いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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ノーベル文学賞ボブ・ディラン。 bob dylan , nobel prize of literature

2016-10-14 19:40:03 | 日記
 (1)今年日本の4月は熊本大地震に見舞われたが、丁度その頃日本にはボブ・ディラン、エリック・クラプトンさんが同時に日本公演のために来日していた。本ブログでも二人が同時に日本にいることなどすばらしいことだと書いた。

 東日本大震災に続き復興もままならないうちに熊本大地震発生を日本で経験(東京中心のコンサートだったので見聞はしたはず)して、二人とも自然災害国日本を十分実感したのではないのか。
 本ブログでは関連して二人から熊本大地震被災者への励ましのメッセージでもあれば随分と勇気づけられると書いたが、残念ながら表立ってはそうはならなかった。

 (2)ボブ・ディランさんの音楽は嫌いではない。代表作の‘Blowin'in the wind'では「答えは風の中にある」と短い歌詞のなかに文学的表現力を織り込んで、米国のベトナム戦争に比喩的な痛烈な批判を歌った。

 メロディとリリックス(lyrics)が絶妙にマッチングして一体化した佳曲だった。歌はけっしてうまくはないがまるで平気で意に介さないようで、それがかえって歌はうまく歌うことではなく何かを伝えることだと言っているようで痛快だ。

 (3)75才の今もますます凄味を増した「ダミ声」で語りかけるように、浴びせかけるように自由自在の歌で日本でもすごんでみせた。

 昨日のノーベル文学賞発表は村上春樹さんがある調査の予想候補トップということでこれまでにない授賞への期待が高まったが、発表で名前が呼ばれたのはボブ・ディランさんだった。

 (4)もちろん歌手としては初めてのノーベル文学賞の授賞となった。ボブ・ディランさんは実はかなり以前にはノーベル文学賞の授賞への期待も高かったことがある。当時から文学的な詩作表現のすばらしさ、評価は高かったが、歌手のノーベル文学賞授賞には分野が違いすぎると現実味はないと思っていた。

 その後そんな話題はいつしか少なくとも日本では立ち消えになっての忘れた頃の今回のボブ・ディランさんのノーベル文学賞の授賞だった。

 (5)『驚いた』(amazed)。驚いたのは、ボブ・ディランさんがノーベル文学賞を授賞したことではない。それはそれで選考機関が検討して決定したことだからいい悪いの評価、分析などほかがどうこういう問題ではない。

 ノーベル賞は発表直前に選考機関がコンタクトをとって授賞決定者が承諾して正式発表となる。だからコンタクトが遅れると発表が遅れたり、予想もしない決定者が歩行中のケイタイ連絡で知ったり、中にはまれに辞退する例もあったようだ。

 (6)今回驚いたのは、ボブ・ディランさんがどこか北欧の財団が勝手に評価選考する分野違いのノーベル文学賞などに興味も関心もなく、授賞を辞退するような「気骨」(grit)の持ち主だと勝手に想像していたからだ。

 今回のボブ・ディランさんのノーベル文学賞授賞で、これまで本人は数々の音楽賞のほか12年には米文民最高位の「大統領自由勲章」をオバマ大統領から受賞(報道)していたことがわかった。

 (7)半世紀ほど前には‘blowin' in the wind'で米国政府の戦争戦略政策(ベトナム戦争)を痛烈に批判してみせたボブ・ディランさんであった。

 米国が変わったのか、ボブ・ディランさんが変わったのか、何も変わっていないのか。少なくともボブ・ディランさんが歌手にもノーベル文学賞の道を開いたのは間違いない。

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