旅限無(りょげむ)

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偶には聞きたい良いニュース 其の壱

2010-05-14 11:23:14 | 政治
■このまま夏の選挙に突入したらどうなるのかいなあ?と特に何処の政党に肩入れするわけでもない身としても、選挙絡み政局絡みでロクな話がない現状は、鶴田浩二さんの歌ではありませんが「右も左も真っ暗じゃあございませんか」と言いたくなる日本の政治状況であります。

■民意を大きく読み間違っているような気がしてならない民主党幹事長の参議院過半数制覇計画が着々と推し進められる中で、既に犠牲者が出ているようですから、本番は大変な騒ぎになるのではありますまいか?女子柔道で人気を博した谷亮子さんが、「五輪でも金、政治でも金、子育ても金」と言ったとか言わないとかで、世間は激しく反発している模様。確かに世界には才色兼備・文武両道の人物は存在しますが、世界一・日本一のレベルであれもこれもと大成功を並べられる人は皆無でありましょう。それ故に、何事によらず頂点を目指す者は自分が決めた目標のために多くの事を犠牲にして努力精進を続けているのですし、その中から栄光を手にして賞賛されるためには幸運にも恵まれていなければなりません。

■五輪大会での優勝に生涯を賭けている人、国政選挙で当選しようと必死になっている人、そして、悩みながらも幼子を育て上げようと心身ともに大変な思いをして頑張っている人も多いのですから、あれもこれもと大きな目標を並べ立てたりしますと、思わぬ反発を受けることになってしまう可能性があるものです。特に政権交代が実現した結果に大きな疑問や憤りの声が高まっている時期ですから、有権者の目は非常に厳しいものになっております。そこのところを民主党の幹事長は見落としているような気がしますなあ。


……日刊スポーツの5月12日付記事「Qちゃん民主要請拒否 スポーツ現場主義」……高橋さん側には、ある大物関係者を通じて民主党から参院選への出馬要請があった。これに対し、高橋さんは、「政治の勉強をした人が国民の代表になるべき」と断ったと、高橋さんの関係者が明かした……。女子マラソン初の金メダル獲得で国民栄誉賞を受賞しており、その立場から「どこかの一政党の代表にはなれない」とも考えたという。同じシドニー金の谷さんが出馬することには、「びっくりしました」と答えたそうだ。ネット上にこの記事がアップされると、たちまち絶賛の声が広がった。

■このところ政治関連の報道には「納得いかぬ!」と腹が立つ話ばかりが続いておりましたが、やっと、通常・正常の思考回路に素直に流れ込むニュースが出て来て、重苦しく垂れ込めていた暗雲に一条の陽光が差し込んだような、不快な空気を吹き散らす一陣の涼風が吹いたような、久し振りに気が晴れる話であります。


……参院選に出ない理由としては、「政治は難しい世界ですし、その知識がないと片手間にはできません」と話す。国民栄誉賞受賞は直接の理由ではないものの、「高橋は、賞をいただいたからには、自分が今できることを全うすべきと考えています。賞を安易に扱えないということです」。具体的には、マラソン解説者やキャスターなどの仕事を通じ、スポーツ発展のために現場に立ち続けることだという。「二兎を追えば、一つのことを全うできなくなります。高橋の得意な分野でやっていきたいと思っています」

■以前、テレビで売った名を利用して民主党から大橋巨泉さん、社民党からは田島陽子さんが鳴り物入りで立候補し、予想通りに大勝したのに投票した有権者の期待に反してあっさり辞職してしまったことがありましたなあ。自分の分を弁(わきま)えて、自分の役割を冷静に考えられる人物が今の日本にも存在しているという、極当たり前の事を再確認して多くの人たちが異様に興奮するというのは、今の日本が苦境に立っていることの証なのでしょうなあ。


母校、大阪学院大の特任教授として、学生たちにスポーツを教えているほか、2010年5月11日からは、食生活の大切さを知ってもらおうと、北海道の農場で野菜作りを始めた。「Qちゃんファーム」と名付けられた農場では、今後、マラソン大会などのイベントもしていくという。「野菜は人の口に入るから金メダルじゃないと許されない」。共同通信の記事によると、高橋さんは農場でこう語っていたという。政治も人の生活に響くから、やるとなったら「金メダルじゃないと許されない」と考えているのだろうか。
5月13日 J-CASTニュース

■かつて東京五輪のマラソン競技で裸足で優勝したエチオピアのアベベ選手は「走る哲人」と称されたものですが、ひたすら走り続ける生活の中で日本の高橋選手もしっかり哲学していたようです。意地の悪い比較をすれば、マラソン競技と女子柔道という二つの五輪種目自体に、歴史的にも競技人口の多寡にも大きな違いがあったことを思い出してしまいます。巨大な興行商売になってしまった近代五輪の諸問題まで思い出してしまう二人の女性アスリートに関する話になってしまうと、参議院の議席を積みます道具にして人の人生を弄(もてあそ)ぶ誰かさんの豪腕の罪深さが際立ちますなあ。

■「公約」と「努力目標」の区別がつかない首相や選挙のためには何でもやる幹事長に対する反発が日に日に強まっておりまして、何を言っても行動しても、民主党の支持率を下げる効果しかないような八方塞りの状態に、政権交代で舞い上がってしまった能天気な議員達も少しは不安を覚えるようになっているかのように見えます。唯一、政権交代が起きて良かったなあ、と好評を博したのが必殺!仕分け人のパフォーマンスだったのですから、起死回生の策はこのパフォーマンスを磨いて少しでも「公約」を果たして見せる以外に無さそうです。

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