旅限無(りょげむ)

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首相の留守には何かが起こる 其の九

2010-10-31 16:45:59 | 政治
 ■先にも『週刊新潮』10月21日号にビデオの内容が紹介されている事を書きましたが、手元の同誌から個人的に赤線を引いた箇所を抜粋しておきましょう。

……ビデオを見た菅総理の側近が重い口を開く。
「あのビデオを公開したら、国民は怒り狂い世論は沸騰する。右翼活動家も騒ぎ立てて大変なことになりますよ。……私が見たのは2,3分の長さの映像。漁船の船長は操舵室におり、甲板では5,6人の船員が作業している。そして巡視船から逃げることなく、明らかに故意に突っ込んできているのです。それも2回」……
「映像はみずきに向かってくる漁船の様子をバッチリ捉えています」そう明かすのは海保の関係者である。
「映像を見る限り、それは明らかに船体を使った危険極まりない“攻撃”です。漁船は急激に舵を切り、左舷船首をみずきに突き刺すような格好でぶつかってきている。……その後、約2時間にも亘って逃走を続ける漁船を、すで展開している3隻の巡視船だけでなく、新たにヘリコプターも急行させて追い詰めて行った。巡視船からの放水にも怯まない漁船の船長が甲板に立って、延々と挑発的な行動を取るところも映像には残されています」 
■海上保安庁の職員が「攻撃」と感じたのは重要な意味を持つでしょう。巡視船が「攻撃」に対抗するために使ったのは「電光掲示板」と「拡声器」と「放水」だけで、銃火器による威嚇射撃は一切せずに、最初の衝突から約4時間後の午後零時55分に「漁船に強行接舷」して「海上保安官6人がなだれ込んだ」のだそうです。漁師にとって大切な船を武器にして来る連中ですから、殺傷力の強い刃物や下手をしたら拳銃くらいは持っている惧れもあったのではないでしょうか?特別な武装はしていなくても調理用の大きな中華包丁を振り回すかも知れません。本来なら「海上保安官6人」の名前と顔を公表して大臣か首相が表彰して危険な激務を労ってもよいはずで、海上保安庁の職員も士気が高まったでしょうに……。

■『週刊新潮』の記事には次のような証言も出ています。


「漁船の船長は、巡視船が接舷する間、一貫して中指を立てるなどの挑発行為をしていました。彼は何かを怒鳴っているようでしたが、風と浪の音が激しく、まったく聞こえない。しかし、何度も何度も中指を立てた右腕を前に出していましたから、向こうの言葉で私たちを罵っていたのだと思います」こう証言するのは、海保石垣海上保安部の関係者だ。
「それを見た私たちは“こいつは日本を舐めている。日本をバカにしている。絶対に捕まえなければダメだ”という気持ちになった。巡視船に連行されてきた船長はパンツ一丁の格好でした。また、異様に酒臭く、相当量のアルコール類を飲んでいたのは間違いありません。……」 

■パンツ一丁で酔っ払っている姿は、昔の川俣軍司を思い出させますが、チャイナの福建辺りでは「中指を立てる」アメリカ式の侮蔑動作が愛用されているというのは面白い話でありますなあ。米国人だったら躊躇せずに発砲するでしょうが、日本人はそれほどアメリカ文化が浸透していませんから、中指を突き立てられ即座に反応して激怒する者は少ないと考えられますが、相手を馬鹿にして挑発する意味であることは広く知られているでしょうから、強い風浪の中で危険な任務を遂行している緊張状態の海上保安官は相当に腹が立ったでしょうなあ。数発ぶん殴っても許されそうな状況ですが、「日中友好」のためにぐっと堪えて我慢したのでしょうなあ。胃が痛くなる任務に頭が下がります。

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