旅限無(りょげむ)

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史上最悪の大統領 其の壱拾壱

2008-10-30 13:53:22 | 外交・情勢(アメリカ)
■隣国の北朝鮮では孝行息子がフランスで見つけた脳外科医を父親の元に送り込んだとの報道。フランス語を含めて数ヶ国語を操ると言われているITと密輸と密航のプロのお手並みは大したもののようであります。極貧の小国でも特権支配階級や将軍様であれば、今の日本でも珍しくなった「往診」を頼めます。それも欧州からの出張ですからご苦労様な話です。断片的に流れ出す噂によると脳内出血で半身に麻痺が残っている可能性が高いようですが、わざわざフランスから外科医を呼ばねばならないという事は、北朝鮮には脳外科医は存在しないことの証明なのでしょう。建国以来、食糧不足が解消したこともない国ですから、先端医療など期待出来ないのは分かっているのですが、将軍様でなければ脳外科手術も受けられない国というのは、何とも恐ろしい。

■世界は金融危機と世界恐慌の不安と心配が先行して、北朝鮮の原爆モドキやミサイルの心配などしている暇も余裕もありません。あの国は無視されるのが大嫌いな体質を持っているので、そろそろ注目を引くために三平の娘みたいに騒動を起こすかも知れませんぞ。話は10月11日に戻ります。


中川昭一財務・金融相は11日、先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)終了後、ホワイトハウスでライス米国務長官と会い、米政府による北朝鮮のテロ支援国指定解除の動きについて「拉致被害者にとっては非常にショッキングなことで、われわれとしては認めることはできない」との考えを伝えた。……これに対し長官は「(解除は)あくまで形式的な問題。全く意味のないことだ」などと説明した上で、指定解除する際には「日本に対して大統領からメッセージを出させる」と語ったという。 
10月11日 時事通信

■自国が震源地の金融危機に関する会議を開いている時に、同盟国に相談もせずに勝手にテロ支援国家の指定を解除すると何かのツイデみたいに通告する神経が分かりません。この件はあっと言う間に忘れ去られた模様で、日本のマスコミも被害者家族の皆さんが発した悲痛な落胆の声を伝えただけで、その後はまったく米国の裏切りに関する報道が無くなってしまいました。世界中の金融機関と預金者・投資家に対する裏切りの方が遥かに大問題だからなのでしょうが、新しい大統領が登場しても、北朝鮮に対するテロ国家指定が再び復活するとも思えません。

■拉致事件の被害国として、日本の動きは世界の常識から見れば到って緩慢で、さほど怒っているようにも見えないでしょう。莫大な予算を食っている自衛隊が目立った動きをするわけでもなく、日米韓の合同軍事演習が日本海の東よりで大々的に実施されることもなく、何が何でも拉致された国民を取り戻す!という気概は見受けられません。憲法や関連する法律が足枷になるのなら、国会はさっさと改正の動きを見せるべきでしたが、そうした動きは今になっても見られませんなあ。

■北朝鮮を相手に穏便な話し合いで何かを解決しようなどと日本政府が考えているのなら、間も無く起こる北朝鮮での大きな変化に対しても茫然自失、米国任せの恥ずかしい姿を晒してしまいそうです。被害者家族の横田さん一家をホワイトハウスに招き入れた時のブッシュ大統領は、当時の小泉プレスリー首相よりはずっと親身になって懸念を表明して元気付けていた印象がありましたが、所詮は他国の問題ですから米軍が救出に動くことなど最初から期待できませんでした。

■テロ支援国家の指定が解除されたら、北朝鮮が突如として飼い猫みたいに大人しくなると思ったら大間違い。


北朝鮮が黄海の北方限界線(NLL)近くの海上で繰り返し「危機指数」を高めており、韓国軍当局は北朝鮮軍の動向を注視している。……12日、「北朝鮮が先月中旬と下旬に白リョン島上方の海上で、警備艇の実射撃訓練と仮想対地攻撃訓練を実施したものと承知している」……。訓練には西海艦隊司令部所属の8戦隊の警備艇数隻が動員されたと伝えられる。……北朝鮮は今月7日に黄海上空で空対艦ミサイル2発を実験発射し、9日には海軍司令部報道官の談話として、韓国の艦艇が北朝鮮領海を侵犯したことで「海上衝突が起き得る危機一髪の事態がつくられた」と主張した。北朝鮮警備艇のNLL侵犯回数も今年はすでに7回を数える。……

■指定解除が決定された直接の原因は原爆モドキの実験を再開する動きが見られたことだと言われていますが、全面衝突に発展する陸上の38度線は避けながら、海上での小競り合いを演じて米国を揺さぶり続けていたのです。韓国の新大統領が大きく支持率を下げているのも北朝鮮にとっては追い風でしょうし、日本が目を覚まさないでいてくれるのも大助かりに違いありません。


韓国軍関係者は、北朝鮮海軍司令部が談話で、9月27日に延坪島と大青島近くで戦闘艦船が砲弾を打つ挑発行為があったと主張したことについて、当時、海上で韓国海軍艦艇の射撃訓練はなかったとした。その上で「黄海で起こっている一連の行為を注視している」と述べた。
10月12日 YONHAP NEWS

■「正当防衛」の狂言を演出するのは謀略の基本でしょうから、米国が指定解除に動かなければ、もっと危ない狂言を準備していると思わせて、イラクでの大失敗で身動きが取れない任期切れ間近のブッシュ政権を追い詰めて行ったもののようです。指定解除に到る経緯には、なかなか複雑な情報の錯綜があったとか……。

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2 コメント

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Unknown (作務)
2008-10-30 14:00:29
貴殿は さも 北朝鮮のみが悪人のように思われているようですが、日本政府も負けず劣らずの悪人だと言う事をよく知るべきですよね。
それから、各国「政府」に問題があるワケで 国民は被害者だと言う認識は不可欠です。
そして、権力の暴走から国民を護るものが憲法、特に日本国憲法は史上稀な優れた憲法ですから、コレを棄ててしまえなど、猛獣の放し飼いをするが如し…
http://blog.goo.ne.jp/samu_one
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作務さんへ (旅限無)
2008-10-30 14:21:06
いらしゃいませ。憲法に対する考え方や支持政党が、大きく違っているようですね。「権力の暴走から国民を護る」というのは重要な一致点ですが、日本国憲法が「史上稀な優れた憲法」かどうかは見解が分かれます。戦後、一定の役割を果たしたこと、欠点を逆手に取って上手に利用できたこともありましたが、いさとなったら国民の生命と財産を護れない障害になるようでは完全無欠とは言えないでしょう。「国際問題を武力で解決しない」という崇高な決意を保管するものが無ければ、太平洋の西半分が非常に危険になりつつある時に日本の独立を護るのはどんどん難しくなると思うのですが……。
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