旅限無(りょげむ)

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安全運転で見切り発車 其の壱

2011-11-03 12:31:42 | 政治
■船橋駅前で鍛えた演説の名手と評判が高かった野田ドジョウ首相ですが、代表選の時に「金魚の真似しない」話をしてからというもの「ノーサイド」の内向き勝利宣言をした後は、決して自分の言葉では語らず、ぶら下がり取材から逃げ回り公的な場では役人の作文を棒読みしてばかりいるようです。あんな調子でギリシア危機の嵐が荒れ狂う欧州になど出掛けて行って大丈夫なのでしょうか?とても嫌な予感がする一方で、まったく目立たず存在感も無く会議に出席している気配も残さず仕事もせずに安全運転で無事に帰国するだけかも?と、どちらにしても日本の国益を大きく損なう心配だけが増えて行くのであります。

国会は2日、野田首相の所信表明演説に対する各党代表質問を終えた。首相は、今回も質問者に言質を与えない「安全運転」に徹した。2日の参院本会議では、公明党の荒木清寛氏らが環太平洋経済連携協定(TPP)参加問題について、「国民への説明が皆無に等しい」などと追及した。しかし、首相は「国益を確保する観点から様々な検討、分析を行うとともに、国民の理解を深めるため可能な限り説明に努めてきた」など、ほぼ同じ答弁を繰り返した。……鳩山元首相、菅前首相は発言のぶれが短命の要因となっただけに、1日の参院本会議では「安全運転をこれからも心がけていく。乱暴な運転や急に行き先を変える、事故を起こすということは許されない」と心情の一端を吐露した。
2011年11月3日(木) 讀賣新聞 

■「可能な限り説明に努めてきた」実態は、『舌切り雀』の話に出て来る大きな葛篭と小さな葛篭みたいに中身がまったく分からないまま国民は判断材料も無いので、仕方なく手持ちの僅かな情報を元に情緒的に反対したり賛成したりするしかないのであります。概ね大手新聞テレビ・メディアはTPP参加に賛成らしく、週刊誌などは賛否両論併記で細々と情報提供に努めているような状態のようですから、国民の多くは賛成するにも反対するにも力が入らないのではないでしょうか?最終的な判断を下す立場の野田ドジョウ首相は、どんな経路でいかなる情報を手に入れているのやら……。


野田佳彦首相は3、4の両日、仏カンヌで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席する。11月はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(12、13日)や東アジア首脳会議(EAS)など外交日程がめじろ押し。首相の外交手腕を示す大きなチャンスだが、欧州金融危機や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)問題など懸案で明確なメッセージを打ち出せなければ、せっかくの強行軍も「旅の恥はかき捨て」になりかねない。……
「この国に生まれて良かったと思えるプライドを持てる国を造るため、目の前にある問題等々をしっかりと乗り越えていきたい」首相は2日夕、久々に記者団のぶら下がり取材に応じ、こう語った。…… 

■震災復興の遅れ、原発事故の収束は先が見えず、デフレ不況が続く中での歴史的な円高、どれもこれも政治の無能さが原因だと思われるのに、増税路線だけが突出して明確になっている野田ドジョウ民主党政権の仕事ぶりから「この国に生まれて良かった」と感涙に咽んで拍手を送る日本人が何処かにいるのでしょうか?「目の前にある問題」というのは財務省が立てた増税スケジュールのことではないのかと心配になるばかりであります。


G20では欧州金融・財政危機への対応として、欧州金融安定化基金(EFSF)が発行する債券の追加購入を表明する構え。さらに2010年代半ばまでに消費税率10%まで引き上げる方針を説明し、財政再建への取り組みをアピール。為替への単独介入についても理解を求める考えだ。とはいえ、最大のテーマはギリシャ危機への対応だけに各国の日本への関心は薄く、大きな外交成果は望めそうもない。…… 

■1週間も効果が続かない円売りドル買い介入に10兆円規模とも推測される大盤振る舞いをやる一方で、今度はジャンクになるかも知れない欧州債権を買い込んで日本の財政危機をどんどん悪化させて「増税已む無し」の気分を煽って世論を誘導して行くおつもりか?それは決して民主党の政権公約ではありませんでしたし、野田ドジョウ首相個人の政治信条でもないはずです。財務相時代に役所の泥に埋まっている間に刷り込まれた誰かさんの「御説明」の賜物としか考えられませんなあ。


首相にとって最大の懸案は12、13の両日に米ホノルルで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議だ。米軍普天間飛行場移設問題の停滞にいら立ちを募らせるオバマ米大統領の要求に応じ、首相はTPP交渉への参加のほか、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)への陸上自衛隊派遣などを打ち出す意向を固めている。だが、いずれも与野党で賛否が割れる案件だけに帰国後は衆参予算委員会審議などで集中砲火を浴びることは間違いない。それを苦慮して中途半端な方針表明しかできなければ首相の国際評価はガタ落ちとなる。加えて17~19日にはインドネシア・バリで東アジア首脳会議(EAS)も開かれる。ここでは中国による東シナ海や南シナ海での権益拡大への対処が焦点となる。ベトナム、フィリピンなど東南アジア各国も中国への懸念を強めており、どこまで強いメッセージを出せるか注目される。
11月2日(水) 産経新聞 

■前の首相も前の前の首相も国際会議の場に出るのが嬉しくて嬉しくて仕方がない政治家としては未熟で幼稚な表情と態度が他国の代表達の中で際立っていたものです。「トラスト・ミー」に代表される失言を重ねた鳩山サセテイタダク元首相にしても、羹に懲りて膾を吹いて役人のメモを必死の形相で棒読みするかただニヤニヤしているだけだった菅アルイミ前首相にしても、民主党には外交能力は皆無なのだと内外に宣伝して歩いていたようなものでしたからなあ。今度は三度目の正直で、本当に日本を滅ぼす愚かな約束などしなければよいのですが……。

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