旅限無(りょげむ)

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何だか変だぞ、防衛「省」 其の参

2006-12-09 01:32:21 | 政治

久間長官の発言について大田氏は委員会終了後、「国としてそういう発言をするのは聞いたことがない」としながら、「沖縄戦は現実に起きたこと。『悲劇が少なかったかもしれない』と仮定の話にするのはおかしい。沖縄戦の実態をよく知らないから、ああいう発言になるのではないか」と話した。

■沖縄戦どころか、イラク戦争に関する理解も怪しいものです。小泉さんと野中さんとの暗闘の中で頭角を現したことになっているようですが、それなら小泉さんの対米外交に水を差すような事を言うのは変な気もしますし、出身が長崎県というのも沖縄問題に関する発言との違和感が有ります。経歴を見ると東大法学部を卒業後に農林省の官僚をしていたとの事ですから、本来は農政が専門なのかも知れませんなあ。一説には、先の大戦の指導層が際限も無い領土拡大に執着したのは、根っからの農業思考が禍したのだという話も有りますから、もしも久間さんが農政に関して優れた見識をお持ちならばポストを間違えた事になります。勿論、橋本内閣で防衛庁長官を務めた経験を買ったと言いたげな安倍総理の人事能力の問題なのですが……。

 
沖縄戦研究で「本土決戦」を遅らせるため沖縄守備軍・第32軍が採用した戦略持久作戦が住民や兵士の犠牲を増大させたと指摘されているが、防衛庁長官が軍隊の有無と犠牲の規模のかかわりについて答弁したのは異例。
琉球新報 - 12月8日

■久間さんの混乱した理屈に付き合うには、暇と度量が必要なようです。そんな事よりも、防衛庁が「省」に昇格する前にやるべき事がたくさん有るという現実の方が重大です。


イラク戦争を主導する米中央軍の司令部がイラクやクウェートの基地にある空輸予定物資の数量を多国籍軍に伝えた資料や、航空自衛隊那覇基地でのゲリラ侵入訓練の資料がインターネット上に流出していることが分かった。航空自衛隊は29日、流出元とみられる隊員の私有パソコンを押収し、本人から事情聴取を始めた。防衛庁は今年6月、自衛隊情報の流出で47人を処分し、内部資料の持ち出しなどを禁止する対策を取ったが、その後の情報管理のあり方が厳しく問われそうだ。

■防衛庁からの機密漏洩問題は、旧ソ連時代から繰り返されている醜聞であります。今年になってからも、麻薬汚染と同時に発覚した私有パソコンからの情報漏れが発覚して税金を使って職務専用の機材を支給したはずなのですが……。


イラクに派遣された空自那覇基地所属の隊員の私有パソコンがファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」の暴露ウイルスに感染したとみられ、11月下旬に流出した。データはフロッピーディスクで計約140枚分にのぼり、空自は流出経路を調べている。空自などによると、米軍資料は米中央軍司令部が作成し、イラク、クウェートなどの基地にある輸送前の物資のコンテナ数を記載。06年6月初めから7月初めの日付で「SECRET(秘密) REL(伝達) MCFI(多国籍軍)」と書かれており、秘密情報として多国籍軍に伝えられた。当時の物資の状況がテロリストに漏れれば攻撃の対象となる可能性もあったとみられる。

■サイバー・テロの時代に入っているというのに、これはどうしたことでしょう?輸送機の機体を砂漠用迷彩塗装までしている現場の隊員の身になってみれば、離発着時の危険を最小限意抑える細心の努力をしながら任務を遂行しているというのに、司令部から機密情報がダダ漏れでは、間抜けな標的にされてしまいますぞ!また、同じ作戦任務に付いている米軍を中心とする有志連合の兵士達にとっても、聞き捨てならない恐ろしい話です。暫く前でしたが、日本の閣僚が米国の本音として韓国に重要な軍事情報を流すと、直ぐに漏れるから信用できないと嘴って大騒ぎになった事が有りましたが、他人の事を言っている場合では有りませんぞ!


また昨年11月から今年3月まで、中東の空軍基地でイラク復興支援活動にかかわった9人の隊員の詳細な「勤務所感」も含まれていた。これ以外にも、那覇基地でのゲリラ侵入を想定した訓練の写真や隊員の配置図、弾道ミサイルへの対処訓練の事前資料もあった。空自幹部は「米軍資料は現段階で流出しても当時と状況が変わっており、任務上は影響ないと思われる。しかし、流出が事実であれば米軍との信頼関係を損なう問題だ」と話している。防衛庁は米軍にも資料の内容を照会する方針。

■「任務上は影響ない」などという言い草は、先の大戦でも杜撰な情報管理の責めを逃れるために愛用されたものですし、他にも司令部がこの種の誤魔化しをして勝った例は皆無でしょう。


同庁は今年2月、海自の秘密情報がインターネット上に流出したことを受け、抜本対策として私有パソコンの業務での全面使用禁止、官用パソコン約5万6000台の調達、業務用データの暗号化などを決めていた。……
毎日新聞  11月30日

そもそも、軍人が「Winny」などというソフトを何に使っていたのでしょう?それも軍事機密を扱う場所で!日本は既に民間部門でソフト開発で世界の最先端から大きく遅れを取っているなどという、信じたくも無い話が有りましたが、技術において民間を凌駕していなければならない軍事部門でこの体たらくなのですから、民間企業だけが世界をリードしているはずはないでしょうなあ。現在、日本中を震撼させている地方自治体の談合事件にしましても、防衛庁も怪しげな犯罪に組していることは衆知に事実!どうやら「省」になる前に、まだまだ解決しておかねばならない事が山積しているようです。正直者がバカを見るようなシステムは、必ず破綻するものですが、特に軍事となりますと文字通り命が懸かって来ますから、トボケた組織のままで、看板だけ大きくしたらエライことになりますぞ!

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