旅限無(りょげむ)

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安全運転で見切り発車 其の伍

2011-11-04 08:47:10 | 政治
■「税」の一文字が巨大な意味を持って野田ドジョウ内閣の首根っこを押さえつけているというわけであります。ドジョウのぬめりで官僚の魔手を逃れることは出来ないのかも知れません。

国家戦略会議のメンバーをみても、強引に官僚の壁を打破できるようなパワーを持った人物は見当たらない。経済財政諮問会議では11人のメンバーのうち、改革派の学者や財界人など民間が4人を占め、首相と官房長官がこれに加われば過半数を超えた。……
野田佳彦内閣総理大臣 藤村修内閣官房長官 古川元久国家戦略担当大臣 川端達夫総務大臣 玄葉光一郎外務大臣 安住淳財務大臣 枝野幸男経済産業大臣 白川方明日本銀行総裁 岩田一政日本経済研究センター理事長 緒方貞子国際協力機構理事長 古賀伸明日本労働組合総連合会会長 長谷川閑史武田薬品工業社長・経済同友会代表幹事 米倉弘昌住友化学会長・日本経団連会長 
改革派として旗を振りそうなのは、学者の岩田一政氏と、経済同友会代表幹事の長谷川閑史氏ぐらいだろう。労働組合も民間ではあるが、改革には反対する守旧派に回ることが多い。緒方氏は独立行政法人のトップで、霞ヶ関の代弁者という役回りを担うことになるのだろう。……第1回の会合も……民間議員2人が独自に配布資料を用意したが、その2人とは岩田氏と長谷川氏だったのだ。経済財政諮問会議では、メンバーは内閣官房に執務室を持ち、事務局の職員を使って「民間議員ペーパー」の作成ができた。ところが、今回のメンバーには執務室は与えられないらしい。……当面は、2010年6月に決めた「新成長戦略」の見直し作業を行い、産業空洞化対策など、震災を踏まえた「日本再生の基本戦略」を年内にまとめる、という。当初は具体策まで盛り込んだ「日本再生戦略」年末までに、という話だったが、いつの間にかこれは「来年半ばをめどに」ということになった。これでは従来の役所の審議会とあまり変わらない機能しか果たせないのではないか。ここまで書き進んでくると、国家戦略会議に関する限り、野田内閣は財務省に完敗したことが歴然としてくる。戦略会議の立て付けに失敗した今、首相が財務省や霞ヶ関を敵に回してリーダーシップを発揮するのは、ほぼ困難だろう。もし、野田首相が政権を長続きさせようと考えれば、財務省傀儡というレッテルを甘受し続けるほかなさそうだ。 

■こうした内閣事情を背負って野田ドジョウ首相は生き馬の目を抜く国際会議場での交渉と議論に向かって政府専用機で飛んで行ったのであります。前途多難の四文字しか頭に浮かびませんが、残念ながら今の日本の首相を交換することは出来ないのですから、天佑神助を祈って大間違いを犯さずにだらだらと任期満了まで党内もまとまらず、身動き出来ないままで政界再編が起きるまでお勤め願うしかないようであります。
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安全運転で見切り発車 其の四

2011-11-04 08:46:53 | 政治
■国家戦略会議の初会合について磯山友幸「経済ニュースの裏側」に興味深い分析が出ておりました。 

国家戦略会議が2ヵ月近くたった10月28日になってようやく初会合を開いた。この間の、会議設立に向けた動きをつぶさに見てみれば、野田内閣と財務省の力関係が鮮明に浮かび上がってくる。組閣に当たって野田首相が古川元久議員を国家戦略担当相に抜擢し、国家戦略会議の設置を指示した段階では、野田首相は財務省の軍門に下る気はなかったに違いない。…… 

■マニフェストに「政治主導で予算の骨格を策定する」とされているのですから、財務省が警戒して反発するのは当たり前のことであります。予算を作るのなら財源も作らねばなりません。それを今は昔の「政治主導」で推し進められたら財務省は存在意義を失ってしまいますからなあ。


増税を明言することで財務省の全面的な協力を得る一方で、国家戦略会議を設置して財務省の暴走を抑えることを考えていたのだろう。大蔵省(現財務省)出身とはいえ、財務省幹部には決して評判が良いとは言えない古川氏を斬込み隊長にしたのも、計算したうえでの判断だったのだろう。首相周辺によれば、野田首相は古川氏に、国家戦略会議の早期設置を促していた。自民党政権時代に官邸主導のツールとして機能した「経済財政諮問会議を事実上復活し、国家戦略会議という通称にすればいい」とまで言っていた、という。経済財政諮問会議では民間議員が作った改革案を首相の決断で通し、予算案作成に向けての「骨太の方針」としてまとめていた。予算編成権こそが権力の源泉である財務省からすれば、大枠をはめられる「骨太の方針」は鬱陶しく、それを作る経済財政諮問会議は何としても葬りたい存在だった。それだけに、経済財政諮問会議の復活だけは何としても阻止したかったはずだ。…… 

■ミイラ取りがミイラになったような話ですが、師匠を持たない素人集団の政党なら前の与党に教えを乞うのも仕方がないでしょう。野党時代は散々批判した「経済財政諮問会議」をそっくり復活させてしまったら、何のための政権交代だったんだ?!と鬼より怖い支持団体から突き上げられるのは間違いないのですから、姑息な手段で独自色を出しつつマニフェストの公約を形だけでも実現したい、何とも切羽詰った危ない手品を見ているような感じがしますなあ。


古川氏は大臣就任直後に、竹中平蔵・元総務相や塩崎恭久・元官房長官に会っている。そして、国家戦略会議の設置についてアドバイスを受けたという。竹中氏は小泉純一郎内閣時代に、塩崎氏は安倍晋三内閣時代に、経済財政諮問会議をフル活用し、霞ヶ関と対峙した経験を持つ。竹中氏は古川戦略相に「とにかく野田首相とバイ(二人きり)で会う機会を頻繁に持つことだ」とアドバイスした、という。ところが、一部報道によれば、首相と古川戦略相の面会はなかなか実現しなかった。財務省から派遣されている首相秘書官が日程を握り、阻止していたというのだ。これについて古川氏は「首相とは15分くらいの話はよくしていた」と否定するが、古川氏自身が配信しているメールマガジンでは9月30日になってこんなことを書いている。
〈 総理、官房長官と3人で昼食を取りました。本会議があったので40分程度ですが、これだけ時間をとって総理と話をしたのは、内閣発足以来初めてです 〉
9月2日の発足以降、一ヵ月近く首相と戦略相がじっくり懇談する機会は作られていなかったということを吐露しているのだ。…… 

■何とも生々しい官僚支配の陰湿さと強靭さが伝わって来る恐ろしい話であります。官僚同士が縦割り構造を超えて閣僚のスケジュールを調整して邪魔をしたら総理大臣でさえ動きを封じ込められてしまう。まあ、それだけ民主党政権は役人にとって御し易い相手だっただけのことなのでしょうが……。


国家戦略会議発足までに2ヵ月を要したのは、大きな意味を持つ。組閣後すぐに会議が発足していれば、年末までに大枠を決める来年度(24年度)予算案の編成に方針を反映させることも可能だったはずだ。ところが、発足が10月末では予算案編成までに国家戦略会議としての方向性を打ち出すことは難しい。いくら立派な国家戦略を作っても、それが予算に盛り込まれなければ何も実現しない。それが国家というものだ。国家戦略会議の提言が実行に移されるのは25年度以降ということになるが、その予算案を作る来年の秋まで野田内閣が続いている保証はない。つまり、発足まで2ヵ月もかかったのは、財務省にとっては緒戦で大勝利を収めたようなものなのである。国家戦略会議の開催は10月21日に閣議決定された。結局、法的な裏付けのない会議体となった。経済財政諮問会議は設置が法律で明記され、明確な権限を持っていたが、それとはまったく異なる位置づけになったのだ。…… 
■閣僚が続々と「言うだけ番長」になり下がり、民主党政権自体が初代からずっと「言うだけ」政治を繰り返していれば支持率は奈落の底に落ちて行って再び政権交代、或いは政界再編へと雪崩れ込んで行くのでしょうが、「官僚は永遠で政治家は選挙に落ちたらお仕舞いなのさ!」と霞ヶ関から高笑いが聞こえてきそうであります。政権政党が何処に転がろうと、誰が総理大臣になろうと、小粒になった日本の政治家を丸め込んで洗脳するのはいとも簡単なことなのでしょうなあ。残念なことであります。


……経済財政諮問会議自体を復活させる手もあったのだが、小泉竹中改革の司令塔というイメージが強く民主党内に反発が強いため、結局この手は封印したままとなった。閣議決定された文書に記載された国家戦略会議の位置づけも、経済財政諮問会議とは大きく異なる。 文書にはこう記載されている。
〈 税財政の骨格や経済運営の基本方針等の国家の内外にわたる重要な政策を統括する司令塔並びに政策推進の原動力として、総理のリーダーシップの下、産官学の英知を結集し、重要基本方針の取りまとめ等を行うとともに、国の未来への新たな展望を提示するため、新時代の中長期的な国家ビジョンの構想を行う 〉
一方の経済財政諮問会議の役割は内閣府設置法にこう書かれていた。「内閣総理大臣の諮問に応じて経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針その他の経済財政政策に関する重要事項について調査審議すること」比較すれば一目瞭然だが、「財政」「経済」という言葉は残っているが、「予算編成」という言葉はきれいに消えている。その代わりに「税」という文字が加わっているのも注目点だ。つまり、国家戦略会議には予算に関わる基本方針を決めるという役割は与えられていない、と読むべきだろう。もちろん、首相のリーダーシップで、国家戦略会議で決まった事を予算に盛り込むことは可能だ、という反論はあり得る。だが、現実には、首相が議長を務める場で予算の大枠として決めなければ、省庁の縦割りの予算要求と財務省による査定という昔ながらの形式に楔を打ち込むことはできない。…… 

安全運転で見切り発車 其の参

2011-11-04 08:46:37 | 政治
■読売記者とフリー記者の上杉氏などとの間の口論ばかりが注目された小沢一郎・元民主党代表の会見があった10月20日、同日の午前中に更に重要な発言をしていたそうであります。

民主党の小沢一郎元代表は20日午前、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への日本の交渉参加について「交渉ごとだから、慎重にやらないとな。しっかりと米国と交渉できるやつがいないとな」と述べた。国会内で面会した側近の三井辨雄政調会長代理らに語った。
2011年10月20日(木) 産経新聞 

■本当に「交渉できるやつ」がいるのかいないのか?それは大問題であります。それ以前に交渉に参加するかどうかで血みどろの党内抗争を起こしているようでは民主党自体に外国交渉を上手に進められる資質は無いのだと分かっているようなものなのですが……。


民主党の長島昭久首相補佐官は1日、東京都内で講演し、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加の意義について、「アジアを米国と中国(の2国だけ)に仕切らせない。アジア太平洋の秩序は日本と米国で作っていく積極的な視点が必要だ」と述べた。TPPを軸とした日米の経済連携を強化することによって、台頭する中国をけん制する狙いを示唆したとみられる。
長島氏はまた、「アジア太平洋全域を私たちの庭として手に入れ、経済秩序と安全秩序を作っていく」と強調した。野田政権の外交方針に関連し、「中国とどう向き合っていくかが最大の戦略課題だ。中国から見て『なかなか手ごわい』と思わせる戦略的な環境を整えていく」と語った。 .
2011年11月1日(火) 読売新聞

■鼻息の荒い景気のよい話ではありますが、交渉前にあっけらかんと手の内を明かしてしまうのは如何なものでしょうなあ?長島補佐官はテレビに出ると何の根拠があるのか不安になるほど自信過剰な発言をすることがありまして、大学院博士課程在学中に自民党の石原伸晃衆議院議員の事務所に入って公設秘書になった経歴からして民主党の中では浮いた異分子的存在になっている印象が強く、ちょっと危なっかしい感じがしております。更に1993年に渡米してテネシー州ヴァンダービルト大学客員研究員になった後、ワシントンD.C.のジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院SAISで国際関係論修士号を取得し、米国外交問題評議会研究員(アジア政策担当)に就任して朝鮮半島和平構想プロジェクトに参画、リチャード・アーミテージやマイケル・グリーンとも仲良しで、ジョンズ・ホプキンス大学ライシャワー東アジア研究所の客員研究員、などという輝かしい親米の経歴を引っさげているのですから余り張り切ってしまうと民主党内で足元をすくわれて身動きが出来なくなる心配もありあそうです。

■長島補佐官は政策シンクタンクの「国家基本問題研究所」の理事にもなっているようなので、無理に褒めれば民主党の懐の深さ、多種多彩な豊かな人材を持つ民主党と言えなくもないのですが、政党として綱領もまとめられない気味の悪い烏合の衆である事実を考えますと、文字通り後ろから鉄砲で撃たれる危険がますます高まりそうであります。長島補佐官がクラッシャー小沢が言う「交渉できるやつ」なのかどうか、お手並み拝見と言いたいとこですが失敗したら亡国ですからなあ。やはり、政権交代は大失敗だったのかも?

■「国家基本問題研究所」からの連想で民主党の政権交代マニフェストにも謳われていた似たような名前の組織があったことを思い出します。「鳩山政権の政権構想」の第3策、官邸機能を強化し、総理直属の「国家戦略局」を設置し、官民の優秀な人材を結集して、新時代の国家ビジョンを創り、政治主導で予算の骨格を策定する!と高らかに公約されていたのに、国会の事情で法改正が出来ず「局」は無理だからと「室」になったのでした。その初代室長が古川元久さんで担当大臣は何もしなかった当時の副総理だった菅アルイミ前首相。因果は巡る糸車でもないのでしょうが、今の国家戦略担当大臣はぐるっと回って古川元久になっております。

■本来ならマニフェストに言う「新時代の国家ビジョンを創る」仕事にTPP交渉は含まれるのが当然なのに、野田ドジョウ首相は内閣発足後の10月21日に既存の18の会議を廃止して「国家戦略会議」を発足すると決めてしまい、国家戦略室は会議の事務局という下請け機関にされてしまった由。10月28日に初会合が開かれたのですが、その内容がひどい物だったのだそうです。そもそも国家戦略会議の仕事は「税財政の骨格や経済運営の基本方針等の国家の内外にわたる重要な政策を統括する司令塔並びに政策推進の原動力として、総理のリーダーシップの下、産官学の英知を結集し、重要基本方針の取りまとめ等を行うとともに、国の未来への新たな展望を提示するため、新時代の中長期的な国家ビジョンの構想を行う。」と麗々しく規定されているのですが……。

安全運転で見切り発車 其の弐

2011-11-03 12:32:42 | 政治
■「4億円問題」関連でしか名前が報道されなくなっているクラッシャー小沢一郎元代表は、本人の発言は報じられないまま何故かTPP賛成派にされているようなのですが、これも不思議な話であります。自社の記者が袋叩きの非難を受けた10月20日の公開会見に関して讀賣新聞は根に持って弁明をしたり逆恨み気味に小沢批判を強めているようでもありますが、テレビも「ルールは守らなくちゃだめだよ」発言ばかり繰り返し放送して「説明責任」を果たせと半で押したように話を締め括るばかりでした。でも、あの会見ではTPP問題に関して重要な発言が出ていたのだそうです。BLOGOS編集部の10月25日付けのレポートを読んでみましょう。

……小沢氏は野田政権が推進する太平洋経済連携協定(TPP)への交渉参加について、「原則的・理念的にはいいこと」としながらも、「何の国民を守る対応策が講じられないままにやってしまいますと、国民生活は大変になってしまう」として、セーフティーネットを講じることが最重要と慎重な姿勢を示した。…… 

■前段だけを切り取って短く報道すれば「小沢一郎はTPPに賛成」と短絡してしまえるのでしょうが、政治家たるもの白紙委任で賛否を口にすることなどあろう筈もなく、ましてや自民党時代に対米交渉の最前線で働いたクラッシャー小沢が陣笠議員のような発言をすることなど金輪際ないでしょう。

 
小泉政権下で進められた構造改革の結果、雇用の仕組みが全く変わってしまったことを例に挙げて、「対応策をきちんと作らないままにやったので、いろんな問題が生じていると思います」として、何の対応策もせずにTPP参加交渉を進めてしまうと、小泉改革の二の舞になりかねないとの懸念を示した格好だ。…… 

■「雇用の仕組みが全く変わってしまった」小泉構造改革の裏話が『アメリカに食い尽くされる日本』というちょっと古い本に出ております。この本にはもっと恐ろしい裏話がごろごろ出ているのですが……。「ハーバード大学のライシャワー・センター(前)所長を名乗るアンドリュー・ゴードンという日本研究学者がいます。彼はいろいろ日本分析の論文を書いていますが、日本の美風といわれる終身雇用制度の研究かとして日本に送り込まれ……動労の流動化ということを制度設計している。要するに正社員のクビをどんどん切って、非正規雇用の社員をたくさん増やすことを「労働の流動化」理論で規制緩和の名の下に日本政府に働きかけて、法律の改正をどんどんやらせる係です。……」と副島隆彦氏が語っております。

■日本国内では「働き方の多様化」とか何とか言われた乱暴な規制緩和の一つでしたが、教育機関は「ゆとり教育」で未来の日本人の基礎学力を奪い、企業側も社員教育のコスト削減を喜び「即戦力の人材」などという無い物ねだりを言うようになって、日本の生産力は米国の思惑通りに弱体化して国際競争力が失われて行ったとも考えられそうです。クラッシャー小沢はこうした米国の動きを承知の上で「対応策」が必要だと警鐘を鳴らしているものと思われます。


―TPP参加をめぐって、農家を抱き込む形でいいのか。農家ばかり手厚くしていいのか、ご意見を伺いたい。

小沢氏:TPPは農林水産業の分野だけの物ではありません。あらゆる分野での規制の撤廃、自由化といいますか、関税の撤廃といいますか、そういう内容の物であります。広く農林水産業は一次産業であるため、生産性が他産業に比べて低いわけですし、それと同時に基礎的な食料は国内で自給する。その食料の生産に従事する人達の生活を国民全員で支援していくということは、これは国民全員が生活していく上で、また俗に食糧安全保障と言い方をする場合もありますが、その意味でも大事なことだと思っております。
ただ、今回のTPPは農林水産業の話だけではありませんし、むしろメインは他の分野にあると私は思っています。いずれにしても、どの分野でも国民が安心して安定して生活できるという俗に言うセーフティーネットを構築した上でやりませんと、競争力に弱い分野は生活できなくなってしまうという恐れがあります。そのため、自由競争または自由貿易は、もっとも日本がメリットを受けるわけですので、原則的・理念的にはいいことではありますが、何の国民を守る対応策が講じられないままにやってしまいますと、国民生活は大変になってしまう。…… 

■TPP交渉の「メインは他の分野にある」との見識は立派なものと申せましょう。日本より先に米国とTTA交渉を進めている韓国では大騒ぎになっているのに日本のマスコミは暢気に韓流ブームの名残を楽しむような話ばかりを伝えているのは困ったものです。米国が日本の富を収奪する策略を練っているのならぼろ儲けが出来ない農業分野ではなく、金融や医療や建築などのたっぷり旨味がある分野にこそ凶暴な情熱を燃やすことでありましょう。そう言えばヒューザーという一企業の問題に矮小化された感のある「耐震強度偽装事件」も米国のごり押しが原因だと先に引用した本に出ておりますぞ。曰く「1995年に起きた阪神大震災の後、建築基準法を見直すことになりました。……ところが建設審議会が始まるとアメリカの要求が出て来て……アメリカの業者が日本市場に参集したいために、建築確認の審査を民営化せよ、と迫ったのです。……審査という公共的なものを民営化して競争に委ねたことで日本の確認審査体制は崩れました」云々と森田実さんが語っています。

■さて、クラッシャー小沢の報道されなかった発言の続きを読みましょう。


たとえば、小泉政権下で一番顕著だったのは雇用の、従来の日本的な仕組みを取っ払ってしまいました!その結果、正規雇用、非正規雇用、その他いろいろな形態の雇用の仕組みが出来上がってますけど、それについての十分な対応策が講じられないままに、一気にやってしまいましたので、雇用面における格差や不安定さ、将来的な国民の生活というのが、非常に心配な状況になってきている。従来の雇用の仕組みでいうと、終身雇用・年功序列という良くも悪くも日本的な仕組みが維持されてきたわけです。それが全面的にこのままでいいとは思ってませんけど、少なくとも基本的な制度の背景にある哲学や理念という物は、国民みんなが安心して安定して就業して生活できるということを守っていかなくちゃいけない。その対応策をきちんと作らないままにやったので、いろんな問題が生じていると思います。
今回のTPPの問題につきましても、同じようにしっかりとしたセイフティーネット、対応策を講じた上でやるべきだと思っています。 

■つまりクラッシャー小沢は「対応策」の必要性を強く訴えているのであります。従って、それが不十分なまま交渉が進むようなら「TPP反対派」になるということでしょう。
アメリカに食い尽くされる日本―小泉政治の粉飾決算を暴く
クリエーター情報なし
日本文芸社


安全運転で見切り発車 其の壱

2011-11-03 12:31:42 | 政治
■船橋駅前で鍛えた演説の名手と評判が高かった野田ドジョウ首相ですが、代表選の時に「金魚の真似しない」話をしてからというもの「ノーサイド」の内向き勝利宣言をした後は、決して自分の言葉では語らず、ぶら下がり取材から逃げ回り公的な場では役人の作文を棒読みしてばかりいるようです。あんな調子でギリシア危機の嵐が荒れ狂う欧州になど出掛けて行って大丈夫なのでしょうか?とても嫌な予感がする一方で、まったく目立たず存在感も無く会議に出席している気配も残さず仕事もせずに安全運転で無事に帰国するだけかも?と、どちらにしても日本の国益を大きく損なう心配だけが増えて行くのであります。

国会は2日、野田首相の所信表明演説に対する各党代表質問を終えた。首相は、今回も質問者に言質を与えない「安全運転」に徹した。2日の参院本会議では、公明党の荒木清寛氏らが環太平洋経済連携協定(TPP)参加問題について、「国民への説明が皆無に等しい」などと追及した。しかし、首相は「国益を確保する観点から様々な検討、分析を行うとともに、国民の理解を深めるため可能な限り説明に努めてきた」など、ほぼ同じ答弁を繰り返した。……鳩山元首相、菅前首相は発言のぶれが短命の要因となっただけに、1日の参院本会議では「安全運転をこれからも心がけていく。乱暴な運転や急に行き先を変える、事故を起こすということは許されない」と心情の一端を吐露した。
2011年11月3日(木) 讀賣新聞 

■「可能な限り説明に努めてきた」実態は、『舌切り雀』の話に出て来る大きな葛篭と小さな葛篭みたいに中身がまったく分からないまま国民は判断材料も無いので、仕方なく手持ちの僅かな情報を元に情緒的に反対したり賛成したりするしかないのであります。概ね大手新聞テレビ・メディアはTPP参加に賛成らしく、週刊誌などは賛否両論併記で細々と情報提供に努めているような状態のようですから、国民の多くは賛成するにも反対するにも力が入らないのではないでしょうか?最終的な判断を下す立場の野田ドジョウ首相は、どんな経路でいかなる情報を手に入れているのやら……。


野田佳彦首相は3、4の両日、仏カンヌで開かれる主要20カ国・地域(G20)首脳会議に出席する。11月はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(12、13日)や東アジア首脳会議(EAS)など外交日程がめじろ押し。首相の外交手腕を示す大きなチャンスだが、欧州金融危機や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)問題など懸案で明確なメッセージを打ち出せなければ、せっかくの強行軍も「旅の恥はかき捨て」になりかねない。……
「この国に生まれて良かったと思えるプライドを持てる国を造るため、目の前にある問題等々をしっかりと乗り越えていきたい」首相は2日夕、久々に記者団のぶら下がり取材に応じ、こう語った。…… 

■震災復興の遅れ、原発事故の収束は先が見えず、デフレ不況が続く中での歴史的な円高、どれもこれも政治の無能さが原因だと思われるのに、増税路線だけが突出して明確になっている野田ドジョウ民主党政権の仕事ぶりから「この国に生まれて良かった」と感涙に咽んで拍手を送る日本人が何処かにいるのでしょうか?「目の前にある問題」というのは財務省が立てた増税スケジュールのことではないのかと心配になるばかりであります。


G20では欧州金融・財政危機への対応として、欧州金融安定化基金(EFSF)が発行する債券の追加購入を表明する構え。さらに2010年代半ばまでに消費税率10%まで引き上げる方針を説明し、財政再建への取り組みをアピール。為替への単独介入についても理解を求める考えだ。とはいえ、最大のテーマはギリシャ危機への対応だけに各国の日本への関心は薄く、大きな外交成果は望めそうもない。…… 

■1週間も効果が続かない円売りドル買い介入に10兆円規模とも推測される大盤振る舞いをやる一方で、今度はジャンクになるかも知れない欧州債権を買い込んで日本の財政危機をどんどん悪化させて「増税已む無し」の気分を煽って世論を誘導して行くおつもりか?それは決して民主党の政権公約ではありませんでしたし、野田ドジョウ首相個人の政治信条でもないはずです。財務相時代に役所の泥に埋まっている間に刷り込まれた誰かさんの「御説明」の賜物としか考えられませんなあ。


首相にとって最大の懸案は12、13の両日に米ホノルルで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議だ。米軍普天間飛行場移設問題の停滞にいら立ちを募らせるオバマ米大統領の要求に応じ、首相はTPP交渉への参加のほか、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)への陸上自衛隊派遣などを打ち出す意向を固めている。だが、いずれも与野党で賛否が割れる案件だけに帰国後は衆参予算委員会審議などで集中砲火を浴びることは間違いない。それを苦慮して中途半端な方針表明しかできなければ首相の国際評価はガタ落ちとなる。加えて17~19日にはインドネシア・バリで東アジア首脳会議(EAS)も開かれる。ここでは中国による東シナ海や南シナ海での権益拡大への対処が焦点となる。ベトナム、フィリピンなど東南アジア各国も中国への懸念を強めており、どこまで強いメッセージを出せるか注目される。
11月2日(水) 産経新聞 

■前の首相も前の前の首相も国際会議の場に出るのが嬉しくて嬉しくて仕方がない政治家としては未熟で幼稚な表情と態度が他国の代表達の中で際立っていたものです。「トラスト・ミー」に代表される失言を重ねた鳩山サセテイタダク元首相にしても、羹に懲りて膾を吹いて役人のメモを必死の形相で棒読みするかただニヤニヤしているだけだった菅アルイミ前首相にしても、民主党には外交能力は皆無なのだと内外に宣伝して歩いていたようなものでしたからなあ。今度は三度目の正直で、本当に日本を滅ぼす愚かな約束などしなければよいのですが……。

やるべき事をやった後で…… 其の四

2011-10-18 15:39:04 | 政治
■国会が閉じてから野田ドジョウ新首相は泥の中に隠れたかのようにマスコミ取材を避けておりまして、既に空証文になっている「政治主導」の復活に期待する声もすっかり消えて、財務官僚の腹話術人形になり切って盛んに口をぱくぱく動かしている安住財務相の言動ばかりが目立つのが不気味であります。少しは自分の言葉を持っているらしい前原政調会長は夕焼け番長ならず「言うだけ番長」などと政治記者から渾名を付けられて冷笑されつつも、武器輸出三原則の見直しやらTPP参加に積極的な姿勢を見せて野田ドジョウ首相の露払い役を担っているようにも見えるのですが、前と前の前の政権があれやこれやを先送りしただけでなく更に政治課題を積み増しする大失敗を犯してしまった後継内閣なればこそ、大車輪で業績を上げて行かねばあと1年しかない党代表の任期が切れたらさっさと交代させられてしまうという個人的な事情もある野田ドジョウ新首相としては、短期決戦型で大きな仕事を立て続けに片付けてしまねばならないのでしょうが、身の丈に合わない無理をすると結局は官僚主導の奇怪なつぎはぎ縦割り政治が最悪の形で復活してしまいそうで、この10日間ほどは得体の知れない危惧の念に苛(さいな)まれて茫然自失状態であります。

安住淳財務相は12日、経団連会館で経団連の米倉弘昌会長と会談し、「来年には必ず消費税の法案を税と社会保障の一体改革とあわせて(通常国会に)出す」と語り、平成24年度の税制改正で消費税率の引き上げを目指す考えを示した。安住財務相は「少子高齢化に直面する日本が今後も直接税に依存していくのはもう無理」と表明。「消費税を国民の皆さんにお願いするしか道はない」と語った。米倉会長は「大いにやってほしい」と賛意を示し、双方は財政健全化の重要性で一致した。…… 

■財政に通じているという噂を聞いたこともなかった安住財務相が、不自然なほど自信たっぷりに増税論をぶって歩く姿は滑稽でもあり気味が悪いものを感じますが、どうして国民に向かって説明する前に経団連会長に妙な約束をしに行くのでしょうなあ?既成事実を積み上げて愚かな国民を煙に巻いてしまおうと誰かさんが策を弄しているとしか思えません。二代続いた愚かな政権の後ですから、目先の失敗を避ける知恵なら誰にも負けない官僚組織に頼り切って政党消滅を必死で回避しようとしているだけの事なら大問題でしょうなあ。経営者の団体であるはずの経団連の代表が長引く不況下で増税を「大いにやってほしい」などと言ってしまって、本当に良いのでしょうか?


……安住財務相はまた日本の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加問題について「メリットはなかなか目に見えないが、しっかりと説明し深く考えれば日本人は必ず結論を見いだしてくれると思う」と語り、参加に前向きな考えを表明。会談のなかで「将来を見据えて進んでいかなければならない。覚悟の問題だ」と強調した。……
2011年10月12日(水)11時11分 産経新聞 

■安住財務相こそ、「TPPのメリット」を深く理解しているのか?はなはだ心細い印象が強いのですが、「戸別補償制度」くらいしか農業政策を提示しえないまま政権を取ってしまった民主党にTPPに対応する農業大改革など出来るのかいなあ?と心配になります。今の民主党にこそ「覚悟」が有るのか?と問いたくなります。菅アルイミ前首相が「第3の開国だ!」「平成の開国だ!」と毎度のことながら唐突に言い出したのは1年前のことでしたなあ。既に発言の軽さに誰もが辟易していた頃でしたから、「ああ、また何か言っているよ」と聞き流されてお仕舞いでしたなあ。そして、安住財務相が妙に張り切って「覚悟」を語っていた日に、眼を疑うようなニュースが流れたのであります。


藤村修官房長官は12日午後の会見で、今月内にも初会合を行う予定の「国家戦略会議(仮称)」について、日本再生戦略など中長期的な問題を戦略的に考えていく組織になるとし、環太平洋連携協定(TPP)や税と社会保障の一体改革などの議論は入ってこないとの認識を示した。……今週中に会議に加わる民間人のリストを作成して要請するとの段取りを明らかにしたうえで「TPPは党の議論が始まっており、(政府の)議論は閣僚会合に預けることになった」と語った。さらに税と社会保障の一体改革についても、国家戦略会議には入ってこないと思うとし、「日本再生戦略を年内には発表したいというのが所信表明の中身であり、足元の問題というより中長期的なことをここ(国家戦略会議)で戦略的に考えていく。当面の課題を結論づけるという位置づけではないと思う」との見方を示した。また、国家戦略会議で、経済財政諮問会議のように骨太の方針を策定する予定もないという。
2011年10月12日(水) ロイター 

■税金を使って運営する組織の仕事を説明するのに「やらない事」を列挙するというのは実に変な話であります。新発売の自動車を発表する時に「この自動車は空は飛ばないし水にも潜れません」などと言うはずはないし、IT機器の説明で「できない仕事」を列挙することなど有り得ません。華々しくマニフェストに掲げた「鳩山政権の政権構想」として5原則・5策の第3策に「官邸機能を強化し、総理直属の国家戦略局を設置し、官民の優秀な人材を結集して新時代の国家ビジョンを創り、政治主導で予算の骨格を策定する」と明確に書かれているのに、「税と社会保障の一体改革」には指一本触れられないまま「日本再生戦略」を作れるのか?これが野田ドジョウ新首相が言うマニフェストの「理念は生きている」という事の実態ならば、もう民主党の命運は尽きていると申せましょうなあ。

■年金制度の改悪案が公表されて日本中が大騒ぎになっておりますが、菅アルイミ政権の時代に取りまとめた「税と社会保障の一体改革」案の中にこっそり忍び込ませていたのを、故意か過失かは知りませんが、マスコミは足並み揃えて消費税引き上げ問題ばかりを大きく取り上げて国民もうっかり騙されてしまっていたのが真相だとか……。菅アルイミ首相が「やるべきことはやった」と虚しい自画自賛をして総理の座を降りた時、誰も数少ない業績の一つだった「一体化案」の検証をしようとはしなかったのは迂闊がことでありました。菅アルイミ前首相は何もしなかったのではなくて、実はトンデモない置き土産を残していたと改めて思い知るのであります。


政府は、年金記録の訂正申し出が妥当かどうかを判断する総務省所管の年金記録確認第三者委員会を13年度以降に廃止し、業務を厚生労働省所管の社会保険審査会に移す方向で検討に入った。当初、厚労省は業務移管を拒否していたが、社保審の人手不足解消策として第三者委の業務を引き受ければ組織を拡大できることもあり、方針を転じた。…… 

■これまた唐突な発表で、情報元の「政府」とは誰のことだ?と訝しく思えるほどですが、年金制度改悪案の念押し報道に合わせるようなタイミングを計っている頭のよい悪い奴が隠れていそうでありますなあ。


第三者委は07年6月、年金記録問題の発覚を受けて設置された。本来、確認業務は厚労省所管の社保審がやるべき任務だったが、事務局の設置場所について、安倍晋三政権は「旧社会保険庁や厚労省では国民の信頼を得られない」として、厚労省の抵抗を抑え総務省とした経緯がある。当時「審査の資格なし」と判断された厚労省が業務を引き受けることは、「焼け太り」との批判を招きそうだ。第三者委は設置から4年以上が過ぎ、処理件数は徐々に減っているが、10年度の件数は週平均1200件で、行政評価事務所からは「本来の行政監視業務ができない」との声が上がっている。このため、第三者委は今年6月にまとめた報告書で厚労省側への業務移管を求め、総務省が厚労省に移管を要請した。しかし、厚労省は国民年金保険料の未納問題への対応などで人手を割けないとして、いったん拒否。総務省は厚労省と協議を続ける意向で、来年度分の経費74億円を概算要求に計上している。…… 

■年金制度を世界で最も複雑で管理不能のシステムにしてしまったのも、グリーンピアなどの愚かな無駄遣いで1兆円以上もの損失を出したのも自民党政権時代の旧社会保険庁でした。人口ピラミッドが逆転するのを知っていながら制度改革を怠り、後の給付義務を忘れて積立金をハコモノばらまき政治に流用し続けた罪をすっかり忘れて「政権奪還」を夢想する自民党にも困ったものでありますが、保険料を負担する人口が急速に減る一方で元気なお年寄りが都市にも地方にもあふれるような少子高齢化問題をずっと先送りした上に国民からの信頼を失って保険料を支払って貰えなくなってしまった年金制度をどんなにいじくり回してみても現実に適応した制度になどならないのかも知れません。投票率が高く数の多い高齢者を喜ばせることで長期政権を維持した自民党が悪いのか、政治に興味を持てずに選挙権を放棄してしまった多くの若者が悪かったのか、判断は難しいところですが戦後の民主主義が残した大いなる負の遺産であることは確かでしょう。その証拠に自民党政権を支えてくれた世代は食い逃げに成功し、後に続く世代は保険料の納め損になる可能性が年々高まって行くのであります。


こうした中、厚労省は第三者委と同じ苦情処理機関の社保審が人手不足に陥っている問題を勘案し、総務省の要請を再検討した。健康保険や年金給付への不服申し立てを受け付ける社保審は、申立件数が10年度は1782件で1238件を処理できず、今年度に繰り越した。「能力の限界を超えている」(事務局)といい、第三者委の業務を社保審で引き受けることで組織を拡大する方向にかじを切った。総務省には13年度に設置期限を迎える「年金業務監視委員会」も設置されている。厚労省内には、第三者委と同時に取り込んで「年金審判庁」とする思惑まで浮上している。

◇年金記録確認第三者委員会
国に記録がなく、受給者側にも領収書など保険料を納めた証拠のない場合、本人の申請に沿って記録を訂正し、年金を支給すべきか否かを判断する機関。総務省本省に中央委員会、全国50カ所の行政評価事務所などに地方委員会があり、これまで約24万件の申し立てを処理した。弁護士や社会保険労務士などによる合議制で、有識者の合議制としている社会保険審査会と似ている。
2011年10月17日(月) 毎日新聞 

■年金制度の不備を補うために要する人的コストも莫大で、どこかバブル崩壊後に金融機関を公的資金で延命救済した構図に似ているようにも思えますが、国民の怒りを買った自民党は長年の与党政権の座を失うという最も重い罰を受けたのに厚労省や社会保険庁は実質的な罰は何も受けずに今度は「焼け太り」までして更に組織を肥え太らせようというのは、官僚天国そのものと申せましょうなあ。

やるべき事をやった後で…… 其の参

2011-10-03 15:02:57 | 政治
■発足して馴らし運転・安全運転を続けている野田ドジョウ新首相は、慎重な言動と実直・低姿勢に徹して粛々と誰かさんの指示通りに増税路線を突き進んでいるようです。民主党の三代目首相が誕生したことよりも経産省の改革派官僚だった古賀茂明氏が辞表を出したことの方が、日本の政治を考える上では遥かに重大な意味を持つと思うのですが、この件をずっと考えているうちにブログが開店休業状態になってしまいました。考え事の整理がつき次第、別項で取り上げようと思っております。

■さてさて、外交デビューを果たした野田ドジョウ新首相が帰国してワイドショー系の報道では首相夫人の方が注目されていたようですが、国連での初演説がパレスチナ代表の後という貧乏籤に当たったこともあって八百長問題の発覚以来ずっと閑古鳥が鳴いている大相撲の会場よりも空席が目立つ、実に寂しいものになったのは残念でありました。折角、菅アルイミ前首相の脱原発政策をなし崩しに無視する二枚舌演説で原発推進派の国々から拍手して貰おうと原稿を練り上げて臨んだのに無駄骨に終わってしまったようです。何事につけ前政権に比べられている限りは「マトモ」と思って貰える間が華なので、せっせと国連外交で点数を稼いでおきたかった計算が狂ってしまった野田ドジョウ新首相としましては、前前政権がぶっ壊して前政権が事務的に先送りして放っておいた普天間基地移設問題を筆頭に、2年余りの外交空白を大急ぎで埋める算段をしなければならず、財務省に続いて今度は外務省の官僚からいろいろと教えて貰わねばならなくなりそうです。幸か不幸か民主党の『マニフェスト』には外交と安全保障に関しては何も書いてないも同然ですから、独自色を出そうと少しばかり思い付きで動いても問題はないような気もしますが、2人の前任者のように知ったかぶりして慣れない事をして国益を失い大恥を掻くようなことはないでしょうなあ?

■その2人の前任者、菅直人前首相、鳩山由紀夫元首相は9月5日付けで民主党最高顧問に就任していたのですが、知っている人はほとんど居ないかも?これまでの民主党最高顧問は単なるお飾りでしたが、これからはかつての自民党時代のように「総理経験者」が現首相を囲んで会議をしたら、さぞやマスコミ受けして選挙向けの宣伝にもなるなどと能天気なことを考えてはいないでしょうな!?大失政を山のように重ねたという意味での大先輩2人から言われた事の正反対に行動すれば大過なく政権運営が出来る可能性は高いでしょうが、既に鳩山サセテイタダク元総理などが「ぶら下がり取材は鬼門だ」などと自分自身の愚かさを棚に上げて助言しているようですが、慎重居士の野田ドジョウ新首相は鼻も引っ掛けずに黙殺している由。自民党政権時代、小泉プレスリー元首相はぶら下がり取材を徹底的に利用して高い支持率を維持していたのですから、鳩山サセテイタダク元首相が辞任に追い込まれたのは発言がころころ変わって政治が大混乱したことが原因であるのは明らかです。御本人だけが真実を理解していないのは恐ろしい話であります。

■日本の憲政史上「鳩山は最低、菅は最悪」と身内の幹部からも断罪された片割れの菅アルイミ前首相の方は、影が薄いどころか総理大臣だったことさえも間も無く忘れ去られそうな気配でありましたが、やはり、他にやるべき事も無いらしく初めての「有言実行」となるお遍路さんを再開したのだそうです。まあ、政治資金規正法違反で告発されている身ですから本格的な取調べが始まり、起訴でもされたらお遍路さんなどしている暇はなくなるでしょうから、一つくらいは公言した約束を守ってみせるためにも今しか歩き出す機会は無いのかも知れません。


退陣してから約1カ月の菅直人前首相が、中断していた四国八十八カ所霊場巡りを再開した。白装束に「同行二人」と書かれた菅笠(すげがさ)をかぶり、3日には愛媛県今治市の五十四番札所「延命寺」を訪れ、歩いての札所巡り「歩き遍路」を再スタートさせた。SPを連れてはいるが、東京の事務所にも詳しい日程は知らせていない一人旅で、9日までかけて香川県へ入る予定。この日午前は、延命寺や五十五番札所「南光坊」など今治市内の札所を巡った。…… 

■鳩山サセテイタダク前首相を謀(たばか)って不信任案を否決して政権にしがみ付いていた頃から次の札所は「延命寺だ」と冗談みたいに報じられていたものですが、本当に延命寺から再スタートだったのですなあ。居座りに成功した最後の3箇月を延命寺のご本尊に感謝したかどうかは不明ですが、腐っても鯛ならぬ失政を重ねた前首相でも税金を使ってSPを付けなねばならないというのは行財政改革の範疇には含まれないようですなあ。原発事故で人生を大きく狂わされた被災者の中には菅アルイミ前首相を深く恨んでいる人物がいるでしょうから、山道を一人で歩かせるわけにも行かないのでしょうが……。


南光坊で取材に応じた菅前首相は心境を問われ、「東日本大震災からの復旧・復興と、犠牲者の冥福。それから原発事故の収束。それだけです」と穏やかに語った。更に脱・原発依存については「(首相)在職中にある程度、方向が示されたと思う。最終的には国民が決める」と述べた。菅前首相のお遍路は、年金未納問題で民主党代表辞任に追い込まれ、「自分自身を見つめ直す」と髪を短く刈り上げて04年7月に一番札所「霊山寺」(徳島県鳴門市)からスタート。その後も断続的に続け、党代表代行時代の08年7月に、五十三番札所「円明寺」(松山市)まで達していた。
2011年10月3日(月) 毎日新聞 

■四国のお遍路と言えばショーケンこと萩原健一さんが1990年代前半に突如として白装束に身を包んで密かに歩いていたことが芸能ニュースとして大きく取り上げられたことがありましたから菅アルイミ首相がお遍路姿になった時には軽薄な二番煎じのような印象を受けた記憶があります。その菅アルイミ首相はショーケンの4歳年上で、興味深いことに二人は厳密な意味での「団塊の世代」を前後に挟んでいるのであります。終戦後の第一次ベビーブームと呼ばれる1947年から1949年に出生した約806万人が団塊の世代とされているそうですから、1946年生まれの菅アルイミ前首相と1950年生まれのショーケンは巨大な集団を挟んで育って来たことになります。因みに初代民主党オーナー首相として散々な悪評のみを残した鳩山由紀夫さんは1947年(昭和22年)生まれで「団塊の世代」の代表でもあったのでした。そして、野田ドジョウ新首相は10歳年下で1957年(昭和32年)の生まれですから、小学校に入学した時には団塊の世代は全員が中学校に上がってしまい校内には残っていなかったことになります。順に鳩山・菅・ショーケン・野田と並べると手軽な世代論が作れるかも知れませんぞ。

■民主党最高顧問の菅アルイミ首相は神奈川県の住民らが政治資金規正法違反罪(虚偽記載)で、菅氏に対する告発状を東京地検特捜部に提出して受理されており、首の辺りにひんやりしたものを感じながら四国を歩いている一方、クラッシャー小沢一郎・民主党元代表の方は資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡り、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた衆院議員、石川知裕被告(38)ら元秘書3人の判決が26日午後、東京地裁(登石郁朗裁判長)で言い渡されまして、大方の予想を裏切って石川被告と大久保法規(50)、池田光智被告(34)の3人が全員「有罪」となりました。「政治とカネ」の問題を声高に叫んでは政権交代を成功させた最大の功労者であるクラッシャー小沢を生贄にして「反小沢」で支持率を引き上げようと躍起になって民主党内部に深刻な対立を作ってしまったのが菅アルイミ前首相で、その後始末を押し付けられた野田ドジョウ新首相は大変な苦労をしております。思いつきの「脱・原発依存」は継承されているとは思えず、「ある程度、方向が示された」などと陰湿な自画自賛に浸っていられるような状態ではありますまい。本当に菅アルイミ内閣は何をやっていたのでしょう?!既に思い出したくもない政権として記憶の外に排除されてしまいそうですが、民主党政権が続く限りは菅アルイミ内閣の問題は決して忘れてはならないと思うのであります。

ドングリころころ…… 其の伍

2011-09-07 16:03:37 | 政治
■初代首相にも二代目首相にも政治資金にまつわる疑惑があり、野田ドジョウ新首相にも二代目と同じような不正献金問題が発覚している事を考えても「大好きだ!」と悦に入っている場合ではありますまい。

野田佳彦新首相が30日、民主党の新幹事長に内定させた小沢一郎元代表の側近、輿石東参院議員会長(75)。支持母体である山梨県教職員組合の違法な資金集めが問題になったほか、民主党の使途不明金でも名前が挙がる。幹事長は金の流れを一手に握る。……山教組出身の輿石氏は、自らの選挙に教職員をフル稼働させてきた。昨年の参院選でも甲府市内の小学校教員が学校の封筒を使って、支持を呼びかけたことが発覚。違法な資金集めが半強制的に行われたこともあった。山教組幹部は政治資金規正法違反で罰金刑を受けている。
自ら「教育の政治的中立はありえない」と公言する輿石氏。教育評論家の小林正氏は「山教組が教員を選挙にかり出した問題などはうやむやにされている。日教組の利益代表者が与党幹事長として国政を牛耳る立場に立つのは大いに心配だ」と話す。…… 

■綱領も作れぬ寄り合い所帯が党内融和を図ろうとすれば、当然のようにお互いに隠している暗黒面も表面化しましょうし、莫大な政治資金が利権化して怨念込めた兵糧攻めの道具に使われることにもなるでしょう。そんな道具に税金を吸い上げて使っているのは嘆かわしいことで、他の党では有り得ない骨肉の争いばかりが目立って大震災の復興も原発事故の収束も遅々として進まず、外交は停止して経済政策も見るべきものが無い!それでも代表選挙だの党内人事が大手新聞の紙面を飾っているのは、総選挙を限界まで先延ばしするという国民世論を無視した求心力が働いているからで、それ故に幹事長も実質的には名誉職のお飾りにしておけて安心なのでしょう。小沢グループに恩を売ることにもなって一石二鳥だとこの人事を考えた誰かさんはほくそ笑んでいるのでしょうが、油断は禁物で裁判が終わればクラッシャー小沢が満を持して動き始めるでしょうから、その時にはよく切れる便利な懐刀に早変わりするかも知れません。


一方、「政治とカネ」が不透明な“小沢流”の手法に逆戻りするのではないかとの懸念も広がる。小沢氏が民主党の要職にいた平成18年4月~22年6月、党本部から「組織対策費」名目で小沢氏と近い5議員に計37億2510万円が支出された。使途は明かされていない。主な原資は、国会が支払う「立法事務費」。小沢氏の民主党代表就任前はこうした使途不明金はなかった。5議員には輿石氏も含まれ、9500万円を受領。「政治資金オンブズマン」の上脇博之神戸学院大教授は「党内融和を図るための人事だろうが、政治とカネの点から見ると、こうした人物が政治資金の配分権を握ることには、問題があると言わざるを得ない」と話す。
上脇氏によると、こうした手法は小沢氏の率いた新進、自由両党でも横行し、藤井裕久元財務相ら5議員に計76億円余が支出され、いずれも使途不明になった。上脇氏は「いずれも裏金になった可能性がある」と指摘している。
2011年8月30日 産経新聞 

■法律を徹底的に研究して違法性が出るぎりぎりの線を見切るのがクラッシャー小沢の真骨頂ですから、謎の76億円など絶対に行き先は分からないままで、菅アルイミ前首相の政治団体よりも怪しい組織に資金が流れている可能性もありそうです。税金を無駄にする金権腐敗政治を否定していた民主党が、やはり政治資金に疑惑を持たれて説明責任を果たさないのは問題でありましょうなあ。こんな内輪揉めばかりしているから政権与党としての成長がないのでしょうか?既にマニフェストを見直すとの三党合意が再確認されているというのに、四角四面のマニフェスト原理主義が生き残り、その一方で新閣僚から勝手気ままな政策とも呼べない思いつき発言が飛び出します。普天間基地問題も八ッ場ダムも、子供手当ても公務員改革も、あれもこれも実行不可能な空手形がどれほど国政を混乱させてしまったのか、まったく反省のない民主党の頑固さと幼稚さはなかなか治らないようであります。


小宮山洋子厚生労働相は5日の記者会見で、たばこの価格について「データからすると700円台まで(値上げしても)税収は減らない。そこまではたどり着きたい」と述べ、来年度以降、7000円を一つの目安にたばこ税を増税する考えを示した。愛煙家の野田佳彦首相は財務相時代、たばこ税増税に慎重な姿勢をみせており、早くも“閣内不一致”となった。小宮山氏のたばこ嫌いは政界では有名。超党派の禁煙推進議員連盟に所属しており議連幹事長も務めた。
会見では「日本は非常にたばこの価格が安い。世界平均は600円台だ」として、毎年100円ずつたばこ税を引き上げ、禁煙を促すべきだとの持論を展開。「たばこ事業法で財源を財務省が所管するのもおかしい。厚労省が持つ方向で協議したい」と述べた。…… 

■分煙だの喫煙だのと聞く度に、国民が心配している放射能汚染の方はどうなっているんだ?と疑問が湧きます。タバコの煙を「封じ込めろ!」「きれいな空気と混ぜるな!」と熱心なのに低レベルだからと放射能に汚染された大量の水を海に放出し、大気中にはまだ放射性物質が出されていると言うのに、ましてや復興財源のために増税の是非が大問題になっている時に、厚労相になった嬉しさを表現するのなら、少しは時勢に即した話をすべきではないでしょうか?被災地では「長生きしたくない」という声が日に日に多くなっているのですぞ!


一方の首相は7月、東日本大震災の復興財源としてたばこ税増税が検討された際には「たばこ増税は税制を通じた『オヤジ狩り』みたい」と不快感を表明。首相と同様に愛煙家の藤村修官房長官も5日の会見で小宮山氏の発言を聞かれ「本当に?」と当惑の表情を浮かべるなど、閣内には異論も多そうだ。
2011年9月5日 産経ニュース 

■本当に厚労省にとって管轄外のタバコ増税が喫緊の最重要課題なのか?被災地ばかりでなく都会でも深刻な医師不足、ワクチン・ギャップや遅い新薬認可の問題はどうなのでしょう?ぼろぼろになって手の施しようもない年金問題は?派遣労働の急増も深刻でしょうし厚労省は難問山積のはずです。ネジレ国会の綱渡りをする中で緊急の震災復興の財源を確保して野田ドジョウ新首相が目指す財政健全化との兼ね合いも微妙だと承知の上で、どさくさに紛れて「ついでにタバコ税も上げちゃうわ」としか聞こえないお気楽発言は大問題でしょう。家族や財産を失って不便を忍んで避難所生活に耐えている人々が、ボランティアから受け取った一箱のタバコに涙を流して感謝したのを御存知ないのか?御祝儀相場で期待を込めた支持率が高い時に、こういう無責任発言が飛び出して来ますとあっと言う間に支持率は下がり始めましょうなあ。まだ、野田ドジョウ新内閣は何も仕事をしていないというのに……。


小宮山厚生労働相が5日の記者会見で、たばこ税を増税し、1箱あたり700円程度とすべきだとの考えを表明したことが波紋を広げている。藤村官房長官は6日の記者会見で「個人的な思いを述べられたものだ」と述べ、政府方針ではないとの見解を強調。安住財務相も「ご高説は承っておく。(たばこ税の)所管は私だ。小宮山先生はたばこ嫌いなんですよね」とけん制した。小宮山氏は6日の記者会見で「(厚労省は)700円に上げると決める省ではない」とトーンダウンしたものの、「個人的意見というよりは厚労省を代表して申し述べた意見だ」とこだわりをにじませた。新政権発足早々の「閣内不一致」ぶりに、野党からは「閣僚の言葉が軽い民主党政権の未熟さが早くも露呈した」(自民党幹部)との指摘も出ている。
2011年9月7日(水) 読売新聞 

■「厚労省を代表して申し述べた」のならば、厚労省はタバコ税の所管を財務省から奪い取ろうと省として決意しているということですな?!そんな省庁間の利権争いの火に油を注ぐようなことをしている暇はないはずです。民主党政権を崩壊させたい人達にとっては恰好の攻撃材料になりそうな財務省VS厚労省の陰湿な喧嘩も期待できそうですなあ。財務省はもっと大きな財源を掠めろうと野田ドジョウ内閣を応援しているのですから、畑違いの厚労省がタバコ税に手を突っ込んで掻き回して欲しくはないでしょう。そもそも、景気対策も打てず円高問題はお手上げ状態、失業率も高止まり、デフレは一向に出口は見えず、そんな時にタバコを700円にしたら貧乏人は買えなくなって禁煙せざるを得なくなるだろうと言うのは、政治家として本末転倒ではないでしょうか?

■タバコの値上げと税収の関係を試算したデータなど勉強しているより、放射能と健康に関する正確がデータを作って国民に示して欲しいものです。既に原発大事故は経産省の専管問題の領域を超えて厚労省の所管事項になりつつあるのではないでしょうか?不用意なタバコ値上げ発言が呼び水となって厚労省が隠蔽している諸問題が集中的に掘り返されて省としての怠慢と無能を国会で厳しく追及されるようにでもなれば、小宮山新厚労相が蟻の一穴を掘ったことになるのですが……。
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ドングリころころ…… 其の四

2011-09-07 16:03:05 | 政治
■野田ドジョウ新首相が代表選挙の前に書いた論文を月刊誌の『Voice』が掲載するそうで、その中には鳩山サセテイタダク政権が掲げただけで終わった「東アジア共同体」構想に対する批判が含まれているそうですし、6日には鳩山・菅両政権が官僚を排除して稚拙な素人政治の馬脚を現わして大混乱した恥ずかしい過去を反省して脱「脱官僚」に転じるからと全府省の事務次官を首相官邸に集めて改めて御挨拶したそうです。その直前には鳩山サセテイタダク元総理と菅アルイミ前総理を党の最高顧問という名前だけの閑職に祭り上げておいたのですから、野田ドジョウ新首相もなかなか抜け目がないようであります。日夜、最高顧問となった偉大な二人の「反面教師」の存在を意識しておれば、何かに迷った時には二人ならどんな行動を採っただろう?と密かに自問するだけでほぼ正しい選択が出来そうですし、いよいよ困ったら「最高顧問!」と教えを乞うておいて、助言された為すべきことはせず、禁じられたことを行なえば、両政権が踏んだ恥ずかしくも罪深い轍を無様に踏むことはなさそうですなあ。持つべきものは利用価値の高い先輩というところかも?でも、菅アルイミ前首相の方は違法献金問題で当局の取調べが始まるようですから忙しくて新首相のご意見番?にはなれないかも知れません。

■石橋を叩いて渡る慎重派かと思ったら、やはり油断や手落ちはあるもので徐々に緊張感が高まって後々には大爆発しそうな人や起用されたのが嬉しくて大きな勘違いをしたまま早くも暴走し始めている人もいるようで……。


民主党は5日、同党に割り当てられた衆参両院の常任、特別委員長などの人事を内定した。注目を集めているのは、田中真紀子元外相の衆院外務委員長内定と、岡田克也前幹事長の衆院予算委員会筆頭理事への起用だ。田中氏は2001年4月の外相就任から翌年1月に更迭されるまで、人事や外交日程の調整を巡り、外務省としばしば対立。同省を「伏魔殿」と呼んだこともある。このため、同省は「驚愕の人事だ。外交を進めなくてはいけない時期に、そういう人事をする民主党の感覚がわからない」(幹部)と動揺を隠せない。…… 

■1993年の衆院選で初当選して翌年には1年生議員で科学技術庁長官!と華々しいデビューを飾ったものの政治家としての業績は乏しく、2001年の小泉内閣誕生には即興演説を武器に大活躍して女性人気が最高潮に達し、自薦で外務大臣になったのは大失敗で失政と官僚との大喧嘩で日本の外交が停止状態になってしまい2002年に更迭されてしまいました。小泉人気の大部分はマキコ支持によるものだと知っていた小泉プレスリー首相は平壌電撃訪問で人気を回復したものです。更迭直後に秘書給与問題が飛び出して議員辞職!2003年衆院選で復帰して恨み骨髄の自民党と対峙して民主党と統一院内会派「民主党・無所属クラブ」を結成したものの、激しい転身に人心が離れたしまいマスコミに取り上げられることもめっきり減り、衆院選を目前にした2009年8月15日の終戦記念日に夫の田中直紀参議院議員と一緒に民主党入りを表明したものの喜んだのは鳩山サセテイタダク民主党代表だけでしたなあ。やはり田中角栄の娘さんが反自民は似合わないということでしょう。

■同年9月の鳩山由紀夫内閣では当然、入閣はできず衆議院文部科学委員長に就任。2011年6月の菅オロシ騒動では不信任決議案の投票を棄権し党議拘束違反とされて3ヶ月の党員資格停止処分を受けましたが、特に注目されることはありませんでした。マキコさんの名前を再利用するなら外務省と喧嘩させればよい、と誰かの浅知恵かも知れませんが鳩山・菅と外交政策がころころ変わって大混乱させた民主党に正常な外交を復活させる大任を負わせるのは可哀想かもしれませんなあ。


一方、岡田氏のように与党幹事長を退いたばかりの“大物”が、予算委筆頭理事に就くのは珍しい。自民党の同筆頭理事が、党幹事長経験者の武部勤氏であるため、「民主党も重量級を充てるべきだ」と対抗した。2011年度第3次補正予算案の審議に向け、「野田首相を国会でしっかり支える」狙いもあるという。
9月6日(火) 読売新聞 

■岡田財務大臣!と1面大見出しを打って大恥を掻いた新聞もありましたが、菅VS小沢の痴話喧嘩の板挟みになって党内でも他党との関係でも調整に骨を折って疲れ切ってしまった岡田タリバン前幹事長に予算委員会で一騎当千の力が残っているのか不安がありますが、与野党折衝で民主党の欠点を見に沁みて学んだ経験が活かされれば予想外の活躍が期待できるかも?増税悲願の財務省に取り込まれて野田ドジョウ内閣の増税路線を暴走させない調整役になって欲しいのですが、どうでしょうなあ。


政府は5日の臨時閣議で野田内閣発足に伴う各府省の副大臣などの人事を決定したが、日本教職員組合(日教組)出身の神本美恵子、水岡俊一両参院議員を、文部科学政務官と首相補佐官にそれぞれ起用する異例の人事を行った。同じく日教組出身の輿石東幹事長兼参院議員会長に配慮した形だが、野田政権で文部行政に日教組がさらに介入する懸念が出てきた。日教組出身者の文部行政への関与は、平成7年の村山内閣当時に、佐藤泰介氏が文部政務次官に就任して以来とされる。
9月6日(火) 産経新聞 

■日教組のドンの異名を持つ輿石幹事長が登場したのですから、民主党内に巣食う日教組系の議員が脚光を浴びることになっても何の不思議もありません。党内に極左思想を抱え込む寄り合い所帯の家庭の事情は厳しいものがありまして、代表選挙で「民主党が大好きだ!」と野田ドジョウ新首相が叫んだ時にも違和感を持ったものですが、偽メール問題で議員を辞めて自ら命を絶った永田寿康議員も「私は民主党を愛している」と涙を浮かべて訴えていたことを思い出して嫌な気分にもなりました。他の党でこのような発言をした議員を知りませんから、民主党特有の奇妙な愛党精神があるのかも知れません。しかし、政権交代を実現させた多くの浮動票には民主党に対する愛情など最初からありませんでしたし、今では政党としての信頼も失われている現実を反省すれば、「大好きだ」発言は出ないはずなのですが、内輪の飲み会の放言なら兎も角も、マスコミが見守る中で発すべき事ではないような気がしました。

ドングリころころ…… 其の参

2011-09-06 15:57:45 | 政治
■拉致被害者の家族会などによる緊急国民集会が開かれた翌日、逃げるように会場を後にしたのがプライドを傷つけたのか、山岡拉致担当相は引継ぎで恥の上塗りをした後で拙速な弥縫(びほう)策を講じようとしたようです。

野田佳彦内閣が本格始動した5日朝、内閣府で新旧の拉致問題担当相の引き継ぎ式があった。山岡賢次国家公安委員長・拉致問題担当相は開口一番、「何年やられましたか」と中野寛成前担当相に質問。担当相が短期間で頻繁に交代している現状を認識しているのか疑わせる発言をした。中野前担当相は「いや、7カ月半です。私は何をやっても短い」とやや語気を強め、「その分、(拉致被害者の)ご家族には申し訳ない」と答えた。…… 

■この「申し訳ない」という謙虚な姿勢が大切です。鳩山サセテイタダク元首相も菅アルイミ前首相も政権末期の土壇場になるまで無理な背伸びをして見苦しい強がる姿勢が目立ち、この一言が出るようになったのは二人とも辞任が決まってからだったような気がします。自民党政権の方が腰は低かったような気もしますが、民主党は経験不足を隠すように自信過剰気味で開き直ってしまう短慮が目立ちました。その点を大いに反省したと思われて野田ドジョウ内閣の支持率は高いのでしょうが、案外、化けの皮が剥がれるのは早いかも?


民主党政権の2年間で拉致問題担当相は山岡氏で5人目。山岡担当相は4日の拉致被害者の家族会などによる集会に出席し、被害者家族と面会したが、担当相がコロコロ代わることが批判された。これを受け、5日午後に記者会見し、野田首相に被害者家族と早期に面会し、拉致問題担当副大臣人事で特別な配慮をするよう要請したことを明らかにした。首相は了承したという。新副大臣にサポートしてもらうことが狙いのようだが、“弱気”な一面は被害者家族の目にどう映るか-。
2011年9月5日 産経ニュース 

■就任早々に実際には何も知らずに「ご家族のお気持は心得ている」などと気楽な仕事と思って緊急国民会議の修羅場に臨むから尻尾を巻いて逃げ出すようなことになるのです。とても「兼務」などで済む話ではないと被害者家族と初めて会ってやっと気がついた山岡担当相はスタート・ダッシュで転倒したも同然。さてさて、誰が仲介役の副大臣になって家族会の信頼を取り戻してくれるのでしょう?


国土交通副大臣に就任した松原仁氏が拉致問題担当副大臣を兼務することが5日、複数の政府関係者への取材で分かった。山岡賢次国家公安委員長・拉致問題担当相が同日、野田佳彦首相に要請し了承された。6日、首相から正式に兼務を指示される。内閣府以外の省庁の副大臣が拉致問題担当副大臣を兼務するのは極めて異例。松原氏は超党派の国会議員でつくる拉致議連事務局長を務め、被害者家族からの信頼も厚いが、畑違いの職務との兼務に民主党政権の場当たり的対応がまた浮き彫りになった。…… 

■クラッシャー小沢に近いと言われて委員会の理事など裏方仕事ばかりしている一方でテレビには頻繁に顔を出している松原議員は、確かに拉致問題に熱心に取り組んで米国にも乗り込んで意見交換したりしていましたが、菅アルイミ政権の延命で日陰者生活が長くなり、ちょっと元気が無くなっているような印象もありましたが、被害者家族とのパイプや活動実績を考えれば山岡担当相の御氏名を受けるのは当然かも知れません。野田ドジョウ新首相にとっても松下政経塾の1期後輩でもあるので無理を承知で上で乱暴な「兼務」を命令することも出来たのでしょうが、国交副大臣の仕事と拉致問題とを掛け持ちするというのは如何なものでしょうなあ?無役の時には声高に原理原則論を振りかざして生煮えの書生論を怒鳴っていても実害はありませんでしたが、たとえ副が付いても大臣ともなると得意の評論家めいた原則論は封印せざるを得なくなるのでは?あるいは問題発言を連発して自爆するかも?


山岡氏は4日、拉致被害者の家族会などによる集会に出席し、被害者家族と面会したが、家族からは担当相が頻繁に代わることに加え、山岡氏が消費者相などと兼務であることを不安視された。これを受け、既に松原氏の国交副大臣就任が決まっていたが、野田首相に「副大臣人事での特別な配慮」を要請したという。ただ、畑違いの国交行政との兼務なだけに業務がこなせるか疑問視する声もある。……
2011年9月6日 産経ニュース 

■担当大臣も副大臣も揃って畑違いの「兼務」では野田ドジョウ政権が拉致問題には不熱心だと重ねて証明するようなもので、最初から拉致問題担当に松原議員を起用しておけば印象はまったく違ったでしょうに、勿体無いことでありました。党内融和の微妙なバランスを考える余り、過度に内向きになって組織防衛を優先させてしまうと身動きが取れなくなって再び実質的な政治空白が生まれる危険が高まりそうで心配ですなあ。二重の兼務は決して「適材適所」の人事ではありますまい。

ドングリころころ…… 其の弐

2011-09-06 15:23:54 | 政治

消費者相などとの兼務に対する家族の懸念も大きい。田口八重子さん=同(22)=の兄で家族会代表の飯塚繁雄さん(73)は、「これまで兼務になると、拉致問題がおろそかにされてきた。また一から出直さなきゃいけないと思うとつらい」と力なく語った。横田めぐみさん=同(13)=の母、早紀江さん(75)はこう嘆く。「こんなことの繰り返し。いつまでこんな状態が続くのか、言葉にもなりません」
2011年9月3日 産経ニュース 

■確かに「兼務」というのは頂けない話で、取って付けた添え物扱いと受け取られても弁解のしようがないでしょう。それも選りに選って消費者相との兼任となれば尚更です。一体、どんな関係があるのでしょうなあ?北朝鮮からの密輸品を熱心に摘発してくれても良いのですが、今の消費者庁は食品の放射能汚染対策で手一杯のはずですから、被害者家族の皆さんが感じている不安は的中してしまいそうであります。まあ、その放射能汚染の問題にしたところで山岡節で「安全です。大丈夫です」と言われても誰も信用しないでしょうが……。

■野田ドジョウ新内閣の組閣が終わったのに合わせるように拉致犯罪被害者家族会が大規模な集会を催した由。勿論、山岡新大臣も御出席だったのですが……。


拉致被害者の救出を訴える拉致被害者の家族会などによる緊急国民集会が4日、東京都内で開かれた。コロコロ代わる拉致問題担当相に拉致容疑者につながる政治団体への献金、家族らが反対する朝鮮学校無償化の審査再開など続出する問題に、民主党政権に対する家族らのいらだちと失望感が噴き出した。集会は、平成20年9月4日に北朝鮮が拉致被害者の再調査に合意しながら先送りを通告して3年になるのに合わせ、開かれた。集会では、再調査に応じない北朝鮮への追加制裁や、無償化審査を停止するよう政府に求める方針を決議した。…… 

■悲しくも虚しく流れた3年間のうち2年間は間違いなく民主党政権の時代であります。事件解決にまったく誠意を見せない北朝鮮に対して、文句の一つでも言うかと思えば、逆に無償化の対象にしたり奇怪な政治団体に巨額献金をしていたり民主党政権は変なことばかりしています。寄り合い所帯の党内にはこうした動きに明確に反対する議員もいて、前任の中野大臣は菅アルイミ前首相が唐突に言い出した朝鮮学校無償化について即座に反対の意を示していましたが、民主党の上層部は無視してしまい、野田ドジョウ新内閣ではあっさり交代ですから無償化は誰にも止められないかも知れせん。


田口八重子さん=拉致当時(22)=の兄で家族会代表の飯塚繁雄さん(73)はあいさつで、「首相がコロコロ代わるためほごにされたが、再調査の約束は生きている。野田佳彦首相には拉致に対する日本の姿勢をはっきり大きな声で語ってほしい」と話した。山岡賢次国家公安委員長・拉致問題担当相もあいさつに立ち、「解決に誠心誠意尽くす」と述べたが、準備された原稿を棒読みするだけ。さらに「政府で検討したが、追加制裁の結論に至っていない」と話し、会場から非難の声が上がった。これに先立ち、山岡担当相は家族らと初めて面会したが、就任あいさつだけで具体策は示さなかったという。集会でもあいさつを終えると早々に退席した。…… 

■民主党の「誠心誠意」というものの正体は原発事故の被災地の皆さんが身に染みて分かっておられるでしょうし、大震災からの復興が進まない東北地方の皆さんもよく知っておられるでしょう。政治主導がいつの間にやら役人が書いた「原稿の棒読み」になり、責任はすべて現場や個人に押し付けて知らん振り、そんな民主党政治を続けていれば次の総選挙では政党自体が消滅するのは間違いないでしょう。自分の容姿がぱっとしないから「解散はしません」と変な約束をした野田ドジョウ新首相でしたが、御祝儀相場の高い支持率が急降下し始めたら分かりませんぞ!


出席者からは、菅直人前首相側の献金や朝鮮学校無償化審査の再開指示に対する批判が相次いだ。松木薫さん=同(26)=の姉、斉藤文代さん(66)は「家族は政府がどうにかしてくれると信じ、何とかやってきた。『全力を尽くす』といった菅前首相の言葉は嘘だったのでしょうか」と語った。集会後、家族の一人は「山岡担当相には自分の言葉で話してほしかった」と話していた。
2011年9月4日 産経ニュース 

■実に残念なことですが、「菅前首相の言葉は嘘だったのでしょうか?」と問われたら、「そうです。ウソでした」とお答えするしかありません。菅アルイミ首相が本当に全力を尽くしたのは、大震災と原発事故を悪用した自分の延命工作と次の党代表をクラッシャー小沢の影響を受けない人物にすることだけでありました。そして、山岡担当相に拉致問題について「自分の言葉で話して欲しい」というのは無理な相談でありましょう。菅アルイミ前首相に負けず劣らず権力志向が強い人のようですから、大臣の椅子に座っている快感に浸っているだけで何ら目立った業績も残さず終わる可能性が極めて高そうです。

ドングリころころ…… 其の壱

2011-09-06 15:23:16 | 政治
■民主党の代表選で飛び出した泥鰌演説に便乗しようとマスコミ以上にデフレ不況と闘う企業や商店が続々と現われているようですが、自民党の石破政調会長が童謡『ドングリころころ』を的確に引用して意外だった野田内閣誕生を「泥鰌が出て来てこんにちは」と冷笑気味に皮肉っぽく語っているのを聞きまして、青木存義作詞・梁田貞作曲の『どんぐりころころ』の歌詞が気になり改めてYAHOO!知恵袋で確認してみたところ、何だか民主党の近未来を予言しているような気味の悪さを感じたのであります。

どんぐりころころ どんぶりこ
お池にはまって さあ大変
どじょうが出て来て 今日は
ぼっちゃん一緒に 遊びましょう 

■これは1番の歌詞。どんぐりは民主党自体か、閣僚の誰かさんか?「池」は鳩山・菅の両政権が続けた失政によって失墜した政権与党民主党がのたうち回っている絶体絶命の現状。泥鰌はそのまま野田ドジョウ新首相で、「ぼっちゃん」と呼び掛けている相手として最も相応しいのはクラッシャー小沢ですが、閣僚や続々と決まっている副大臣以下の内閣スタッフの中にも候補者がいるかも?


どんぐりころころ よろこんで
しばらく一緒に 遊んだが
やっぱりお山が 恋しいと
泣いてはどじょうを 困らせた 

■この2番の歌詞で謎めいて不気味なのが「お山」であります。気楽だった野党時代のことか?それとも「ノーサイド」に飽きて疲れた頃に頭をもたげる各グループのことか?或いは半島の某国という特定の場所ではないかと深読みが可能な候補者もいそうですかな?「泣く」と言えば海江田ナキムシ前経産相が思い出されますが「鳴く」や「啼く」と字を替えれば誰が起こすか知りませんが、閣内不一致で野田ドジョウ新首相が泣きたくなる場面が創造されますなあ。

■更に作詞者不詳の幻の3番というのが有るそうで……。


どんぐりころころ ないてたら
なかよしこりすが とんできて
おちばにくるんで おんぶして
いそいでおやまに つれてった 

■はて、どんぐり救出に駆け付ける「小栗鼠」とは何者か?「落ち葉に包んで負んぶして」という強引なところから、堪忍袋の緒が切れて党を割って出て行くクラッシャー小沢の姿がちらりと脳裏をかすめるのですが、その反対側、反小沢が骨の髄までしみこんでいる菅アルイミ前首相あたりが忘れられた頃にしゃしゃり出て来て合併前の民主党に先祖返りなどということもあるのかも?

■某保育所では別の歌詞が歌われているそうです。


どんぐりころころ ないてたら
やさしいハトさん とんできて
やままでおくって くれました
どんぐりおれいを いいました 

■ここではズバリ!鳩山サセテイタダク元首相が名指しされておりますが、「やさしい小鳩が飛んで来て」と変えれば露骨な新党結成の予言になりますなあ。組閣人事が終わった直後から既にあちこち襤褸(ぼろ)が出始めるのが民主党らしいところなのでしょうが、慎重の上にも慎重に派閥均衡型の陣容を整えたのが裏目に出てしまう心配がもう出ているのは非常に気になるところであります。


「野田佳彦首相の拉致問題への考え方が出ている。拉致問題軽視としか言えない」。消費者相と国家公安委員長と兼務で山岡賢次氏が拉致問題担当相に就任したことに、増元るみ子さん=拉致当時(24)=の弟で拉致被害者の家族会事務局長の照明さん(55)は、失望感をあらわにした。山岡氏は、超党派の国会議員でつくる拉致議連にも所属せず、拉致問題に関しては全くといっていいほど活動実績がない。拉致被害者家族らは「拉致問題での発言を聞いたことがない」と声をそろえる。…… 

■クラッシャー小沢の側近中の側近を自称する目立ちたがり屋の山岡さんが念願の入閣!という第一報を聞いた時には「蟻の一穴」という言葉が思い浮かびました。消費者相としての適正に疑問が持たれるほど違法なマルチ商法に深く関わっているという脛に傷持つ身でありながら、何を聞かれても表情ひとつ変えずにぺらぺらと立て板に水を流すように言い抜けてしまう才能には恵まれているようですが、「策士策に溺れる」の譬えもあるように後々、墓穴を掘ってしまう危うさが感じられる人物のようですから野党第一党の自民党にしてみれば恰好の標的となりましょう。以前にも民主党政権の国家公安委員長には何かと問題の多い人物が登用されたこともありましたが、このポストを軽視、或いは蔑視でもしているのか?と薄ら寒いものを感じてしまいます。自分の立ち位置を保守と明言している野田ドジョウ新首相にしてこの程度の人選をするのですから、民主党の命運はやはり尽きているのかも知れませんなあ。


山岡氏は2日、官邸で記者団に「家族会とは、今まで直接、お話はしていないが、お気持ちは心得ているつもり。全力で対応していきたい」と語った。しかし、家族会などが平成21年の総選挙前に行った拉致問題への取り組みを問う議員アンケートでは、回答すらなかっただけに家族らの不安はぬぐえない。菅直人前首相ら民主党議員側による拉致事件容疑者の長男が所属する政治団体側への巨額献金の発覚に続き、菅前首相は辞任直前に家族らが反対する朝鮮学校無償化の審理再開を指示するなど、家族らの民主党政権への不信は募る一方だ。 

■何事もソツなくこなせるオールマイティを演じて見せているのでしょうが、拉致犯罪被害者家族を相手にこういう口先三寸の軽口は慎んだ方がよいでしょう。まして菅アルイミ政権時代に聞き飽きた虚しい「(無力の)全力」を繰り返されたら、何もしないと言ったも同然ですぞ。延命のためとは言え北朝鮮への電撃訪問を画策して失敗した節のある菅アルイミ政権は拉致事件を政局の玩具にしただけで解決に向けては冷淡で不熱心でしたから、口舌の徒になりそうな山岡大臣では被害者家族の心はつかめないでしょうなあ。


その中で、家族らは政策の継続性を訴え、中野寛成前担当相の留任を求めたが、その声も無視され、民主党政権の2年間で5人目の拉致問題担当相の就任となった。野田首相は2日の会見で頻繁に担当相が替わることを問われ、「拉致問題を含め、その継続性で信頼を取り戻すことがこの内閣の最初の課題だ」と述べた。しかし、山岡氏は2日の会見で野田首相からの拉致に関する指示が6項目中の5番目だったことを明かしており、拉致問題軽視の姿勢が浮かぶ。…… 

■どうして「5番目だった」ことをバラすのでしょう?こういう無神経なところだけ「情報公開」して見せても仕方がないでしょうに?!思いやりが無いと申しましょうか、無神経だと申しましょうか、野田ドジョウ新首相も「継続性」などという場違いな言葉を使うと、ああ、またかいなあ、と多くの国民が溜息をつきましょうぞ。

やるべき事をやった後で…… 其の弐

2011-09-03 17:06:43 | 政治
■民主党の代表選で最も印象的だったのは、戦い済んで日が暮れて司会者に呼ばれて舞台に上って野田ドジョウ新首相と握手した菅アルイミ前首相のニタニタ顔でした。驚いたことには代表選を戦った前原・馬淵・海江田・鹿野候補に混じって野田ドジョウ新首相を中心に並列握手をした時にもニタニタし続けていたばかりか、壇上に立った人達の中で一番嬉しそうな顔をしていましたぞ!一体、何がそんなに嬉しいんだ??と最後の最後まで理解不能の奇人ぶり全開でありましたなあ。

■思い出せば1年前、民主党を真っ二つに割っての小沢VS菅の仁義なき戦いに辛勝した菅アルイミ前首相の第一声は、とろけるような満面の笑みで発した「あっりがとございま~す」でした。総理大臣になれて本当に嬉しいなあ!大嫌いな小沢を倒して気持がいいなあ!自分は日本で一番偉いんだなあ!と全身から大勘違いの濁ったオーラを発散させていたのでした。その勘違いを1年以上も持続する根性は大したものなのかも知れませんが、やはり病的に内向きで狭い視野しか持てない宰相の器には程遠い政治家だったのでしょう。どこかの小さな小さな地方都市の市長さんにでもなっていれば、ちょっと目立った面白い事が出来たかも知れませんぬが、鳩山サセテイタダク元首相がぶっ壊した日本を建て直し、同じくずたずたになった日米関係を修復することなど最初から無理で、自分に降りかかった違法献金疑惑を掻き消してくれた大震災と原発事故に全国民の目を釘付けにしようとでもするように、他の政治課題は放り出して「すごく詳しい」原発問題にたった一人で取り組んでくれた御蔭で大量の被爆者を出してしまい、震災復興はぴくりとも動かず、基地問題で翻弄された沖縄県民も北朝鮮による拉致犯罪の被害者家族も忘れ去られて心を痛めておられた長い長い半年が過ぎました。

■今回の代表選挙で最も可哀想だったのは海江田ナキムシ前経産相ではなかったかと思います。「浜岡原発停止」「脱原発」「ストレステスト実施」と唐突に国策を変更する菅アルイミ前首相に何度も梯子を外され手柄は横取りされ、地道な努力が徒労に終わる損な役ばかり押し付けられた怨念は決して忘れられるものではないでしょう。8月27日に開催された面白くも可笑しくもない「共同記者会見」が終わった後の記念撮影では左に野田・鹿野候補、右に馬淵・前原候補を引き連れるような格好で真ん中に立って勝利を確信した満面の笑みを浮かべていたのに、一夜明けて蓋を開けてみたら菅アルイミ前首相が大喜びするような「反小沢」大連合が生まれていて、あれよあれよと思う間に党の過半数の票が逃げて行ってしまいました。おそらく選挙後の壇上でニタニタし続けた菅アルイミ前首相は、「反小沢」大連合を作った首謀者は自分だと勘違いして、イッパシのキング・メーカーにでもなった気分であったのでしょう。最後まで自分に甘い異常な神経回路が働いていたようです。

■共同記者会見の席でも、問われれば幾らでも菅アルイミ政権の裏話(修羅場)を材料に辛辣な前政権批判が聞けたでしょうに、政治記者諸氏はクラッシャー小沢との関係ばかり質問して経産相として忍耐し続けた苦労話を披露できずに不満だったでしょう。しかし、候補者の中で誰一人として菅アルイミ内閣の業績を高く評価して「このまま丸ごと継承する」と宣言する者はなく、山形県出身の鹿野農水相の口からは「スピードが足りない!」と率直な悪口が連発され、野党対策では「誠心誠意」の四字熟語が連打されて菅アルイミ政権の幼稚な唯我独尊を押し通した失政を見事に撃っておりましたなあ。

■自称・経済評論家出身の海江田経産相も「消費税引き上げに失敗」したのがダメ!と独自の味付けに必死のようでしたが、原発ムラの生殺与奪の権力を持ちながら「更迭」の決断は出来ずに「人心一新」の順送り官僚人事を認めたからには、日本の原発行政は菅アルイミ首相の常軌を逸した夢物語に対する反動を利用して、なし崩しの官僚主導政治の尖兵になって財務官僚に取り込まれた新総理になってしまう危険がありました。財務省にすっかり取り込まれたと噂されている野田ドジョウ新首相が、どんな方法でそんな噂を否定するのかしないのか、気なるところではあります。消極的・場当たり的・その場凌ぎの当て馬(第三の男)候補であっても総理大臣の椅子に座りたい!と無責任なマスコミの票読み報道に乗せられて日々刻々と反小沢・親小沢で股裂き状態になる親政権を背負い込む艱難辛苦の道をまっしぐらに突き進んでいることにまったく気付かない御様子だった海江田ナキムシ前経産相は、野田ドジョウ新内閣での入閣は無く、自分を担いでくれた小沢グループからさえ2人も入閣しているというのに、同じく無役になりそうな馬淵ターミネーター元国交相とは違った意味で孤独な党内生活が始まりそうです。

■「鳩山はダメだ!菅ではもっとダメだ!」と言いたいのに言えない代表選挙は多くの国民にとっては稚拙な茶番劇でしかありませんでしたし、単なる党内行事で終わったことで政権交代専用の選挙互助会から脱皮できない民主党の実態を改めて天下に示してしまったようなものです。あと1年もしないうちに本番の代表選挙があると言うのですから野田ドジョウ新政権がどれほど神経をすり減らして派閥均衡ノーサイド人事で切り抜けようと思っても、本格的に政権が動き出したら何が起こるか分かったものではありません。新し物好きのマスコミは菅アルイミ前首相など眼中に無く、もう四国のお遍路に行ってしまったかのような御用済み扱いをしているようでありますが、最後の最後まで政治を私物化して玩具にして去った事実を決して忘れてはなりますまいぞ!代表選挙の告示日にも菅アルイミ前首相はしっかり傍迷惑な「仕事」をしておりました。


菅直人首相は27日午後、福島市で開かれた「原子力災害からの福島復興再生協議会」の初会合に出席し、「避難住民が元にいた所へ帰ることができるよう、全力を挙げて取り組んでいくことを約束する」と表明。「やらなければいけない政府の役割は必ず次の首相に引き継ぎたい」と語った。
2011年8月27日 産経ニュース 

■「やらなければいけない政府の役割」を何も果たさなかった自分の無能無力を棚に上げて、次の首相にあれこれ指示や注文など出来ないはずなのに、腐っても鯛、無能でも前首相という強引な権威主義を丸出しにして去り行く者の遠吠えにしては気味が悪いほど自信たっぷりの表情だったようであります。何とかの一つ覚えの「(無力の)全力」を最後まで繰り返す話を誰も真剣には聞いていなかったと想像されますが、「避難住民が元にいた所へ帰ることができるよう」と言いながら、この会合の直前に行なわれた福島県知事との会談では「福島圏内に中間貯蔵施設を作りたい」とまたまた唐突に言い出していたのですから、絶望的に長い期間「帰れない場所」が出現するという重大事をころっと忘れてしまったように「約束」してしまえるのが菅アルイミ前首相なのであります。


菅直人首相は27日午後、福島県庁で佐藤雄平福島県知事と会談し、東京電力福島第1原発事故で拡散した放射性物質に汚染された土壌やがれきに関し、「国として、県内で生じた汚染物質を適切に管理する中間貯蔵施設を県内に整備をお願いせざるを得ない」と述べ、福島県内への設置を要請した。ただ、首相は「最終処分地とは考えていない」と述べた。
一方、原発周辺に居住していた住民の帰宅については、「放射線量が非常に高い地域がある。除染を講じてもなお長期間にわたり、住民の帰還・居住が困難となる可能性は残念ながら否定できないのが現実だ」と指摘した上で、「大変、申し訳ない。おわび申し上げる」と陳謝した。 
2011年8月27日(土) 時事通信 

■この「中間貯蔵施設」に関して、代表選挙の中では一切語られることはありませんでした。やっと居座り続けられなくなって、憲政史上最も愚かだった首相の次に最も卑怯未練で独断暴走が目立った首相として追い出される事が決定した後になって「現実」を語り始めて、珍しく「お詫び申し上げる」と謝罪してもらっても被災地の人たちは誰も感動しないでしょうし相手にもしないでしょう。新聞・テレビの報道でも極めて小さく軽い扱いだったのは印象的でした。本当は重大な「現実」と「陳謝」だったのですが……。


政府は27日、東京電力福島第1原発事故で放射性物質に汚染された地域のうち、年間の被ばく線量が200ミリシーベルトと推定される場所では、線量が下がり、避難している住民が帰宅できるまでに20年以上かかる可能性があるとの試算結果を、福島市で開かれた「福島復興再生協議会」で示した。放射性物質を取り除く除染などをしない場合に、セシウム137や134が時間経過とともに減少することや雨や風で地表面からなくなることにより、帰宅の目安となる年20ミリシーベルト以下になるまでの期間を求めた。現在の推定線量が100ミリシーベルトの場所は10年程度、50ミリシーベルトの場所では4年程度となる。
細野豪志原発事故担当相は協議会の終了後、記者団に「除染でどれぐらい前倒しできるかに挑戦する。やり切らなければならないが、かなり長期間、帰宅が難しい人が出る現実も直視しなければならない」と述べた。
2011年8月27日 産経ニュース 

■正確な情報も出さず、事故から半年も経ってから「挑戦する」と言われても、口裏合わせのように発表された詳細な汚染マップで帰りたい故郷に赤丸を付けられてしまった人達にとって、この半年間の不安に満ちた彷徨は何だったのか?という虚しさと絶望の深さは想像も出来ません。本当は厳しい「現実」を示す正確な情報を隠蔽していたのは厳しい政治決断を迫られるのを誰かさんが避けていたからではないのか?!一切の責任を取らない奇怪な政治主導を推し進めた結果がこれならば、代表選挙の中で「政治主導は間違いでした。民主党には無理でした」と候補者一同が認めて謝罪するべきだったのではないでしょうか?誰もが「原発事故の収束」を喫緊の問題と認めているのに処理施設に関しては何も具体策を示さないというのは菅アルイミ前内閣と同様に卑怯千万な話であります。もたもたしている間に汚染物質はどんどん拡散し続けているという恐ろしい指摘があるというのに、沖縄に続いて福島でも問題を先送りして時間稼ぎをするのなら早々に政権を投げ出すべきでしょうなあ。

やるべき事をやった後で…… 其の壱

2011-09-03 15:48:55 | 政治
■目下、台風12号が四国に上陸して自転車並の鈍足で瀬戸内海に向かって北上中。紀伊半島や東海地方でも大雨が降り、台風から距離のある北海道でも前線が刺激されて大雨とのことで、洪水や高波に襲われて不安な週末を迎えておられる皆様には謹んでお見舞い申し上げます。夏の終わりから秋にかけての台風襲来は日本列島の位置からして避けられない宿命のようなものですが、今回の12号は強力な高気圧に東西から挟まれてほぼ直線状にゆっくり北上しているのが気になりますし、いつもなら東の海上に台風を吹き流してくれる偏西風が意地悪でもするかのように、いつもよりずっと北で吹いている由。唯一の救いは福島第一原発周辺が直撃を免れ、北の雨雲も遠くを流れていることでありましょうか?1000ミリを越えるような集中豪雨の直撃を受けたら大量の汚染水がどうなるかと思うと事故現場を西側に迂回するように進む台風の進路を見ておりますと、西日本各地の皆様には大変申し訳ないこととは承知しながら、少しばかりの天佑に感謝したくなります。長過ぎた菅アルイミ政権の1年余がやっと終わったのですからなあ。

■その台風12号が南の海からもたもたと日本に接近している間に民主党は3人目の総理大臣になる代表を選ぶお祭り騒ぎをやっておりまして、新聞・テレビは「海江田優勢」だの「前原VS海江田」だのと、困ったときのクラッシャー小沢頼みを丸出しにしたヨタ話を大真面目に報道しておりましたなあ。最初は野田を担いだ仙谷ノーコメント前官房副長官が、土壇場で裏切って前原元外相を引っ張り出したのが混乱の原因とも言われているようですが、新聞の1面が日替わり定食みたいにころころ変わっていた時、台風12号の西側にもう一つの台風11号がふらふらと北上していたのでありました。結局、民主党代表選挙当日の8月29日に台風11号は台湾海峡上空で昼過ぎには熱帯性低気圧に変わり、31日に対岸に上陸して間も無く消滅したのでした。不思議な天気図を見ながら、「はて?何だか代表選挙のような怪しく鈍い動きであることよ」と独りごちておりましたが、片方がふらふらとチャイナの上海辺りを目指して北上して行く様を見て、クラッシャー小沢が推した方の候補が消滅するかも?と思っていたら決選投票で海江田ナキムシ前経産相が落選したのでありました。『週刊文春』の記事によりますと、密かに選挙会場に入っていたクラッシャー小沢は海江田敗北の直後に人目を避けて裏口から駆け出して行ったとか……。

■野田ドジョウ内閣が正式に発足した日、聊か女子の影に隠されてしまった感のある日本男子サッカーが因縁の宿敵?北朝鮮を相手にあわや屈辱の引き分けか?!という苦しい戦いのロスタイム5分間の延長でやっと1点を取って連勝記録を伸ばしてくれました。苦戦の原因は右膝半月板損傷で離脱したFW本田の不在だと誰にも分かっておりましたから、万が一の場合でも試合会場で乱闘・暴動騒ぎは起こらなかったでしょうが、国際的に通用するトップ選手を欠いての「全員サッカー」に冷や冷やさせられますと、泥臭いと自称する野田ドジョウ内閣が間も無く始める素人政治の第三幕を見せられているような実に嫌な気分になったのは確かであります。

■誰が当選しようとも、まったく希望の光がは見えない民主党代表選挙が、文字通り粛々と事務的に終了して政権交代後3人目の代表(首相)が決まってしまいました。誰が当選しても国民生活にとっては大差が無いからこそ7人も立候補に動き出し、国民は週刊文春が頭文字を並べて「また馬鹿のかお」と溜息混じりに喝破した通り、永田町の空騒ぎを冷ややかに見て見ぬふりをしていたのでしょうが、最後の最後まで菅アルイミ首相は根拠不明の自信に満ちた奇怪な自画自賛を臆面もなく吐き散らして長過ぎた居座り政権に幕を引き土壇場まで、一種病的な執念を見せて怪しい言動を続けていたのが気になって仕方がありませんでした。マスコミは日本の総理大臣が変わる!という大きな看板を掲げて代表選挙の下馬評をさも重大事の如く装って大仰に報道する一方で、菅アルイミ首相は既に辞職したかのようにその行動と存在を無視していたのは迂闊でした。

■病膏肓に至り、菅アルイミ首相は正真正銘の裸の王様になった最後の3箇月間、実に陰湿で勝手気ままな行動を地道に?続けていたのは通常の神経では理解不能。もしかすると精神医療の対象になるのではないか?と本気で心配したくなるほど強靭で鈍感な神経回路を持つ不思議な総理大臣の心の奥に何が有るのか?あの底なしの不気味な権力欲の強さ、「他人に厳しく自分に大甘、いつもニヤニヤ腹黒く」の行動原理の強固さには尋常でないものがありました。既に人間社会の尺度では計れず、人を喰って生きると言われる政治家の世界でも菅アルイミ首相の無神経さと厚顔無恥さ加減は図抜けておりました。その後ならば、それこそクラッシャー小沢が断じた通り「菅さん以外なら誰でもよい」と思うしかない脱力感と絶望感が日本中に満ち満ちていたのでありました。

■後継総理を実質的に決める民主党代表選挙が行なわれましたが、28日の日曜は朝から各テレビ局が5人の候補者を並べて出演させ、飽きもせずに同じ質問を投げ掛けては、まったく具体性の無い「べき論」を喋らせていたようでありますが、面白いことに全候補者に共通するのは直截な表現を避けつつも「菅内閣は継承しない」という消極的な否定論を基盤にして話を始めている事でした。候補者の中に菅アルイミ内閣の現役閣僚が3人も入っているというのに、それぞれが意気込みを語る言葉の端々に「菅内閣はダメだった」という意味のメッセージが聞き取れるのは実に不思議な話でありました。消極的消去法で小鳩連合に担がれ「第三の男」という情けない異名を貰ってしまった海江田経産相は、号泣事件で男を下げてしまった弱みを補うには親分の鳩山アルイミ前首相に縋り付くしか身の振り方は無く、笑ってしまうほど影が薄い元総理大臣の裏にはクラッシャー小沢の豪腕が隠れているので、これを利用して恨み骨髄の菅アルイミ首相に一矢報いておかねば気が済まぬ!という怨念がどうしようもなく透けて見えておりましたなあ。

■つまり、5人の代表候補には菅アルイミ首相は大嫌いだ!という共通点がありながら、その度合いが微妙に違っていたようです。党を再び二分する危険を承知の上で小鳩軍団の支援を受ける決断をするほど海江田ナキムシ経産相が断トツで、その次は誰だろうと想像しますと、首相補佐官の椅子を蹴っ飛ばした馬淵ターミネーター元国交相辺りが二番手で、次が度が過ぎた反小沢主義で党を分裂させて対立させた罪を許せないらしい鹿野コノヨウニ元農水相、その反小沢ブームに便乗していた前原元外相と野田ゾウゼイ財務相の松下政経塾コンビは当初の協力関係が破れた後、慌てて立候補した前原エエカッコシイ元外相が小沢詣でに出向いた事実から、鼻の差で前原エエカッコシイ元外相の方が菅アルイミ首相を嫌っていると思われます。

■代表選挙で各候補者が渋々認めざるを得なかった政権交代から2年間続いた素人政治の大失敗は日本を蝕み続けているのですが、選挙会場にしらっと他人事みたいに座って無表情で投票し、決選投票の後には呼ばれて舞台に登って野田新代表と例の気味の悪いニヤニヤ笑いを一瞬見せて握手した場面は滑稽を通り越して実に不快でありましたが、全候補者が各自の立場から批判や反省の意を表明した原発事故への下手くそな対応でさえ、菅アルイミ首相本人にとっては辞任記者会見で「やるべき事はやった!」と誰も予想しなかった??能天気な自画自賛できるものだったのですから、既に民主党の命脈は絶たれているはずなのですが、寄り合い所帯が無くなると路頭に迷って惨めに頭を下げて歩かねばならない一蓮托生の相見互いの400余人の議員達は、総選挙を先送りするという一点に於いてだけは鉄壁の団結力を保持しているのですから、変な総理大臣が次々と現われるのも仕方がないのでしょう。「政権交代」しか共通理念の無かった烏合の衆ですから当然なのですが、そんな歪な政党が政権を担い続けることに不安ばかりが湧いて来るのであります。

■永田町では「鳩山と組んで物事が上手く行った例がない」とジンクスめいた話が流布していたのだそうですが、今回も鳩山サセテイタダク元首相の名前がちらほら出始めた時から代表選挙は混乱し始めて、空騒ぎが終わって「ノーサイドにしましょ、もう」と野田ドジョウ新首相が呼び掛けた時から鳩山サセテイタダク元首相の名前も影も綺麗さっぱり消えて無くなってしまいました。鳩山グループというのは何のために存在しているのか、さっぱり分かりませんなあ。

やっと辞めます菅総理 其の八

2011-09-01 21:53:32 | 政治
■東日本大震災と福島第一原発事故が起こってから1箇月後の4月18日のことでした。参議院予算委員会の集中審議の場で菅アルイミ首相は原発事故対応に関して根拠の無い自画自賛をいたのでした。今にして思えば悪い冗談みたいな話ですが、驚くべきことにこの時の自画自賛のずっと続いてぼろぼろになっての辞任会見でも「やるべき事はやった!」と締め括ったのですから、手の施しようのない鉄面皮だったと再認識させて貰いました。そして、すっかり野田ドジョウ新首相の気配り人事ばかりが注目されておりますが、何と!正式に総理大臣に就任していないので今でも日本の総理大臣は菅アルイミ前首相なのだそうですなあ。

■4月の集中審議で記憶に残るのは、自民党の脇雅史参院国対委員長から前年の10月に実施された大規模な防災訓練について問われた場面であります。菅アルイミ首相を本部長として、行われた「原子力総合防災訓練」について、「どういう想定で行われたか覚えているか?」と質問されて「いろいろな事態を想定したはずで…」とシドロモドロになってしまい、脇議員から「非常用冷却装置と複数の設備故障により、放射性物質が放出されたという想定だった」と追求され「本当に記憶はないのか?」と問い詰められた菅アルイミ首相の答弁は、「私が細かいところまですべてを知っているかと言われれば、承知していない」と小泉プレスリー元首相ばりに開き直って「東海村の臨界事故や、チェルノブイリなどは、私なりに知見を持っている」とまったく別の話に逃げてしまったのでした。

■そんな菅アルイミ前首相が東日本大震災・原発事故が起こってから初の東京直下型地震が発生したとの想定に基づく防災訓練の最高責任者になっていたというのは民主党らしい国民を馬鹿にした悪い冗談みたいな話でありますなあ。


政府本部運営訓練には、既に総辞職している菅内閣の閣僚たちが参加した。野田佳彦新首相が皇居での任命式を2日以降に先送りし、憲法上、菅内閣が「職務執行内閣」として存続しているため。現行憲法下で「防災の日」を職務執行内閣の下で迎えるのは初めて。
菅直人首相は地震発生想定時刻の午前8時過ぎに公邸から官邸に出勤。想定に沿って衆院赤坂議員宿舎から徒歩で約10分かけて首相官邸に向かう閣僚もいた。菅首相は午前8時25分に緊急災害対策本部会議を開き「情報収集と的確な対応」を各閣僚に指示。野田新首相も財務相として対策本部会議に出席した。任命式の先送りは野田新首相が人事構想を練る時間を十分確保するためだが、閣僚からは「訓練してすぐに退任するなら訓練の意味がない」と疑問の声も漏れた。
2011年9月1日(木) 毎日新聞 

■被災地の皆さんは、一体、どんな気持でこんなニュースを観るのでしょう?津波被害の復旧・復興も見通しがまったく立たず、原発事故の処理はもっと進んでおりません。半年前に「情報収集と的確な対応」を各閣僚に指示して誠実に実行して欲しかった!菅アルイミ前首相はどんな気持でこんな猿芝居の主役を演じていたのでしょう?さてさて、話はしつこく「原子力安全庁」(仮称)の件に戻ります。


政府は15日の閣議で、経済産業省原子力安全・保安院と内閣府原子力安全委員会を統合した「原子力安全庁」(仮称)を、環境省の外局として新設することを柱とした原子力安全規制に関する組織改革の基本方針を決定した。ただ組織改革の具体的な項目で詰め切れなかった部分もあり、環境省の受け入れ体制など来年4月の発足に向けた課題は多い。政府は準備室を月内にも設置し、来年の通常国会に関連法案を提出する方針。細野豪志原発事故担当相は15日の記者会見で「規制についても根本的な改革が必要で早急に作業に入る」と述べ、制度の見直しにも着手する考えを示した。ただ、素案段階で明記されていた「核燃料物質の運搬に関する規制」や「放射線障害防止」などの役割を担うかどうかについては議論が先送りされた。規制の役割分担で省庁間調整の難航も予想される。安全庁の出先機能として環境省が持つ地方組織を活用する方針だが、政府関係者は「自治体や事業者との間でうまく機能するかは不透明」と指摘する。…… 

■確かに「原子力安全庁(仮称)」の設立準備室は開設されて麗々しく真新しい看板が細野担当大臣の手で部屋の入り口に掛けられたのであります。しかし、原発事故発生後に訳の分からない「本部」を滅多矢鱈に濫立させた愚かしくも腹立たしい稚拙な手法を思い出させるばかりで、マニフェストの目玉だった「国家戦略室」の看板と同様に文字通りの看板倒れになりそうな気がしてなりません。主題の戦略室長は菅アルイミ前首相でしたからなあ。在任中に一度もで「省庁間調整」に成功しなかった菅アルイミ首相の置き土産なのですから、ますます経産省の圧力に負けて影が薄い形だけの組織になり果ててしまうのは時間の問題かも知れません。


長官には政治任用で民間人を起用する方針だが、「原発の専門家の人材は限られていて適任者を探すのは簡単ではない」(菅直人首相周辺)ともされる。政府は、組織改革の第1段階で安全庁を発足させ、第2段階として東京電力福島第1原発事故の検証結果や原子力政策の見直しを踏まえて平成24年末をめどに機能や組織体制などの強化案を決める。
2011年8月16日(火) 産経新聞 

■幼児が次々に新しい玩具を求めるように、次々に新しい思い付き政策を唐突に掲げては次々に放り出していた菅アルイミ政権らしく、まるで福島第一原発の事故が収束したかのように悪名高い保安院を延命させるだけの新組織を作っているようにしか見えません。「民間人の起用」などと意気込んで見せても、誰がこんな脆弱で信頼性のない政権が作った新しい組織に乗り込んで来るというのでしょう?どうせ原子力ムラの住人かお友達がどさくさに紛れて就任する公算が高いのではないでしょうかな?こんな中途半端な組織を押し付けられる野田ドジョウ新首相が可哀想であります。


原子力の安全規制を担う新組織「原子力安全庁(仮称)」の設立準備室が26日、内閣官房に設置された。原子力安全・保安院を経済産業省から分離して内閣府の原子力安全委員会と統合し、環境省の外局として来年4月の発足をめざす。準備室は経済産業省や警察庁など37人で構成。室長には環境省の森本英香審議官が就いた。細野豪志・原発担当相は26日、「安全規制や組織のあり方など検討課題は山積み。能力と経験をいかしてほしい」とあいさつした。
2011年8月26日 asahi.com 

■米国の原子力監視規制組織に比べてずっと小規模の組織を、今回の大事故を起こした既存の組織を形だけ組み替えて何やら大そうな改革でもしたように装うのは歴史的な政権交代から2年余りも素人・寄り合い似非政党の無能振りをゲップが出るほど見せられた国民にとっては、「嗚呼、又かいなあ、性懲りも無い」と溜息で応じるしかない悲しい出来事でしかありますまい。その歴史的政権交代に関しても「クーリングオフ」と呼ばれる諦めても諦めきれない有権者の中から「あの騙し取られた1票を返せ!」という切実な声がじわじわと増えているやに聞きますから、頼りない障子の骨に貼り付けた薄紙に尤もらしい名前を書いて、さも立派な政治をしているような中学生の学級会だの高校生の文化祭だのと陰口を叩かれるような、恥ずかしいだけの政治ごっこは止めて欲しいものでありますなあ。

■生兵法の「政治主導」で自縄自縛に陥り、情報を握っている官僚群から見棄てられ、昼間は官邸でうつろな目をしてパソコンのネット・サーフィンをして時間を潰し、日が暮れたら唯一の理解者?とされる奥様と食道楽に励んでいた由。よほど暇だったことが分かりますが、小泉プレスリー元総理を必死で真似て延命しようと頑張った菅アルイミ首相は、おそらく手当たり次第に大衆情報の上澄みを掬い取る孤軍奮闘を続けていたと考えられる証拠に、ネット上で大反響を呼んでテレビ各局が露骨に後追い報道に走った児玉龍彦教授と問題の8月15日に会っていたのであります。死に体以下の菅アルイミ首相に呼ばれてしまった児玉教授の心中を察するに、昼寝する馬鹿者もいる国会の某委員会より少しは政府の目を醒ます効果があるかも?と一縷の望みを懸けて渋々応じたのだろうと同情しつつ想像いたします。これは官邸に呼びつけた側より、無駄足になると覚悟の上で出掛けて行った側の圧倒的勝利でありましょうなあ。


菅直人首相は15日、東京電力福島第1原発事故で飛散した放射性物質の除染に関し意見を聞くため、東大アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授らと官邸で会った。児玉氏は「汚染の程度を全部明らかにし、住民中心で除染計画を考えないといけない」などと提言した。
福島県南相馬市で除染活動をしている児玉氏は、7月27日の衆院厚生労働委員会に参考人として出席し、「7万人が自宅を離れてさまよっている時に国会は一体何をやっているのか」と国の対応を批判し反響を呼んだ。首相は、政府の除染対応が縦割りになっているとの意識を持っており、児玉氏を呼んだのは首相の強い意向。会談は約2時間続き、細野豪志原発事故担当相や松下忠洋副経済産業相らが同席した。
2011年8月15日 毎日新聞 

■政党としての綱領を持たない民主党の最も恐ろしい所は、自分が属している政党の実在をまったく認めず中には感じてもいない議員がごっそり集まっていることでありましょう。各種ニュースショーからお呼びが掛かると、最も安上がりで効果的な選挙活動になると大きな勘違いをして登場する民主党議員達は、異口同音に「評論家」めいた発言しかしないのは政権与党になって2年以上も経っているのにまったく変わっていない異様さが目立ちます。野党気分で政権を担えると本気で考えているのか?と怒りと共に問おうと思っても、初代の鳩山サセテイタダク元首相の奇妙奇天烈な夢遊病者の如き言動を思い出せば、嗚呼、民主党という政党は……。と腹立たしい結論がすぐに見付かってしまいます。その初代総理が約束通りに政界を引退もせず、思考回路を点検するための入院もせず、永田町辺りに今でも生息して訳の見果てぬ悪夢と見続けているとか……。使い切れないほどの「子供手当て」があるのなら、北海道の室蘭にでも日本一に精神医療の拠点を建設して、自分自身が最初の入院患者になっては如何か?と毒づきたくもなりますが……。