンプルな部分とシンプルでは済まされない部分が上手く融合してるのが良い塩梅だと思う
キャラの可愛さも奥深いメッセージも沁み入る最高の2巻目でした
いつか彼らの行動が実を結べば良いと思う
まだまだ美味しい設定は眠ってるようなので続巻以降も、勿論期待です。












それにしても肌と肌が触れ合う描写が多々あったのは本当に良かったですね
良かったというか、有り体にドキッとしたというか(笑)。
それでも軽薄な感じがあまりしないのは
キャラ自体がしっかりしてるからなんだろうなあ・・・とつくづく思います
桜子はただ単にヒロインヒロインしてるだけじゃなく行動力も反骨精神も宿ってるしね。
ストーリーがきちんと面白くて、お色気も十分と正に理想に近い内容で個人的に大満足でした。
オマケとしてダブルヒロインの設定も載ってるのも嬉しかったです。

桜子も、敷島さんも相当感情移入出来るヒロインですね。素晴らしい。




最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。 5巻/松沢まり

2013-06-08 04:39:04 | 漫画(新作)

















松沢まり「最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。」5巻読了。















4巻がめちゃめちゃ個人的なツボにハマった今作なんですが
5巻は4巻とはまた違った味わいで面白かったです
美月と日和の奇妙な友情だったり、
ユキ姉の掘り下げだったり
夕哉の心境の微妙な変化だったり割と外堀を埋めつつある感じの内容でした
というか今までは基本的に美月ちゃんの心情の変遷を主な読みどころとして描いてきただけに
こういうサブキャラの心情を中心に描く巻というのはある意味新鮮で面白かったです
いよいよ事態も進展の一途を辿りそうで次巻以降も至極楽しみですね。

夕哉兄ちゃんに関してなんですが、確かに恋愛的な意味合いでは意識はしてないですよね
あくまで家族愛としての意識しか今まではやってきてはいない
だからこそ恋人みたいな立ち振る舞いをされると
途端に不機嫌になってしまう
これは思った以上にハードル高いぞ・・・と思いつつ
夕哉兄ちゃんがちょっと怒り気味に美月(日和)を振り切ったシーンはドラマチックで良かったですね
ドラマチックというか、ちょっと少女漫画みたいというか。さり気に不機嫌にはなりつつ
でもそうやって女性として意識をした時点で脈はある、って事で
それもまた段階を踏んでいる描写な気がして
そういう丁寧さはやっぱり好きだなあ、と思いました
普通だったら不機嫌にならずに結構高潮しつつもドキドキ、ってパターンが多いのに対し
あからさまに不機嫌になって跳ね除けるというのは結構リアルだと思うんですよ
そのじっくりと描ける力量に感心しつつ、
あくまでこれは第一段階
これから徐々に徐々に夕哉兄ちゃんの意識が変化していく過程を考えるとワクワクして来ますね
夕哉に関しては達観してるようで意外と悩ましい一面もあったりするので
そんな彼の心情描写にも期待しつつ・・・
この後の展開も楽しませてもらおうと思う。次巻は更にニヤニヤ出来そうで今から楽しみですね(笑)。


ただ、個人的にはユキ姉もまた応援したいんですよね
ユキ姉はこれまで要所要所で本性を出しつつも基本おっとり系のお姉さんとして描かれて来ました
だけど5巻では彼女の本性の部分がクローズアップされてそのギャップが堪らなかったです
ギャップというか、繊細で確かな乙女心というか・・・
本当は気付いて欲しいけれど
自分からは言えない
それはあのお爺さんも同様で
あのお話のラストは美月の自嘲表現含めてかなり奥深い話だったように思う
最後のモノローグは素直になれない人々の事を揶揄してると同時に
そのいじらしさは肯定してくれている気がして、
こういうお話も書けるのがこの作品の強みの一つだよな~と思いました
お色気路線は一応まだ残ってるけど、それ以上にストレートで、水面下の情感もあったりして
そのミックス具合に触れるのが個人的には楽しいですし読んでて気持ちが良いですね
タイトルから割と敬遠される可能性もありますが
実際のところは
しんしん降る雪のように登場人物の想いをじわじわ積もらせていく丁寧な作品と言うのが本質かなと
展開も急いでないですし、今じゃ日和の存在も美月にとってはプラスに働いてるのがまたイイなと思う
美月ちゃんの可愛さも巻を追う毎に増してるのでその意味でもラブコメ好きなら触れて欲しい作品
実妹じゃないのでそこまで重くはないですし
サッと読めてスッと入り込んでくれる様な作品だと思う
ユキ姉の本心や水面下の複雑な想い、そして更にいじらしくなった可愛さに
夕哉の微妙に変化しつつある意識等はっきりとした進展もあったのが秀逸だった5巻目
その間にほっこりする名前の呼び方のエピソードを挟むなど
ハートフル要素にも長けていた新刊でした。
順当に面白くなっていますね。










それにしても女流作家の描くラブコメは色々と丁寧でやっぱり好くのを止められませんな
なんか読んでると男性作家とは違う繊細さを感じるんですよね・・・
ちょっとでもガサツな部分を見せたくない気持ちだとか
例えライバル同士でもそこまでギスギスしないお互いに複雑な心境を抱えてる描写とかは
女流作家ならではの表現だと思えてやっぱり読んでて楽しいです
むやみやたらにヒロインを増やさない塩梅もまた
らしくて良いんじゃないかと
今回もしっかりと楽しむ事が出来ました。やっぱり大好きだなあ、この世界観。





(濱田浩輔新連載)はねバド! 第1話「幼馴染の羽咲綾乃です」 感想

2013-06-08 01:07:52 | 漫画(雑誌感想)














遂に始まった!













私が大好きだった「パジャマな彼女。」の濱田浩輔による新連載。good!アフタヌーンから。
結論を先に言うと思ってた以上に面白く先に期待が出来そうな印象でした
相変わらずの哀愁もありますし、
今回は少年誌ではなく青年誌なのでガンガン哀愁を感じさせるエピソードもやれると思います
実際私自身そういう方向性を望んでたりもします
明らかに経験者なのに、
相当のポテンシャルが溢れまくってるのに、
頑なにバドミントンを拒否し続ける主人公の綾乃
彼女の隠された秘密も楽しみですし今現在のエースである荒垣さんの本心もまた楽しみ
荒垣さんはきっと中学生に負けた過去やプレッシャーからちょっと気負いすぎてる面があると思うんですが

何でもそうですが「上手くやらなくちゃ」「上手くやらなくちゃ」って思い詰めすぎると
途端に楽しくて好きでやってる事がある種の苦行に感じる事があって
正にそういう状態なんじゃないかな、と
コーチの発言に怒ったのも自分の存在を踏み台に見られたからでしょうし
そういうまだまだ未熟なプレイヤー達(コーチも含めて、か?)が成長していく物語・・・という
はっきりした物語の主軸は既に提示されているような気がしたので
その意味も含めて今後が楽しみですね
男女混合になってる事から恋愛要素も絡んでくるでしょうし
そうなったらこれまた存分にWJで拒否された切なさ全開の恋愛描写をリベンジして欲しい
取り合えず「青春」推しでいく事は火を見るより明らかな第1話だったので
この作者の青春描写が好きな私にとっては良好な初回でした
絵の情報量の割には案外読みやすく、
また会話劇やキャラの関係性も真っ当に面白く感じられた中々の出来栄えだったと思います
絵柄も相変わらず達者な上に愛嬌もありますし、是非この漫画は長期連載になる事を祈っています
この雑誌でもまたアンケート出しますよ!応援しています。


あと、バドミントン描写がすっげー面白いです
天井まで飛ばしてインさせるコントロール力とか
利き腕じゃない腕で勝負して実力伯仲とか(結果負けたけど)
汗一つ掻いてないだとか
素人目でも羽咲さんの強さがまじまじと伝わって来た上に意外と力強いスポーツだってのも分かって良かった
バドミントンは子供の頃公園で親とやってたくらいであまり知識はありませんけど
そういう部分も併せて学べたらな、と
意外と少年誌っぽいハッタリ的要素もあったりするので
パジャカノで好きになった人にも是非・・・ってところでしょうかね
これからの展開や掘り下げにも往々にして期待しています。また、夢中にさせて欲しいです。








キャラの中では今の所綾乃がやっぱり好きかな
小動物的な可愛さがあって好きですね
でも、彼女がもっと自覚的に頑張れるようになったらもっと好きになれると思う
その辺の成長や進化を是非しっかりと描いてくれる事を期待して。サービスシーンも期待したいけど(笑
意外とゼロでしたねえ。まあ、なくても余裕で面白いですけどね。毎月プッシュ予定です!


その後の感想
はねバド! 第2話「が・・・外国人だ―・・・!!!」 感想
はねバド! 第3話「一人じゃないんだから」 感想
はねバド! 第4話「あます事なく」 感想