(1)春闘相場の企業アンケート結果があきらかとなって、賃上げ(a wage raise)と回答したのは自動車、電機、鉄鋼、機械など製造業中心に39%でそれが高いのかどうかはわからないが、賃上げをしないと回答した15%の2倍以上に上り、その他に同業他社の水準を踏まえ実施するや職種により3%程度上げるといった企業(報道)もあり、賃上げ志向の高まりはみられるとの判断だ。
(2)新卒採用を増やすと回答した企業は42%と前年比25%と3年ぶりに増加が減少を上回った(報道)。昨年は緊急事態宣言もくり返されて外出、移動自粛が浸透して経済活動が停滞して先行き不透明感が強かったこともあり、その後コロナワクチン接種も進み今年は一時まん延防止措置は実施されたがワクチン4回目接種実施により政府の経済活動優先、海外訪日客の規制緩和方針の中で、経済界の中には経済再建に向けての積極的な巻き返し投資の姿勢も伺える春闘相場、新規採用方針となった。
(3)岸田首相、政権からは賃上げによる成長と分配の好循環に向けての思惑環境がでてきたのか、看板政策への好感触、反応は聞こえてこない。賃上げも当初岸田首相が期待した「3%」程度は20%で、33%が「2%超3%以下」と上回っており期待外れというところか。
岸田首相、政権としては世界的な石油高騰に円安が進んで物価高騰、4月一斉値上げがその後も続いて、さらにウクライナ戦争が露への経済、金融制裁強化、露からの石油、ガス、石炭禁輸が拍車をかけて岸田首相も成長と分配の好循環どころではない事情もある。
(4)露からの企業の撤退が続いているが、露のウクライナ侵攻の影響は「大きくはない」と57%が回答しており、ウクライナ戦争が欧州地域限定の問題としての認識があるのではないか。20年ぶりの水準といわれる「円安ドル高」の影響が懸念されるが、「悪い値上げインフレ」として警戒されて家計、消費行動を圧迫する危惧は大きい。
(5)輸出企業には円安は業績効果が高いが、すでに海外工場移転でレートに左右されない企業体制づくりが進んでおり影響は少ないとみられる。
企業は日本の労働生産性(a labor productivity)は低いと46%が回答して、高いは3%の低さで、コロナパンデミックで傷んだ経済活動、企業が賃上げ効果でそれを取り返そうとして従業員、社員、労働者に利益負担を強いるということにならないよう、働き方改革の浸透、テレワーク、オンラインの精度、デジタル化の加速が必要だ。