旅限無(りょげむ)

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防衛省の防衛 其の弐

2007-10-22 17:05:22 | 政治
■防衛省と厚生労働省から大きな問題が噴き出して、国会が空転しそうです。「説明責任」と「話し合い」を看板にしている福田総理ですが、説明しようにも材料の質が悪い上に量が圧倒的に足りないようです。マスコミ先行でスキャンダルは燃え上がって行くばかりの週末でしたが、週明けの対応はさぞや大変でしょうなあ。

守屋武昌前防衛事務次官の接待疑惑が浮上し、自民、公明両党に激しい動揺が広がっている。補給燃料のイラク作戦転用疑惑に加え、野党に格好の攻撃材料を与えたため、新テロ特措法案を衆院採決せずに継続審議とし、11月10日の会期末で臨時国会を閉会させるべきだという意見は強まる一方だ。安倍晋三前首相が「職を賭して」まで執着した日本の「国益」は大きく揺らいでいる。……「だから今国会は早く閉会すべきだと言ってきたんだ…」19日朝、自民党国対幹部は公明党幹部から電話で強くなじられた。産経新聞などが朝刊で報じた守屋氏の接待疑惑が与えた衝撃は大きく、これまでくすぶっていた「継続審議やむなし」との声は一気に強まった。

■社保庁・年金問題も片付かず、増税論議もあちこちから湧き出しているのですから、国会を終わらせるわけには行かないでしょう。亀田大興くんではないけれど、「切腹」して米国政府に義理を通して見せたはずの安倍前首相の業績は、これで何もかも御破算になってしまったようなものです。日本が総理の首まで差し出しているのに、相手は「そんなの関係ねえ」とばかりに無料で提供された燃料を。日本の法律を知りながら好き勝手に使っていたのですから、元々、『テロ特措法』の延長は無理だったことになります。たとえ、米軍が謝罪して「これからは日本の法律に従います」と言ったところで、実質的な検証方法を持たず「信じるのみ」の日本政府は分が悪過ぎます。


自民党の大島理森国対委員長は同日夕、「国家の外交責任がいま問われている。国益のためなので、民主党にもしっかり責任を持ってほしい」とあくまで法案成立を目指す考えを強調した。福田康夫首相も同日夜、与党執行部を就任後初めて公邸に招き会食した。来月中旬に訪米を控えていることもあり、法案成立への協力を強く求めたようだ。

■本当に来月中旬に訪米など出来るのでしょうか?虚仮の一念で米国を信頼すると言うだけのパフォーマンスに国費を使って見せるのは、甚だしく格好が悪いことになります。ブッシュ大統領から「感謝」されても、笑顔で握手するわけに行かないし……。


……野党が要求する守屋氏の証人喚問に応じれば、国会が紛糾するのは確実だ。証人喚問を拒否すれば、与党単独審議を覚悟しなければならず、衆院で法案を強行採決すれば、野党側は参院で首相の問責決議を可決する公算が大きい。問責決議は衆院の不信任決議と違って法的拘束力はないとはいえ、政権のダメージは大きく、そのまま衆院解散に追い込まれる可能性さえある。ただ、混乱を避け、法案を継続審議にしても来年の通常国会での成立のの保証はない。このため、継続審議とすることは、海自の撤退を認めたに等しいという見方さえある。そうなれば、政府・与党は、これまで訴えてきた「国際公約」や「国益」を放棄することになる。

■せっかく「省」に昇格して我が世の春を堪能していた守屋事務次官でしたが、一挙に奈落の底に落ちてしまいましたなあ。松岡元農水相みたいな責任の取り方は止めて欲しいものです。ちゃんと身辺警護をしているのでしょうか?総理がもたもたしている内に、文字通りの詰め腹を切らされては官僚群の士気は一気に下がってしまうでしょう。防衛省内の混乱は想像も出来ません。


海自の撤退は、多国籍軍がインド洋で実施している海上阻止活動の枠組み自体を危うくする。日本が撤退すれば、参加国唯一のイスラム国であるパキスタンの撤退が現実味を帯び、活動が「欧米諸国がイスラム教国の制海権を奪っている構図」となるからだ。シーレーンの安全が確保できなければ、原油価格が乱高下し、国際市場は混乱しかねない。日本の国際評価は一気に落ち、対米関係の悪化により、自動車や農産物などの貿易摩擦が再燃する可能性もある。……
2007年10月20日 産経ニュース

■何やら恐ろしい連想ゲームが書かれていますが、本当にインド洋のシーレーンが寸断されたり、対米関係が冷え込んだりしたら、政権交代が起こってもぜんぜん目出度くもない話になります。石油を買って製品を作って米国に買ってもらうという生命線が断たれ、欧州との関係もおかしくなります。何もかも中国に頼って生きて行くわけには行きませんぞ。反米的な感情丸出しで『テロ特措法』を葬り去った後始末を、小沢民主党がしっかりやれると思っている人は居ないのではないでしょうか?今まで小沢さんが「壊し屋」と呼ばれていたのは政党を作っては潰していたからですが、日米関係から外交全般を壊してしまったら冗談にもなりません。

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