旅限無(りょげむ)

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ゴテゴテの後手後手 其の参

2006-06-22 12:25:53 | 政治
■日本から核開発に必要な技術が北朝鮮に流出しているという噂は、別のメディアでも度々指摘されていたのですが、週刊朝日はその中心人物を特定しています。

X氏の出生地は日本ではなく朝鮮半島だという。さらに東大在学中には左翼系学生組織「全学連」の主要メンバーのひとりであり、この運動を通してX氏の政治歴が開ける。当時の「同志」ともいうべき別のメンバーはのちにX氏と同じくキャリア官僚となり、政界と深く関係を持つようになった。そしてこの人物が橋渡し役となり、X氏は「政界のドン」こと金丸信・元副総理との人脈を築いたとみられる……

■やっぱり北朝鮮問題と言うと金丸さんの名前が出て来ます。1990年の鳴り物入りで実施された平壌訪問は、55年体制のハラワタを露呈するように社会党副委員長の田辺誠さんと仲良く飛行機に乗って平壌に引っ張り出されたのでした。あの瞬間に社会党の命脈は尽きていたのですなあ。マスゲームに人文字、金日成主席との浪花節会談、色仕掛けや賄賂攻撃などの噂も有った非常に怪しい訪朝団でした。佐川急便事件から脱税事件での逮捕へと発展した金丸スキャンダルの中で、刻印無しの金の延べ棒がごろごろ出て来て大騒ぎになりましたなあ。佐渡に告ぐ金山が有った山梨県のドンだからと言っても、自宅の金庫に刻印無しの延べ棒が転がっているのは奇怪な話です。「新党結成の資金」とご本人は言っていたという話も有りましたが、出所不明の純金を何処で換金するつもりだったのでしょう?


……前出の公安関係者は語る。「金丸関連の史料によると、北朝鮮は国交回復の見返りに支援を期待していたことがわかります。支援の中身は第一に食糧援助。第二にはパチンコ産業の保護。そして第三にエネルギー支援。……コメ支援は周知のとおりであり、パチンコ産業は一時期30兆円規模というわれるほど成熟した。ただ、エネルギー支援がどうなったかだけは不明でした……」

■X氏は金丸訪朝で北朝鮮と接触したのだそうですが、X氏以外にも北京あたりで北朝鮮関係者と多くの民間技術者が接触していたとの話も紹介されていますが、友好の印なのか、多額のオコヅカイが貰えたのだそうです。どうせ日本の在日同胞から巻き上げた悲しい資金なのでしょうが、ぐるりと回って日本のうっかり者の裏金になって戻って来ていたのですなあ。


金丸訪朝当時の北朝鮮の政界工作をよく知る自民党の衆議院議員もこう語る。「金丸は訪朝後、いろいろな場面に北朝鮮擁護の立場で介入するようになった。警視庁の朝鮮総連関係施設への強制捜査が、前日に金丸の鶴の一声でつぶされたこともありました。金丸は訪朝時に“ハニートラップ”に引っ掛かったという話もある。この訪朝を仕掛けた北朝鮮系のある大物は、政財界に広い人脈を持ち、金丸とも眤懇(じっこん)の仲だった。……」

まったく、その容貌から失礼ながら「妖怪」そのものだった晩年の金丸さんは、本物の「昭和の妖怪」岸信介さんほどの見識も知略も無い困った丈夫な年寄りだったようです。『週刊朝日』はX氏を特定していて御本人にインタヴューしているのですが名前は最後まで明かしていません。後のオタノシミなのでしょうか?


X氏 きっかけは金丸先生。もともとは台湾ロビーで、李登輝が総統に就任するときに一緒に台湾に行ったりして親しくなったのだが、その後、金丸先生が中国・北朝鮮派になったので。

■日本の外交戦略が、派閥選挙の資金源になる利権話の延長でころころ変わる情けない実情がはっきり分かる話ですなあ。角福戦争などと言われて日本の「田舎政治記者」と「田舎陣笠政治家」が蠢(うごめ)く中で、台湾と北京とを両天秤に掛けて東アジア外交の主導権を取れた時に、角栄さんは自分が台湾やインドネシアの利権を取れないものだから、あっさり親日台湾を斬り捨てて北京に乗り換えたのを、日本中の新聞がパンダ騒ぎを利用して「日中友好」を書きたてたのが運の尽きでしたなあ。別に、二者択一など誰も求めていなかったのに、実に勿体無いことをしたものです。そんなアホな外交を伝統にしてしまった自民党には外交戦略など欠片も残りませんでしたなあ。金丸さんも息子を北朝鮮利権の継承者にして、どれほど裏で儲けようと思ったのかは分かりませんが、その後に小沢一郎さんだの、渡辺ミッチーだのが続々と平壌詣でに励んだのですから、角栄さんを持ち上げたマスコミの罪は重いのです。

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