新貨幣との交換上限額を旧貨幣１０万ウオンとする
１００対１のデノミを強行した北朝鮮では、一般の庶民
生活に深く根付き始めていた市場経済が壊滅しました。
富裕層や闇市場の商人の財産を根こそぎ奪い取る
強行策は、三男正雲への国家権力移譲に備えた社会
体制の大改革による社会主義経済への回帰が目的です。
一方で１２月末には、蓄えの乏しい共同農場の農民には
生活維持に備えて、１所帯当りで、従来の年間収入の
１００倍に相当する１０万ウォンを分配しました。
さらに、軍人や政府の役人には、旧貨幣で３０００ウオン
（新貨幣では３０ウォン）前後の月給であったのに、何と
新貨幣で月給３０００ウオンと報奨金の形で３０００ウオンを
支給したのです。
こちらにも１００倍にもなる月給が支給されました。
加えて、経済破綻で仕事がなくなっている工場の労働者にも
月給として１０００～２０００ウオンが支払われています。
国の人口の１割ほどの支配層と軍人、最下層の共同
農場の農民層などの北朝鮮の社会主義体制の組織に
組み込まれていた人たちの収入が一気に１００倍以上に
なっているのです。
市場にはモノが無くなり、混乱で配給による物資も十分に
行き渡らないために、闇市場の物価は暴騰しており
１Ｋｇが３０ウオンであった米が、既に１０倍を超え、１０００
ウオンになるのも遠くない情勢です。
貨幣価値は早晩、１対１と元の値打ちに戻るでしょうが
この過程で市場で流通していた商品は没収され、旧貨幣は
紙くずとされた商人や中間層、富裕層の人たちは没落を
余儀なくされてしまって、農民や工場労働者共々、政府が
目指す社会主義体制に再度組み込まれてしまうのです。
「備えよ常に！ 備えあれば憂いなし」です。
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