旅限無(りょげむ)

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去るもの日々に疎し 其の七

2008-10-06 22:24:26 | 日記・雑学
■別の人を取り上げる心算でしたが、どうやら横綱の引退がぐっと近づいたようなので、共に去るかも知れない人達も含めて「八百長」疑惑を取り上げます。でも、大相撲の八百長疑惑と言えば、四半世紀も前に週刊ポストが社運を賭けるような大キャンペーンを張ったことを思い出した人も多かったのではないでしょうか?あの時の「胴元」は当時の横綱千代の富士、今の九重親方だったはずです。スポーツ新聞も週刊誌も毎日、毎週のように書き立てて、「注射」という業界用語が知らない者が無いほど知れ渡ったのはあの時でした。

■今回は週刊現代が第二次疑惑戦争を仕掛けていて、今回の「胴元」は横綱の朝青龍だそうです。裁判の証人に呼ばれた御本人は「注射」という相撲界の業界用語を知らないと断言したそうですが、相撲協会の講習会で使われる教科書には掲載されていないのでしょうし、留学した四国の高校でも習わなかったということで知らぬ存ぜぬで押し通せそうな気配です。本当に「注射」という業界用語の蔓延度を知りたかったのなら、裁判に九重親方を呼んだ方が話は早かったかも?


大相撲に八百長が存在すると報じた週刊現代の記事をめぐり、発行元の講談社などを日本相撲協会が名誉棄損で提訴した民事訴訟の口頭弁論が3日、東京地裁で行われ、原告として横綱朝青龍(28)=高砂部屋=が出廷し、記事が報じた06年九州場所などでの八百長を否定した。現役横綱の出廷は極めて異例。講談社側弁護士に「あなた誰?」と名前を名乗らせるなど裁判所でも“朝青流”を貫いた。

■八百長騒ぎは何度も起きている相撲業界ですが、何を考えたのか北の湖理事長は正式に訴訟を起こしてしまったのには多くの関係者は驚いたのではないでしょうか?御本人としては理事長の地位を守る延命工作の一つだったのかも知れませんが、とんでもない置き土産を残したものであります。


……朝青龍は笑っていた。……口元を緩ませて傍聴席の一人一人の顔を見回した。宣誓文を読み上げると、直前に1人がけから3人がけの長いすに取り換えられた証人席に、どっかりと腰掛けた。……八百長を意味する隠語“注射”についての質問にも「聞いたことありません」。……講談社側弁護士の一人が腕を組み、やや高圧的な態度で立ち上がると、すかさず「あなた誰?」と質問を遮った。別の弁護士に最近のけいこ不足を指摘されると「何であなたに答えなきゃいけないの?」と不快感をあらわにした。本場所と同様にマイペースを貫く姿に、裁判長が苦笑いを浮かべる場面が多々あった。

■事前に出廷練習をしたという報道がありましたが、付け焼刃で「横綱の品格」が身に付くはずもないのですから、ねちねちだらだらと質問を続けて行けば、もしかしたら面白い開き直り発言を引き出せたかも?

 
06年春場所千秋楽で対戦した大関千代大海が、あっさり自分から土俵を割ったと指摘された際は、「あなたは相撲を取ったことはありますか?相撲を取ってみますか」と逆質問。弁護士に「私は素人ですから」と返されると「真剣勝負ですから。見る目がないですね」と皮肉を込めた。

■朝青龍の日本語能力は大したもののようですなあ。もしかしたら「八百長」の語源についても熟知しているかも知れませんぞ。変なクイズ番組が安易に流行しているようですから、外国人力士だけ集めて相撲に関する言葉や文化や歴史について問う企画などは如何でしょう?日本人力士よりも勉強している実態が露呈したら、不祥事を外国人力士に押し付けているとの疑惑に対しても新たな光が当たるかも?


八百長の記事を執筆した武田氏とはこの日が初対面。武田氏によると証人席から満面の笑みで手を挙げ、尋問の最中も時折、視線を送り愛嬌を振りまいていたという。大きな失言や暴言もなく、約50分の尋問を“朝青流”で乗り切ると、入廷時と同じように含み笑いを浮かべて退廷した。……
10月4日 デイリースポーツ

■法廷での証言が、この後でどんなに厳しく記憶されて吟味され続けるのかを知らない朝青龍なのかも知れません。録画も録音も許されない日本の法廷であっても速記と記憶で簡単に50分程度の質疑応答ならば寸分違わず復元されてしまいますから、後々、「そんな事は言っていない」などと言い逃れは出来ませんぞ。まあ、その頃にはモンゴルで大実業家に収まっているのでしょうが……。

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