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いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
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原発事故調査の背景。 background of a.p.p accident investigation

2012-07-24 19:37:28 | 日記
 (1)問題があるから事故は起きる。起こり得る問題をすべては把握することなど不可能だから、事故は必ず起こり得る。だから「間違っても安全(fail safe)」の事故対策が必要なのだ。
 東電は、福島第1原発において、東日本大震災前にすでに15m規模の巨大津波の可能性を予測していながら、周辺住民に不安を助長するとして安全対策から意図的に削除していたことがわかっている。

 問題を把握していながら、必ず起きる事故への安全対策からその問題を除去していては、起こり得るべくして起きた福島原発事故であった。これを「想定外」の事故として片付けようとしたのが東電の企業体質であった。
 政府事故調査委員会(委員長)からは「しっかり見なければならないものを見ようとしなかった」趣旨の責任論が指摘された。

 (2)福島第1原発事故調査報告書(report of atomic power plant accident investigation)が出揃った。当時の首相が任命した政府事故調査検証委員会に、これでは政府寄りの偏向報告になると国会が立ち上げた事故調査委員会、財団法人の民間事故調査委員会に東電の事故調査委員会だ。

 福島第1原発事故の実態、原因究明は、いまだ放射線量が高く危険で核心部分への立ち入りが出来ないので依然不明のままだが、外郭部分の政府、事業者の対応については情報システムの活用、代替機能の安全設計、指揮系統の整備、技術力、判断力など基本部分での準備不足による起こるべきして起きた原発事故であることがはっきりした。
 これに「うそ」と「改ざん」の歴史の電力、原発事業者の国民をあざむく情報操作体質、企業体質が原発事故を招いて、対応の不備、拡大につながったことはあきらかだった。

 (3)さらに問題は、この事故調査検証報告を国民の安全、生命、生活、財産、権利を守るために今後の原発行政にどう判断し、取り入れていくのかの重要なアプローチ(approach)があるが、この前に政府はすでに大飯原発の再稼働を決定して本格的電力供給を開始している現実だ。

 すべての事故調査検証委員会、活動そのものがすでに時宜(じぎ)を失した完全に浮いた存在として焦点を失った、持っていく行き場のないものとなっている印象だ。
 パラドックス(paradox)として事故調査検証報告(の存在)が、大飯原発再稼働の時期尚早を証明することになった。

 (4)東日本大震災では復興構想会議が震災3か月後の発足で、政府事故調査検証委員会の5月発足と合わせて政府の震災復興復旧対応の遅れが指摘されていた。その結果としての震災現場、被災地、行政、政策とのその後のミスマッチ現象だ。

 将来の電力構成についての三者択一方式の国民ヒアリングも、福島第1原発事故調査検証報告の出揃う前からの問題整理、原因調査報告の国民周知もない中での拙速な実施で、整合性、公正性を欠く政府行政の有り様だ。

 (5)事故調査検証報告を生かしての「間違っても安全(fail safe)」の対策に行き着いての原発行政だ。そうでなければ、脱原発の道しかない。

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